スーパー耐久とは?

スーパー耐久とは?

スーパー耐久とは

 スーパー耐久シリーズ(通称:S耐<えすたい>)は、改造範囲が狭く市販車に近いツーリングカーによる耐久レースのシリーズです。そのため、小規模なチームやアマチュアのドライバーの参加が容易で、2023シーズンも毎戦40~50台超による盛況なレースが開催されています。

 そのルーツは1991年に始まった「N1耐久シリーズ」です。この時代はFIAの定めるグループN規定に準拠したJAFのN1規定という、市販乗用車そのままといえる車両で行われていました。その後、プロドライバーの増加や車両の高性能もあって、1995年には「N1を超える車両のレース」と言う意味で「スーパーN1耐久」と改称。1998年には市販エアロパーツの使用なども可能となって、現在の「スーパー耐久」となりました。

 現在のスーパー耐久は「スーパー耐久機構(STO)」によってシリーズ運営がなされています。
 STOが策定する2023年の統一競技規則の冒頭にある理念には「スーパー耐久に集う人々は、いつの時代もクルマやモータースポーツ、人を愛する『仲間』であり、互いに絆を深め合い、称え合い、スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と闘って欲しい。そして技術を向上させるなか、限りある資源を大切に使い、環境に配慮しながらモータースポーツ社会の発展につなげていくことを目指したい。(一部略)」と謳われています。そして最後には「自分たちが生きた証としてモータースポーツを次の時代につなげていくためにも、ひとつとなり、共に発展させていこう。」と、自動車レースを通じての文化づくりを掲げています。

使用タイヤはワンメイク

 使用するタイヤですが、2021シーズンよりハンコック(韓国)が公式タイヤサプライヤーを務め、2023年も開幕戦は同社のワンメイクで行われました。しかし、3月中旬に同社の製造工場で火災があり、第2戦以降の供給が不可能となりました。
 このため来シーズンからの公式タイヤサプライヤーに内定していたブリヂストンが、この困難な事情を鑑み、緊急措置で2023年第2戦以降は同社のタイヤを供給することになりました。なお第2戦の24時間レースにおいては、変則的にドライタイヤはブリヂストンが、ウエットタイヤはハンコックが供給することになりました。

参加車両とドライバー

 参戦車両は、特に認められたものを除き、2座席以上を有するもの。また車両はFIAグループN、A、JAF量産ツーリングカーとして公認されているか、JAF登録車両、またはSTOが認めた国内にて一般的に入手可能な量産車でなければなりません。
 ST-Xクラス(FIA GT3)、T-TCRクラス(TCR)、ST-Zクラス(GT4)の車両はそれぞれの最新車両規定に準拠します。またハイブリッド車両は、最新のスーパー耐久テクニカルレギュレーションにて定めています。

 各大会には1台の車両(ゼッケン単位)に対して、定められた競技ライセンスを持ったドライバーを2~4名(A~D)の登録ができます。Aドライバーは必ず予選・決勝に出走し、定められた時間または距離を走行しなければいけません。

クラス分け

 参加車両は、次の条件と気筒容積等により、9種類のクラスに分けられており、各クラスで順位とシリーズタイトルを争います。

クラス参加車両の基準
ST-X Class本年度、FIAよりホモロゲーションが発行されているFIA GT3公認車両、及びGT3規格に準ずる車両
ST-Z Class本年度、SROよりBOPが発行されているGT4公認車両、及びGT4規格に準ずる車両
ST-TCR Class本年度、FIA、またはWSCよりBOPが発行されているTCR規格車両、及びTCR規格に準ずる車両
ST-Q Class他のクラスに該当しない、STOが認めた開発車両
ST-1 Class以下のST-2~ST-5以外の車両
ST-2 Class2400cc~3500cc迄の4輪駆動車両、及び前輪駆動車両
ST-3 Class2400cc~3500cc迄の後輪駆動車両
ST-4 Class1500cc~2500cc迄の車両
ST-5 Class1500cc未満の車両

※ST-Qクラスに関しては、別項の『「共挑 -KYOCHO-」を掲げるST-Qの参加者たち』もご参考にお読みください。
※各車両(ゼッケン単位)は、第6戦まで前大会の結果(決勝1~3位)によってクラスごとに定められたウエイトハンデ等の性能調整が行われます。

シリーズポイント

 各大会では競技結果に応じて、チーム(ゼッケン単位)にはシリーズポイントが与えられます。そのポイントの合計でタイトルとシリーズ順位を決定します。

◎予選ポールポジションポイント

各クラスのグリッド表におけるポールポジションチームに対し、2ポイントが与えられます。

◎決勝レースポイント

完走して順位認定された上位チームに与えるポイントは次の通りとなります。

レース距離が40分、または100km以上
1位2位3位4位5位6位7位8位9位10位
107.5654321.510.5
レース距離が3時間、または300km以上
1位2位3位4位5位6位7位8位9位10位
20151210864321
レース距離が5時間、または700km以上
1位2位3位4位5位6位7位8位9位10位11位以下の完走
3022.5181512964.531.51
レース距離が12時間、または1,400km以上
1位2位3位4位5位6位7位8位9位10位11位以下の完走
45352723181397531

※予選順位による2レース制の大会では、上位レース及び予選順位による振り分けが行われないクラスは上記レース時間(距離)各レース結果に基づき、それぞれポイントが与えられます。下位レースについては通常ポイントの1/2の得点が与えられます。
※シリーズ最終戦のレース距離が、5時間または700km未満の競技会の場合、通常ポイントの1.5倍のポイントが、5時間または700km以上の競技会の場合、通常ポイントの1.2倍のポイントが与えられます。
※ST-X、ST-Z、ST-TCRクラスについては、獲得ポイントの多い順に7戦中6戦の獲得ポイントを集計し、最も獲得ポイントの多いチームをシリーズチャンピオンとします。なお、開催レースが6戦以下の場合は、全レースの合計となります。

2023シーズンは全7戦を開催
国内唯一の24時間レースやクラス別2レースも実施

 2023年のスーパー耐久シリーズは7大会を、国内の6つのサーキットにおいて開催します。7大会はコースの特性・設備に併せて、4時間、5時間そして24時間のレースに加え、3時間のクラス別2レースと様々なレースフォーマットで行われています。

 開幕戦は3月18、19日の鈴鹿サーキット。第2戦は5月26~28日で富士スピードウェイです。この富士での第2戦は、国内唯一の24時間レースとなります。当然、ドライバーの走行時間も長くなり夜間走行もあります。またピット作業も増えて通常のレースより内容も濃くなり、非常に過酷です。一方でキャンプ観戦や花火イベントなど、観客にとってはより一層の楽しめるものとなっています。

 以降は、第3戦スポーツランドSUGO(7/8、9)、第4戦オートポリス(7/29、30)、第5戦モビリティリゾートもてぎ(9/2、3)、第6戦岡山国際サーキット(10/21、22)と続き、最終戦が第7戦(11/11、12)で再びの富士スピードウェイとなります。

  • 日本鈴鹿市(三重県)

    第1戦 
    鈴鹿サーキット
    決勝5時間

  • 日本小山町(静岡県)

    第2戦 
    富士スピードウェイ
    決勝24時間

  • 日本村田町(宮城県)

    第3戦 
    スポーツランドSUGO
    決勝3時間(クラス別2レース制)

  • 日本日田市(大分県)

    第4戦 
    オートポリス
    決勝5時間

  • 日本茂木町(栃木県)

    第5戦 
    モビリティリゾートもてぎ
    決勝5時間

  • 日本美作市(岡山県)

    第6戦 
    岡山国際サーキット
    決勝3時間(クラス別2レース制)

  • 日本小山町(静岡県)

    第7戦 
    富士スピードウェイ
    決勝4時間

モータースポーツの“未来”を共に創る
「共挑 -KYOCHO-」を掲げるST-Qの参加者たち

 スーパー耐久では、公正な競技と技術向上に加え、限りある資源を大切に使い、環境に配慮しながらクルマ社会の発展に寄与しなくてはならないと考えています。そこで自動車の発展を促す、いわゆる“レース競技”という枠を超えた挑戦を行うチーム、メーカーが参加できる「ST-Qクラス」を2021年に追加しました。

 ST-Qクラスは、他のクラス区分に該当しない開発車両が参加できるクラスです。現在はクルマ社会における喫緊の課題としてある「カーボンニュートラル社会への対応と貢献」の観点から、カーボンニュートラル燃料を使用したエンジンやその実用方法を探り実践することを、厳しい環境である“レース”を用いてトライアルしています。

 このメーカーの垣根を越えて共に挑む意志を「共挑」(英文表記:KYOCHO)というスローガンとしました。ロゴの文字デザインには、挑戦の足跡を残す意味を持たせたタイヤ痕をあしらい、ST-Qチャレンジャーの決意の表明としました。

「共挑」参加メンバー(表示順はゼッケン番号順)
トヨタ自動車株式会社、マツダ株式会社、株式会社SUBARU、日産自動車株式会社(NISMO)、株式会社ホンダ・レーシング