3人の強者が起こした化学変化 後編(2/2)
「チーム全員が同じベクトルに向かった2016年シーズン」
自信を持って挑んだもてぎの2連戦
チーム全員が同じベクトルに向かう
−− 最後の大会、もてぎでは2連戦というSUPER GT史上初めての形で行われました。大会ではランキングはトップと11点差の4位。チャンピオンになる自信はありましたか?
コバライネン
もちろんです。土曜日(代替の第3戦)の予選はウエットでしたが、濡れた路面でもクルマは速くて初めてポールポジションをとることができた。これは勝てる力があると確信したので、レースでは大きなリスクを冒すことはせず、ポイントリーダーとして翌日の最終戦に臨むことを優先しました(僅差の2位で終える)。
そして、日曜日は晃平が素晴らしいアタックでポールポジションを獲得。何かトラブルが起きない限りは行けるだろうという自信を持って、レースをスタートしました。
「もちろん、もてぎ戦はチーム全員が
チャンピオン獲得に自信を持っていた」
ヘイキ・コバライネン
平手 (これまで)GT500ではポールポジションを獲ったことがなかったので、ノーウェイトのガチンコ状態でライバルをやっつけ、ようやく自分の良いところを全部見せることができたのはすごく痛快でしたね(笑)。
−− その最終戦。ポールポジションからスタートする平手選手には、プレッシャーがかかりましたか?
平手
正直、ありましたね。土曜(第3戦)、日曜(最終戦)ともポールスタートでしたが、土曜はレースで負けちゃった(2位)じゃないですか。その悔しさが残った状態での日曜日のレースだったので、これは勝って終わらなきゃと。
ライバルも速いはずなので、チャレンジングな気持ちで行ったら、スタートがばっちり決まった。そして、力強い走りができてリードを築き、ヘイキにつなげることができました。
−− 最後に、皆さんにとってはどのような2年間でしたか?
平手 チームを引っぱる立場となり、難しい課題を乗り超えて掴んだ2回目のタイトルなので、1回目に獲った時よりも自分がひとまわり大きくなれたと思います。それは、支えてくれLEXUS TEAM SARDのみんな、中でもヘイキと耕太郎さんのおかげです。
「チームを引っぱる立場で獲った今回のタイトルで、
自分がひとまわり大きくなれた」
平手晃平
コバライネン
想像していた以上に素晴らしい2シーズンでした。競争が厳しいSUPER GTで、参戦2年目にしてチャンピオンになれたのですから。初年度はうまく行かないことも多かったけれど、2年目に入って多くの部分で改善することができました。レーシングドライバーとしてだけでなく、人間としても成長することができたのではないかと思っています。
LEXUS RC Fをドライブすること、そしてSUPER GTというハイレベルなレースを戦うことを心から楽しんだ2シーズンでした。改めてレースを始めた頃の緊張感や、戦う楽しさを思い出しましたね。
「この2シーズンは改めてレースを始めた頃の
緊張感や戦う楽しさを思い出した」
ヘイキ・コバライネン
田中
(移籍して)2年目でタイトルを獲れるなんて思っていなかったです。1年目はうまくいかない部分もありましたが、2年目はLEXUS TEAM SARDの全員が同じ方向を向いていましたね。サポートエンジニアとして助けてくれた笠井昭則さんもそうだし、メカニックの皆もすごくいい働きをしたからこそ、シーズンすべてをノートラブルで行けたんだと思います。それがタイトル獲得の最大の要因でしょう。
また、TRDのサポートも素晴らしく、われわれ現場の意見をちゃんと吸い上げてきちんと精査してくれました。レギュレーションが厳しく触れる部分が本当に少ない中で細かな改良が進められ、開発スピードがどんどん速くなっていった。他メーカー系チームのエンジニアと話したとき、どのクルマにも同じような課題があったのですが、TRDと我々はいち早く気づいてすでに対策を済ませていたということも。そういった積み重ねが、もてぎの最終戦でLEXUS RC Fが上位(1〜5位)を独占し、最終的な選手権ランキングでも1、2位となる結果に繋がったのだと思います。