2022 Rd.4 FUJI

SUPER GT 2022年 第4戦 富士

    フェネストラズ/宮田組GRスープラが初勝利!

    GT500 予選/決勝

    フェネストラズ/宮田組GRスープラが初勝利!

     SUPER GT第4戦「FUJIMAKI GROUP FUJI GT 100Lap RACE」が8月6日(土)、7日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催されました。
     前戦鈴鹿大会から2か月強の長いインターバルを経て、SUPER GTが再開。全8戦で戦われている今季SUPER GTの前半を締めくくる大会となります。これまでの3戦では、開幕戦で大嶋/山下組 14号車がポール・トゥ・ウィンを飾りましたが、第2戦ではホンダNSX、第3戦はニッサンZが勝利を挙げており、また、この3戦は3メーカーが全て表彰台を分け合うという激戦が繰り広げられています。
     第2戦に続き今季2度目のSUPER GTが開催される富士での今大会は、第2戦同様450kmと通常よりもやや長い距離設定で、2度の給油ピットインが義務づけられています。第2戦は短縮終了となったこともあり、実質的に今季初となるロングレース、それも暑い8月の戦いはタフなものとなることが予想されました。
     夏休みということもあり、多くのファンの皆様が集まった今大会、イベント広場ではTGRブースが開設され、SUPER GTのイベントとしては初の展示となるGRカローラを始め、さまざまなGR車両を展示し、お客様の注目を集めました。

    イベント広場ではTGRブースが開設され、SUPER GTイベントでは初のGRカローラが展示
    イベント広場ではTGRブースが開設され、SUPER GTイベントでは初のGRカローラが展示

    予選

     6日(土)、朝方は非常に濃い霧に包まれ、最初に予定されていた併催レースのFIA-F4予選はキャンセルに。しかし、その後なんとか視界はよくなり、午前中のSUPER GT公式練習は乾いていく路面の中で行われました。
     午後3時、空は厚い雲に覆われ、気温は21度、路面温度は28度と8月としては異例に低いコンディションながら、路面はドライでノックアウト方式の予選が開始されました。
     全車が出走し、上位8台がQ2へと進出するGT500クラスのQ1では、路面温度が想定よりもかなり低いこともあってか、セッション開始と同時に各車コースイン。十分にタイヤを暖め、セッション終盤にアタックが開始されました。
     まず大嶋の14号車が1分27秒706のターゲットタイムをマークしトップへ。関口の39号車も1分27秒754で3番手に。
     フェネストラズの37号車が1分27秒216と好タイムをマークしトップに立つも、石浦宏明のZENT CERUMO GR Supra 38号車が1分27秒095でこれを塗り替えてトップに。坪井の36号車が1分27秒193でこの2台の間に飛びこみました。
     そして最後の最後に国本の19号車が1分27秒169を叩き出し、2番手に入ったかと思ったところで、坪井の36号車はさらにタイムを伸ばし、石浦の38号車と1000分の1秒まで同じタイムで並んで見せました。
     Q2進出ラインとなる8番手まで僅か0.248秒という僅差の争いとなる中、GRスープラ勢は38号車、36号車、19号車、37号車とトップ4を占めてQ2へと進出。一方、現在ランキングトップで52kgと最大のサクセスウェイトを科されている14号車は10番手、午前中の公式練習中にトラブルに見舞われた影響もあり、39号車は12番手でQ1敗退となりました。
     Q2では、まず「富士マイスター」の38号車立川祐路が1分27秒074でトップに立ちますが、チェッカーラップで各車さらにタイムを更新。19号車の阪口晴南が1分26秒178という、他車を大きく引き離す圧倒的なタイムをマーク。37号車の宮田も1分26秒台に入れて3番手に浮上。
     最終的に、19号車の阪口晴南は、2番手に0.6秒以上もの大差をつけて、19号車としては3戦連続となるポールポジションを獲得しました。37号車が3番手、立川の38号車が4番手で2列目に並び、アレジがアタックした36号車は6番手グリッドを獲得しました。

    3戦連続となるポールポジションを獲得したWedsSport ADVAN GR Supra 19号車(国本 雄資/阪口 晴南)
    3戦連続となるポールポジションを獲得したWedsSport ADVAN GR Supra 19号車(国本 雄資/阪口 晴南)

    3番手グリッドを獲得したKeePer TOM'S GR Supra 37号車(サッシャ・フェネストラズ/宮田 莉朋)
    3番手グリッドを獲得したKeePer TOM'S GR Supra 37号車(サッシャ・フェネストラズ/宮田 莉朋)

    ポールポジションを獲得し喜ぶ国本 雄資、坂東 正敬監督、阪口 晴南
    ポールポジションを獲得し喜ぶ国本 雄資、坂東 正敬監督、阪口 晴南

    決勝

     7日(日)は天候が回復。決勝レーススタートの1時間ほど前にやや強い降雨があり路面を濡らしましたが、スタートまでには止み、路面には僅かに湿っている場所が残っているものの、午後2時のスタート時点では太陽が顔を出し、気温26度、路面温度31度というコンディションの中、全車スリックタイヤで出走。久しぶりに静岡県警の白バイ、パトカーの先導によるパレードラップを経てフォーメーションラップが開始されましたが、路面コンディションによりフォーメーションラップが1周延長され、決勝レースは99周としてスタートが切られました。
     スタートは順当に切られ、上位勢の順位は変わらず。しかし、ポールポジションからスタートを切った国本の19号車はペースが上がらず、次々に後続にかわされて順位を落として行くこととなってしまいました。
     3番手からスタートを切ったフェネストラズの37号車は、5周目に19号車をかわし2位へ。ここで4番手からスタートを切った立川の38号車は、前戦のトラブルによりエンジン、シャシーを交換したため10秒ストップのペナルティを科されており、これを消化して最後尾に順位を落としました。
     レースがちょうど3分の1となる33周を終えたところで、6位を走行していた36号車がピットイン。アレジから坪井へとドライバーチェンジ。36周を終えたところで2位走行中の37号車もピットへ向かい、フェネストラズから宮田へと交代しました。
     最後までピットを遅らせたのは39号車。42周を終えたところでピットへ向かい、関口から中山雄一がステアリングを受けとりました。
     これで全車が1回目のピット義務を終え、37号車が2位、36号車が5位、山下から大嶋へと代わった14号車が7位、39号車が8位、19号車が9位を走行。
     ペナルティにより最後尾へ後退するも追い上げを目指していた38号車は、43周目にピットレーン入り口付近でストップ。車両トラブルでレースを終えることとなりました。
     レース折り返しの頃には、5位走行中の36号車坪井が前を行く8号車ARTA NSX-GTを猛追。55周目のTGRコーナー(1コーナー)進入では並びかけながら逆転には到りませんでしたが、翌周、第1セクターでの猛攻の末に、アドバンコーナー(ヘアピン)でパス。4位に浮上しました。
     2位走行中の37号車宮田は、一時首位に1.1秒差まで迫りましたが、3位を走行する12号車カルソニック IMPUL Zからの猛攻も受けることとなり、トップ3の争いが激化。72周目を終えたところで首位を行く24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zがピットへ向かうと、翌周37号車もピットへ。ここで37号車はドライバー交代をしない作戦で、ピットの素早い作業にも助けられ、一気に24号車をかわし、実質的な首位に立ちました。
     39号車と19号車が2度目のピットを最後まで引っ張る作戦に出ましたが、19号車はピット作業でトラブルがありタイムロス。一方で80周を終えたところでピットに向かった39号車は、ドライバー交代無し、タイヤ交換なしで給油のみという作戦でピットタイムを大幅に短縮し、6位でコースへと復帰しました。
     その後は大きな順位変動は無いまま、宮田の駆る37号車が着実にトップを守りきってチェッカー。23歳になったばかりのフェネストラズ、3日後に23歳になる宮田と、現在のGT500クラスでは最年少コンビとなるフレッシュな2人が、TGRとGRスープラに今季2勝目をもたらしました。
     宮田はGT500クラス初勝利。フェネストラズにとってはSUPER GTでの嬉しい初勝利となりました。37号車としての勝利は2020年の平川亮/ニック/キャシディ組以来。この勝利で37号車はドライバーズランキングでも8位から一気に首位へと躍り出ました。
     6番手スタートから素晴らしいバトルで観客を沸かせた36号車が4位。変則的な戦略を見事に決めた39号車が6位。今大会最多の52kgという重いサクセスウェイトで10番手スタートから着実にポジションを上げた14号車が7位。19号車は9位でチェッカーを受け、GRスープラは5台がポイント獲得を果たしました。

    今季初勝利となったKeePer TOM'S GR Supra 37号車(サッシャ・フェネストラズ/宮田 莉朋)
    今季初勝利となったKeePer TOM'S GR Supra 37号車(サッシャ・フェネストラズ/宮田 莉朋)

    4位フィニッシュを果たしたau TOM'S GR Supra 36号車(坪井 翔/ジュリアーノ・アレジ)
    4位フィニッシュを果たしたau TOM'S GR Supra 36号車(坪井 翔/ジュリアーノ・アレジ)

    12番手スタートから順位を上げ、6位フィニッシュを果たしたDENSO KOBELCO SARD GR Supra 39号車(関口 雄飛/中山 雄一)
    12番手スタートから順位を上げ、6位フィニッシュを果たしたDENSO KOBELCO SARD GR Supra 39号車(関口 雄飛/中山 雄一)

    KeePer TOM'S GR Supra 37号車 ドライバー サッシャ・フェネストラズ:

     まず、このような素晴らしい週末にしてくれたトムスチームに感謝したいと思います。今シーズンはこれまで我々にとって決して良かったとは言えませんでしたが、今日、全てが報われました。本当に、本当に嬉しいです。スタート直前に雨が降ったこともあって、私が担当したスタートからちょっとプッシュしていきましたが、その後引き継いだ宮田選手が2スティントで素晴らしい走りを見せてくれました。我々にとってはやや厳しいコンディションで、争っていた24号車はとても速かったです。私のスティントでは、最初はまだ濡れている場所が残っており、レーシングライン外を走るのはリスクがあったので数周我慢してから1台パスしました。その後は24号車の後方で走行を続けて宮田選手に繋ぎました。そして、あとは第2,第3スティントで宮田選手が本当に素晴らしい走りをみせ、トップで戻って来てくれました。私、いや我々にとって初めてのSUPER GT 500クラスでの勝利で、本当に嬉しいです。

    KeePer TOM'S GR Supra 37号車 ドライバー 宮田莉朋:

     前戦の鈴鹿大会が終わってから2ヶ月の間全くテストがなく、チームやサッシャと共に、富士のレースがどんなコンディションになる、どんな季節になるっていうのをずっと考えながら、車のセットアップやタイヤの選択を考えていました。テストができないという状況はとても厳しかったのですが、その上で今回のように予選決勝共に戦えたということはすごく嬉しかったです。レースウィークに入る前にサッシャが誕生日を迎えて、僕は3日後に誕生日を迎えるんですが、そういう意味でも勝って誕生日パーティができるくらいのレースにしようねと、レースウィークに入る前に一緒にご飯を食べながら話していました。今回、宣言していたことが実現できて本当に嬉しいです。レースの第2スティントは、コース上で追い抜くのが厳しい反面、ピットストップや、そのあたりを短縮させるために自分の中で走りながら、いろんなことを努力していて、実際結構きつかったんですが、それが第3スティントにしっかり活きて後ろを引き離すことできました。コース上で抜くのは厳しい中でもスピードをしっかり表現できたっていう部分では、僕らの努力が結果につながったかなと思います。また、チームの皆さんがあの状況下で素晴らしいピット作業で送り出してくれたからこその優勝でもあり、感謝しています。僕ら2人はSUPER GTの中の最年少ペアですけど、底力をしっかり見せられたんじゃないかなと思います。

    SUPER GT 2022年 第4戦 富士 決勝結果:GT500
    順位No.車名ドライバー周回所要時間/差グリッドSW
    137KeePer TOM'S GR Supraサッシャ・フェネストラズ/宮田 莉朋992:34'24.270322
    212カルソニック IMPUL Z平峰 一貴/ベルトラン・バゲット997.542719
    324リアライズコーポレーション ADVAN Z佐々木 大樹/平手 晃平9912.863213
    436au TOM'S GR Supra坪井 翔/ジュリアーノ・アレジ9915.822627
    58ARTA NSX-GT野尻 智紀/福住 仁嶺9941.978530
    639DENSO KOBELCO SARD GR Supra関口 雄飛/中山 雄一9945.3341222
    714ENEOS X PRIME GR Supra大嶋 和也/山下 健太9947.1841052
    8100STANLEY NSX-GT山本 尚貴/牧野 任祐991'08.814940
    919WedsSport ADVAN GR Supra国本 雄資/阪口 晴南991'24.628121
    1017Astemo NSX-GT塚越 広大/松下 信治981 Lap1536
    38ZENT CERUMO GR Supra立川 祐路/石浦 宏明4455 Laps416