2021 Rd.2FUJI

SUPER GT 2021年 第2戦 富士

    SUPER GT 2021年 第2戦 富士で2位表彰台を獲得した大嶋/山下組と、3位表彰台を獲得した平川/阪口組

    GT500 予選/決勝

    フルコースイエローが3度もでる波乱のレース。
    大嶋/山下組GRスープラが2位、平川/阪口組が3位

     SUPER GT第2戦「たかのこのホテル FUJI GT 500km RACE」が5月3日(月)、4日(火)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催されました。
     昨年は開幕が遅れ、レース距離も短縮されたこともあり、恒例だったゴールデンウィーク中の富士大会、そして500kmレースの開催は2年ぶりとなります。
     今大会よりコース上でのアクシデントに対する安全対策として、これまでのセーフティカーに加え、FCYが初めて導入されます。FCY導入時は、コースを走行する全車両の速度が80km/hに制限。このFCY導入により、よりエキサイティングなレースとなることが予想されます。
     前戦の開幕戦岡山大会では、GRスープラがトップ4を独占する速さを見せ圧勝しました。前戦の結果によりサクセスウェイトが課せられますが、500kmという長丁場のレースということもあり、トヨタ勢にとってホームコースである富士での活躍に期待がかかりました。
     今大会も新型コロナウイルス感染症の拡大防止策を十分に配慮した上での開催となりましたが、富士スピードウェイは2日間にわたって好天に恵まれ、イベント広場では、新型のGR 86とスバルBRZが並べて展示され注目を集めるなど、待ちに待ったファンの皆様が本格モータースポーツシーズンの到来を満喫したイベントとなりました。

    イベント広場では新型GR 86とスバルBRZが並べて展示され、注目を集めていた
    イベント広場では新型GR 86とスバルBRZが並べて展示され、注目を集めていた

    予選

     3日(月)午後2時半よりノックアウト方式の予選が行われました。この日は朝から好天に恵まれましたが、午後になってやや雲がかかり、気温16度、路面温度24度のコンディション。 Q1は、まずZENT CERUMO GR Supra38号車を駆る石浦宏明が1分27秒台に入れると、各車が僅差でこのタイムを塗り替えていく展開に。チェッカーが振られた直後にフィニッシュラインを通過した山下の14号車が、最大40kgのサクセスウェイトをはねのけてのトップタイムをマーク。そして開幕戦で山下との激戦を繰り広げた坪井翔のau TOM'S GR Supra36号車がこちらも30kgのサクセスウェイトにも関わらず3番手で続きました。4番手に平川の37号車、タイムを更新した石浦は5番手。国本雄資のWedsSport ADVAN GR Supra19号車が6番手、中山雄一のDENSO KOBELCO SARD GR Supra39号車が7番手に入り、上位8台によるQ2へと、GRスープラは6台全車が進出を決めました。
     Q2では、まず38号車の立川祐路がQ1でのトップタイムを上回る好タイムをマークしトップに。しかし、午前中の公式練習走行でトップタイムをマークし好調な19号車を駆る宮田莉朋が、コースレコードタイムにコンマ1秒まで迫る1分26秒台に入れてトップを奪いました。
     立川はさらにタイムを更新しましたが、19号車には届かず。ライバルが最後に宮田のタイムに1000分の3秒差まで詰め寄りましたが、19号車のトップは変わらず、19号車が2016年の第6戦ブリーラム(タイ)大会以来5年ぶりとなるポールポジションを獲得しました。宮田にとってはGT500クラスで初めてのポールポジション獲得です。
     38号車が3番手、関口雄飛がアタックした36号車が4番手、今大会もシリーズエントリーのサッシャ・フェネストラズが入国制限により欠場のため、代役で阪口晴南がドライブした37号車が5番手、14号車の大嶋は6番手、39号車のヘイキ・コバライネンが8番手につけ、決勝レースに臨むこととなりました。

    見事ポールポジションを獲得したWedsSport ADVAN GR Supra 19号車(国本 雄資/宮田 莉朋)
    見事ポールポジションを獲得したWedsSport ADVAN GR Supra 19号車(国本 雄資/宮田 莉朋)

    予選3位のタイムをマークしたZENT CERUMO GR Supra 38号車(立川 祐路/石浦 宏明)
    予選3位のタイムをマークしたZENT CERUMO GR Supra 38号車(立川 祐路/石浦 宏明)

    ポールポジション獲得を喜ぶ国本 雄資、宮田 莉朋、坂東 正敬監督
    ポールポジション獲得を喜ぶ国本 雄資、坂東 正敬監督、宮田 莉朋

    決勝

     4日(火)は雲一つ無い好天に恵まれ、気温21度、路面温度35度で、やや暑さも感じるコンディションとなりました。午後2時半、2周のフォーメーションラップに続き、500km、110周という長丁場で競われる決勝レースのスタートが切られました。
     ポールスタートの19号車宮田はスタートでやや遅れ、3ワイドでTGRコーナー(1コーナー)へと進入。石浦の38号車が一旦2位へと浮上しますが、2コーナーで坪井の36号車がこれをかわし、2位へ。1周目を終えた時点で36号車坪井が2位、38号車石浦が3位、37号車平川が4位、14号車山下が5位、19号車宮田が6位。コバライネンの39号車は10位へと順位を落としました。
     3周目にエンジンブロー車両があり、セーフティカーが導入。7周目に再スタートが切られると、このチャンスに2位の36号車坪井が抜群の再スタートでトップと並び、2コーナーで首位を奪いました。
     その後方では、3位の38号車石浦に、4位の14号車山下が迫り、16周目のダンロップコーナーに2台が並走して進入、このバトルを制した14号車山下が3位にポジションを上げました。
     38号車石浦はその後ペースが落ち、21周目には37号車の平川が先行。そして、31周目には最終コーナーを立ち上がったところで、38号車の左リアタイヤが脱落。38号車は3輪のままピットへと向かいましたが、ダメージが大きくそのままリタイア。コース上に脱落したタイヤを排除するため、SUPER GTとして初めてのFCYが導入されました。
     30周台後半になり各車1度目のドライバー交代と給油、タイヤ交換のためにピットイン。FCY直前のタイミングでピットインし順位を上げた車両に続き、関口へと代わった36号車が2位、大嶋の14号車が3位、阪口の37号車が6位、国本の19号車が9位、中山雄一の39号車が10位で中盤戦に入りました。
     48周目にこの日2度目のFCYが導入され、再スタート時には首位と2位の36号車は15秒ほどの差がありましたが、36号車の関口は、60周を過ぎたあたりから猛追を開始し、首位との差を詰めていきました。
     76周目を終えたところで36号車はピットイン。ここで若干タイムをロスし、3位へと後退。しかし、交代した坪井も追い上げを見せ、2位の車両に食らいつくと、88周目のストレートでパスし、2位へと浮上しました。
     1秒差で首位を追っていた坪井の36号車でしたが、97周目に3度目のFCYが出され、99周目にFCYが解除された直後にスローダウン。残り12周でコース脇に車両を停めることとなってしまいました。
     その直後、首位を走行していた車両が、黄旗追い越しのペナルティを科され後退。これで中盤までのトップ2台がいなくなり、14号車が2位、37号車が4位で、前車との僅差のバトルとなりました。
     14号車の山下は再三にわたって首位の車両を攻めますが、追い抜くまでには到らず。このトップ2台のバトルの間に、後半ハイペースで追い上げた37号車の平川が3位との差を一気に詰め、残り3周となったストレートで前の車両をパス。3位表彰台圏内へと順位を上げました。
     500kmもの長丁場のバトルにもかかわらず、トップ4台が2秒以内という団子状態でファイナルラップへ突入。14号車の山下、37号車の平川は最後まで激戦を繰り広げましたが、逆転には至らず、14号車が2位、37号車が3位でチェッカー。2台のGRスープラが表彰台を獲得しました。この結果、14号車はランキング首位の座をキープしました。
     苦戦しながらも粘りの走りを見せた39号車が6位、19号車が7位フィニッシュとなりました。

    予選6位から追い上げ、2位を獲得したENEOS X PRIME GR Supra 14号車(大嶋 和也/山下 健太)
    予選6位から追い上げ、2位を獲得したENEOS X PRIME GR Supra 14号車(大嶋 和也/山下 健太)

    前戦の岡山に続き、3位表彰台を獲得したKeePer TOM'S GR Supra 37号車(平川 亮/阪口 晴南)
    前戦の岡山に続き、3位表彰台を獲得したKeePer TOM'S GR Supra 37号車(平川 亮/阪口 晴南)

    DENSO KOBELCO SARD GR Supra 39号車(ヘイキ・コバライネン/中山 雄一)
    DENSO KOBELCO SARD GR Supra 39号車(ヘイキ・コバライネン/中山 雄一)

    ENEOS X PRIME GR Supra 14号車 ドライバー 大嶋和也:

     本当は第1スティントから、僕らが選んでいたタイヤがもうちょっと炸裂する予定で、ガンガン追い上げていく展開をイメージしていたのですが、ヤマケン(山下健太)が思いのほかトップについていけなかったのが意外でした。36号車のほうが速かったので、僕もタイヤを変えて行ったのですが、他のみんな同様に真ん中のスティントはグリップがかなり低く全然タイムが出なくてかなり苦しみました。原因は分かりませんが、みんな同じくらいのタイムだったらしいので、コンディションのせいなのかなと思います。今日の結果については、元々2連勝する気でいたので悔しい気持ちもありますが、第1スティント、第2スティントを終えた時点では、表彰台に行ければ良いかなという展開だったので、最後ラッキーもあってこの位置に来られて、ランキングトップをキープできたのは上出来だと思います。次戦以降はさらにサクセスウェイトが厳しくなりますが、とにかくミスをせず、ポイントを取りこぼさないようにしっかり頑張っていきます。

    ENEOS X PRIME GR Supra 14号車 ドライバー 山下健太:

     自分の最初のスティントは、走り出しからペースも良かったし、周りと違うタイヤを選んだのが良い感じだったので、2台か3台くらい抜いて、第2,第3スティントに期待が持てるかな、という感じでした。しかし、第2スティントは大嶋先輩が違うタイヤを履いて、それがあまり良くなさそうだったので、第3スティントはそれとも違う、今週末初めて履くタイヤで行きました。前3台が争っていたのもあるんですが、徐々に追いつくことができて、3台抜ければ格好良いなと思ったんですが、それほどの余力は無くて、どちらかというとどんどんズルズルになってしまいました。最終ラップはトップよりも後ろの平川君を抑えて、という形で終わってしまいました。結果として開幕戦優勝、今回2位という結果を聞くと悪くないなという感じもしますが、今後はサクセスウェイトがすごく重くなるので、相当キツくなると思いますが、タイトルを目指して頑張ります。

    SUPER GT 2021年 第2戦 富士 決勝結果:GT500
    順位No.車名ドライバー周回所要時間/差グリッドSW
    117Astemo NSX-GT塚越 広大/ベルトラン・バゲット1103:03'07.8461112
    214ENEOS X PRIME GR Supra大嶋 和也/山下 健太1100.831640
    337KeePer TOM'S GR Supra平川 亮/阪口 晴南1101.117524
    41STANLEY NSX-GT山本 尚貴/武藤 英紀/牧野 任祐1101.552156
    53CRAFTSPORTS MOTUL GT-R平手 晃平/千代 勝正11034.102124
    639DENSO KOBELCO SARD GR Supraヘイキ・コバライネン/中山 雄一11036.390816
    719WedsSport ADVAN GR Supra国本 雄資/宮田 莉朋11036.4431
    88ARTA NSX-GT野尻 智紀/福住 仁嶺11045.08328
    912カルソニック IMPUL GT-R平峰 一貴/松下 信治1101'20.014132
    1064Modulo NSX-GT伊沢 拓也/大津 弘樹1101'20.66710
    1336au TOM'S GR Supra関口 雄飛/坪井 翔9812 Laps430
    38ZENT CERUMO GR Supra立川 祐路/石浦 宏明3179 Laps310