FUJI
SUPER GT 2022年 第2戦 富士
GT500 予選/決勝
SUPER GT第2戦「FAV HOTEL FUJI GT 450km RACE」が5月3日(火)、4日(水)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催されました。
岡山で行われた開幕戦では、大嶋/山下組14号車がポール・トゥ・ウィンで勝利を飾りました。TOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)にとってホームコースである富士で行われる第2戦。開幕戦で速さを見せながらも表彰台に届かなかった他のGRスープラ勢はホームでの挽回を目指し、今大会に臨みました。
第2戦となる今大会は、450kmというやや長い距離で争われ、2度の給油ピットインが義務づけられます。ドライバーの最低義務周回数はあるものの、どのタイミングで給油、タイヤ交換やドライバー交代を行うかは様々な戦略が考えられ、興味深い一戦となりました。
恒例のゴールデンウィーク中開催となった今大会、好天に恵まれた富士スピードウェイには、国内最高の人気を誇るSUPER GT開催を待ちかねた多くのモータースポーツファンが集結。イベント広場にはTGRブースが開設され、SUPER GTで活躍するGRスープラ、GR86などの展示、トークショーなどで集まった観客の皆様を楽しませていました。また、美しい富士山に見守られながら、キャンプをしながらのレース観戦を楽しむお客様も数多く見られました。両日ともランチタイムにはエアレース・パイロットの室屋義秀氏が「Yoshi MUROYA × LEXUS Special Flight@ FUJI SPEEDWAY」としてデモ飛行を行い、迫力のフライトを観客に披露しました。
3日(火)午後3時よりノックアウト方式の予選が開始されました。それまで好天で暖かかった富士スピードウェイですが、予選開始時には日が陰り、気温16度、路面温度23度というコンディションに。2グループに分けられたGT300クラスのQ1が終了し、GT500クラスのQ1が開始される頃には、気温14度、路面温度21度とさらに下がる中で激しいタイムアタックが繰り広げられました。
GT500クラスのQ1(10分間)は、全15台が出走し、上位8台がQ2へと進出します。気温、路面温度が下がったことによりタイヤを暖める時間を取るためか、GT500クラスでは珍しくセッション開始と共に各車コースイン。十分にウォームアップし、セッション残り2分ほどで各車アタックに入りました。
午前中の公式練習でトップタイムと気を吐いたKeePer TOM'S GR Supra 37号車は、宮田莉朋が1分26.340という好タイムをマークし暫定のトップへ。先に1分26秒台に入れていた坪井の36号車を、山下の14号車、国本の19号車がかわし、さらに石浦宏明のZENT CERUMO GR Supra 38号車もタイムアップ。この時点でトップが37号車、38号車が4番手、19号車が5番手、14号車が6番手に付けていましたが、坪井がさらにタイムアップを果たし、宮田のタイムを上回りトップに浮上。
最多42kgのサクセスウェイトながら健闘を見せていた山下の14号車でしたが、最後にタイムを上げてきた車両に押し出される形となり、僅か0.041秒差の9番手でQ1敗退。午前の練習走行で4番手タイムをマークしていた中山雄一のDENSO KOBELCO SARD GR Supra 39号車は、セクター1で最速タイムを更新しながらも、その後のセクターで遅い車に引っかかる形となってタイムを伸ばせず、15番手で敗退。
36号車がトップタイム、37号車が2番手、38号車が7番手、19号車が8番手でQ2進出を決めました。
Q2では19号車の阪口晴南が、チェッカーまでまだ1分ほど残したタイミングで1分26秒149という好タイムを叩き出してトップに浮上。サッシャ・フェネストラズの37号車が4番手、アレジの36号車が6番手、立川祐路の38号車が7番手。
チェッカーラップとなった周、阪口晴南はさらに僅かながらタイムを更新。2番手をコンマ3秒以上引き離す圧倒的なタイムで、チームとしては昨年の第7戦もてぎ以来、そして春の富士大会では2年連続となるポールポジションを獲得。阪口晴南にとっては代役として出場した昨年の開幕岡山大会以来、そしてGT500でのレギュラードライバーとしては初めてのポールポジションとなりました。
37号車が2列目4番手、38号車と36号車はベストラップが走路外走行により削除され、それぞれ6番手、8番手から明日の決勝レースをスタートすることとなりました。
4日(水)は快晴となり、気温20度、路面温度33度と前日の予選時よりも10度近く高いコンディション。富士スピードウェイに集結した4万4千人のモータースポーツファンに見守られ、午後2時30分に100周、450kmで争われる決勝レースのスタートが切られました。
阪口晴南がスタートを担当したポールポジションの19号車は、先頭でTGRコーナー(1コーナー)を通過しましたが、2列目4番手グリッドからスタートしたフェネストラズの37号車が1周目のセクター3で一気に首位へと浮上。2周目には4列目8番手からジャンプアップを果たした坪井の36号車が素晴らしい追い上げで、37号車に続く2位へとポジションを上げました。
1-2体制となったGRスープラは離れることなく首位争いを展開。後方では、ポールポジションの19号車が7位へと後退、6番手スタートの38号車石浦は9位、9番手スタートの14号車大嶋は11位へとポジションを落とし、周回が重ねられていきました。
GT300クラスの周回遅れ車両が現れるもつかず離れずの1-2で走る37号車と36号車でしたが、24周目、36号車の坪井が僅かな隙を見逃さず、13コーナーで37号車をパス。首位に浮上しました。
2度の給油義務のため、様々なピット作戦が考えられる中、28周を終えたところで首位を走行していた36号車がピットイン。アレジへとドライバー交代。32周目を終えたところでピットへ向かった38号車はドライバー交代せず石浦のまま、タイヤ交換と給油のみでコースに戻りました。
35周目を終えたところで、トップにつけていた37号車がピットへ向かい、宮田へと交代。翌々周には14号車もピットへ向かい、山下へとドライバー交代を行いました。
これでピットインせずに走り続けているのは19号車と39号車。41周目を終えたところで19号車がピットへ向かい、国本へと交代。中山雄一がドライブする39号車のみがピットインを遅らせて走行を続けました。
GT500のトップ車両が44周目を走行しているとき、GT300クラスの車両がスピンから激しいクラッシュ。フルコースイエローが出されましたが、これによりピットが閉鎖される直前、ぎりぎりのタイミングで39号車がピットへ向かっており、セーフティカーランへと移行する中、関口雄飛へとドライバー交代した39号車は、36号車、37号車の後方、3位でコースへと復帰しました。
この時点でGT500クラスは全車1回のピットを終えており、36号車、37号車、39号車の1-2-3体制に、38号車が6位、19号車が10位、14号車が11位。
その後、49周までセーフティカーランが続きましたが、破損したタイヤバリアの修復のために赤旗が出され、車両は一旦ストレート上に停止。30分ほどの中断を経て、再びセーフティカー先導で走行が開始され、53周目に本格戦の再スタートが切られました。
首位の36号車アレジが逃げる後方では、37号車の宮田に39号車の関口が接近し、2台は並んでTGRコーナーへ進入。ここで先頭の36号車アレジも冷えていたタイヤのせいか若干アウトへはらんだそのインを37号車の宮田がつこうとして、2台は接触。この間隙を突いた関口の39号車が首位に浮上。そこからは首位を行く関口の39号車に、2位のCRAFTSPORTS MOTUL Z 3号車、そして宮田の37号車、ARTA NSX 8号車、アレジの36号車が連なっての首位争いが繰り広げられました。
58周目、トップ3台が1列になって、富士の長いストレートでの時速300kmのスリップストリーム合戦となる中、必死に逃げる先頭の39号車関口の前方に、スローダウンしていたGT300クラス車両があり、関口はこれを避けたものの、すぐ後にいた3号車Zが避けられず激しくクラッシュ。再び赤旗が提示され、レースは中断されることとなりました。
このクラッシュで、3号車のドライバーは無事でしたが、ストレート脇のガードレールが大きく破損したため、この修復に時間がかかり、1時間以上の中断。その後、レースはセーフティカー先導で再開されましたが、この時点でレース最大延長時間が迫っており、レースは3周してセーフティカー先導のまま62周でチェッカー。短縮での終了となりました。
39号車はトップでチェッカーを受けましたが、赤旗中断時に規定外の作業を行ったとしてペナルティ、2位でチェッカーを受けた37号車も、53周目の再スタート直後の接触でペナルティを科され、GRスープラ勢は36号車の2位が最高位となりました。
レースは予定の100周に対し、75%に満たない62周で終わったため、規定の半分のポイントが与えられることとなりました。
8番手スタートでしたが、450kmと長いレースなので、結構皆ハード目のタイヤを履いているのかなと考えてスタートから数周がチャンスと思ってました。そのチャンスをものにして一気に2位まで上がることができ、そこが大きなポイントだったと思っています。そのあとトップに上がることもできたし、トップに上がってから後続を引き離すこともできたので、第1スティントは100点を上げて良い走りだったかなと思います。そのあとのジュリアーノ選手も、最初トラフィックでちょっとタイムが落ちたところはあるんですが、そこからペースを上げて結構良いペースで走っていたので、優勝できるチャンスもあるなと考えていました。ただ結果的にレースでは色々なことが起きてしまって、優勝できたレースだったので、悔しい思いもありますが、まずは高星選手が無事で良かったです。僕らもあのアクシデントの直後にいたため、破片をかなり踏んでいたので、あのままレースが再開されていたら恐らくリタイアしていたのではないかと思います。そういった意味では2位でポイントを取れたのは良かったですし、サクセスウェイトもまだ25kgなので、次こそ優勝できるように頑張りたいと思います。
レースが終わったばかりで複雑な気分ですが、一番大切なのは高星さんの身体が無事だったことです。我々は、ポテンシャル的には勝てるだけのものがあったと思いますが、レースのシチュエーションがやや難しかったりでそれは叶いませんでした。それでも2位に入ることができ、ポテンシャルの高さは証明できたと思いますし、次戦鈴鹿に向けて、もっと私自身も勉強して、チームと共に一生懸命、良い結果を出すために頑張ります。
順位 | No. | 車名 | ドライバー | 周回 | 所要時間/差 | グリッド | SW |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | ARTA NSX-GT | 野尻 智紀/福住 仁嶺 | 62 | 3:45'40.807 | 5 | 2 |
2 | 36 | au TOM'S GR Supra | 坪井 翔/ジュリアーノ・アレジ | 62 | 2.570 | 8 | 10 |
3 | 12 | カルソニック IMPUL Z | 平峰 一貴/ベルトラン・バゲット | 62 | 3.151 | 10 | 8 |
4 | 23 | MOTUL AUTECH Z | 松田 次生/ロニー・クインタレッリ | 62 | 3.614 | 11 | 22 |
5 | 100 | STANLEY NSX-GT | 山本 尚貴/牧野 任祐 | 62 | 4.326 | 7 | 30 |
6 | 19 | WedsSport ADVAN GR Supra | 国本 雄資/阪口 晴南 | 62 | 4.522 | 1 | |
7 | 14 | ENEOS X PRIME GR Supra | 大嶋 和也/山下 健太 | 62 | 4.781 | 9 | 42 |
8 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 佐々木 大樹/平手 晃平 | 62 | 4.913 | 2 | |
9 | 17 | Astemo NSX-GT | 塚越 広大/松下 信治 | 62 | 5.534 | 15 | 4 |
10 | 16 | Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT | 笹原 右京/大湯 都史樹 | 62 | 5.701 | 12 | |
12 | 38 | ZENT CERUMO GR Supra | 立川 祐路/石浦 宏明 | 62 | 8.957 | 6 | 16 |
13 | 39 | DENSO KOBELCO SARD GR Supra | 関口 雄飛/中山 雄一 | 62 | 36.758 | 14 | 6 |
14 | 37 | KeePer TOM'S GR Supra | サッシャ・フェネストラズ/宮田 莉朋 | 62 | 38.138 | 4 |