Volume2 / 後編
「性別は関係なし。やりがいのある仕事がここにある」
モータースポーツの世界で「伝える」仕事を支える女性をゲストにお迎えして
お送りしているこの座談会。
後編はいよいよ、みなさんの職業を掘り下げます。
お仕事の内容やエピソード、
そして、レース業界でのお仕事を目指す方へのアドバイスと
いろいろと聞いちゃいます!
「チームとの契約だけでなく、上手く行ってないときの仲介や謝らせることも、私の大事な役目なの」
外国人選手マネージャー
細田 真美子(ほそだ・まみこ)さん
今井優杏さん(以下、今井) ところで、細田さんはドライバーをどのように見つけて来られるんですか?
細田真美子さん(以下、細田) すでに乗っているドライバーからの紹介もあるし、こっちからスカウトに行くときもあるのよ。
今井 SUPER GTの開幕戦で優勝したアンドレア・カルダレッリ選手も細田さんのマネージメントでしたよね? 彼はどうだったんですか?
細田 彼はちょっと特殊なパターンなの。2011年にKONDO RACINGのフォーミュラ・ニッポンに乗ったときはまだ21歳で、チームから「若くてなにも解ってないから、ちょっと面倒見てあげて」と頼まれたのが最初。引き続き彼が日本で戦うとなったときに、「うちで代理人交渉しましょう」となって、二人三脚になったのよ。
今井 細田さんの報酬というのは、その契約金から出ているということですか?
細田 そうよ。でもチームと契約させることだけが仕事じゃないの。勝てないときは選手とチームが衝突することもある。そこで彼らを納得させたり、ごめんなさいさせたりするのも私の役目なの。
渡辺順子さん(以下、渡辺) これからもモータースポーツに関わる仕事をしていきたいって思っているんです。アドバイスをいただけますか?
細田 唐突だけど、ドライバーにサーキットで同乗走行してもらったこと、ある?
渡辺 ないんです。
細田 私、以前に2シーターのフォーミュラカーに乗せていただいたのね。それはもう素晴らしかった。異次元の経験だったの。それ以来、私はあらゆるレーシングドライバーを無条件で尊敬するようになった。だから、モータースポーツを知ろうとしたときに、クルマのすごさ、ドライバーのすごさを体験するということは、とても貴重な経験になると思う。
「自分で運転すればレーシングドライバーとの共通言語が生まれる。もっと深い話ができるようなる」
モータースポーツMC/自動車ジャーナリスト
今井 優杏(いまい・ゆうき)さん
今井 最近、他の後輩からもすごくよく質問を受けるのね。「どうやったらトークショーを上手に回せますか」とか、「突っ込んだ話題を盛り上げるにはどうしたらいいですか」とか。そういうときに必ず「自分で運転してみたら?」と言うんです。私はモータースポーツMCと同時に自動車ジャーナリストでもあるけれど、私はSUPER GTのクルマなんてひっくり返ったって乗れない。一般公道では引き出せない限界領域での細かなコントロールをしながら、最高時速300キロに到達させるっていう技術は本当にものすごいレベルにあるの。だけど、学ぶことはできる。運転していれば、速度域は違っても、レーシングドライバーとの共通言語が生まれて、もっと深いクルマの話ができるようになると思うのね。
細田 本当にみんな運転うまいのよね! 一般道でも高速道路でも上手よね。どうやったらこのワザを盗めるのかしらと思っちゃうくらい。
今井 そう、それって実はとても大事なことだと思うんです。どうしてレーシングドライバーは運転がうまいのか、というのを"考えてみる"っていうこと。それなら時速60キロでも勉強できる。だから自分でクルマを持つというのはすごく大事なことだし、もうクルマを持っている人はいつでも勉強できるチャンスがあるということです。
渡辺 本当はサーキットも走ってみたいんですけど、なかなかチャンスがなくて。
今井 そういう人のためにTOYOTA GAZOO Racingの「ワクドキ サーキットを走ろう」があるの。ああ、我ながらうまい話題転換でビックリしちゃうけど!(笑)
一同 (笑)
細田 でもほんとそうよ、伝えるお仕事をしていらっしゃるなら、自分のできるスピードでいいからサーキットを体験してみると、どれだけレーシングドライバーはすごいことをやっているかっていうのを、垣間見られると思うわ。