Round2
スーパー耐久 第2戦 SUGO
レポート
スーパー耐久 第2戦 SUGO決勝レポート

様々なトラブルが降りかかった第2戦
しかし怒涛の追い上げを見せ、表彰台を獲得

今回からTOM'S製となる新デザインのエアロパーツを装着したTOYOTA Team TOM'S SPIRIT
今回からTOM'S製となる新デザインのエアロパーツを装着したTOYOTA Team TOM'S SPIRIT

宮城県のスポーツランドSUGOで行なわれた、スーパー耐久シリーズ2016第2戦「SUGO SUPER TAIKYU 3Hours Race」。今回も本年のS耐規定上限の65台がエントリー。
SUGO初の試みとしてST-X、ST1~3クラスの「グループ1」、ST4/5クラスの「グループ2」に分けての2レース開催となった。86/BRZ、ホンダS2000など、最大勢力の21台が参加するST4クラスは、土曜日に予選/決勝となる1DAYレースのスケジュールだ。
マシンは今回からTOM'S製となる新デザインのエアロパーツが装着、空力関係がアップデートされている。エンジニアによればフロント周りのダウンフォースが大きく向上しており、コーナリングスピードにも大きく寄与しているそうだ。
木曜、金曜日に行なわれた練習走行ではその効果も相まってトップタイムを記録したものの、エンジン不調などのトラブルが続出。何とTOYOTA Team TOM'S SPIRITは、木曜、金曜二日間連続でエンジン交換を行なうことになってしまった・・・
朝8時から行なわれたAドライバー予選は開始直後に赤旗中断、再開後の僅かな時間でアタックした松井孝允選手が3位、Bドライバー予選は井口卓人選手が3位を記録。A、Bドライバーの合計タイムで決まる順位は、ポールポジションを獲得したNo.13(エンドレスアドバン86)から僅か0.06秒差で予選2位を獲得した。

 

今回からTOM'S製となる新デザインのエアロパーツを装着したTOYOTA Team TOM'S SPIRIT
今回からTOM'S製となる新デザインのエアロパーツを装着したTOYOTA Team TOM'S SPIRIT
決勝は最前列からのスタートとなったTOYOTA Team TOM'S SPIRIT
決勝は最前列からのスタートとなったTOYOTA Team TOM'S SPIRIT

14時40分から行なわれたグループ2の決勝は、文字通り「最前列」からのスタート。普段はGT3車両などの上位クラスと混走の為、バックミラーで確認しながらのバトルだが、今回はその心配はない。
スタートドライバーの松井孝允選手は1コーナーでNo.13の前に立ち、快調なペースで後続を徐々に引き離しにかかったが、スタート時のジャンプスタート判定によるドライビングスルーペナルティで9位に転落。しかし、その後追い上げて6位まで
挽回して第2ドライバーの井口卓人選手へ交代。井口選手は途中スピンをしたが、怒涛の追い上げにより13位から3位までジャンプアップして蒲生尚弥選手へ交代。
残り1時間、蒲生選手はNo.52(埼玉トヨペット)の脇阪寿一選手、そしてNo.55(サンオアシスネッツトヨタ東埼玉)のたしろじゅん選手の3台による2位争いのテールtoノーズの息を飲むバトルを、30Lapにわたって展開。途中、蒲生選手は4位に落ちてしまったが、残り5分、絶妙なブロックラインを取るNo.52の脇阪選手を抜き3位に浮上。開幕戦に続く表彰台を獲得した。チームとしては、決して満足できる結果ではなかったが、夜を徹してエンジンを換装したメカニックの想いを乗せて、最後に表彰台をもぎ取った3名のTOYOTA GAZOO Racing若手ドライバー(松井、井口、蒲生)の健闘を讃えたい。
なお、影山正彦監督を加えた4名は、TOYOTA GAZOO Racingのドライバーとして、2週間後のニュルブルクリンク24時間耐久レースに臨む。

決勝は最前列からのスタートとなったTOYOTA Team TOM'S SPIRIT
決勝は最前列からのスタートとなったTOYOTA Team TOM'S SPIRIT
スーパー耐久 第2戦 SUGO表彰式の様子
スーパー耐久 第2戦 SUGO表彰式の様子

松井孝允選手
「マシントラブルはチームが決勝までに対策してくれましたが、スタート時のミスはプロとして反省です。それ以外はピットもミスなく、蒲生選手の素晴らしい追い上げもあり表彰台に上がる事ができてよかったです」

井口卓人選手
「予選までトラブル続きでしたが、その中ではいいポジションだったと思います。決勝は僕と松井選手のミスを、蒲生選手とチームがカバーしてくれたので結果は残せました。ただ、上位のマシンとの差も感じたので、今後に活かしたいです」

蒲生尚弥選手
「決勝のペースも悪くなかったのでクルマの調子はよかったと思います。残り30分の3台の86によるバトルは、同じ86なのにチームによって速い/遅い所がよく解ったので、自分たちの課題も見えました」

影山正彦監督
「クルマの仕上がり的には今回は“勝てる”レースの運びだったので残念な結果です。予選は不本意な2位、決勝はドライバーのミスが続いてしまい、結果的に蒲生選手にしわ寄せが来てしまいました。結果的には3位を獲得しましたが、全然喜べません」

スーパー耐久 第2戦 SUGO表彰式の様子
スーパー耐久 第2戦 SUGO表彰式の様子

S耐に参戦する主な有名ドライバー
日本を代表するドライバーも参戦

S耐は近年有名ドライバーの参加も多い。スーパーGTでも活躍中の星野一樹選手や佐々木孝太選手。そしてレース以外でも有名な脇阪寿一選手や織戸学選手、そしてル・マンウイナーの荒聖治選手やF1/CARTなどの経験もある服部尚貴選手など、各クラスで数多くのプロドライバーを見かけることができる。プロドライバーとアマチュアドライバーとの戦いもS耐ならではの魅力の一つだ。
そんなプロドライバーの中でST4クラスに参戦する織戸学選手は「プロドライバーはテストなども限られているのでステアリングを握る機会が実は少ないです。そういう意味では、S耐参戦はフィジカル/メンタルなトレーニングにもなっています。また、僕が属するチームは今年から新規参戦なので、みんなの力で『チームを強くする』、『クルマを作りあげる』と言う楽しさもありますよ」と語る。ST1クラスに参戦する荒聖治選手は「この参加台数がS耐の魅力を物語っているでしょう。クルマのバリエーションも豊富でニュル24時間のようなイメージですよ。参加型レースではありますが、色々なチームがあって、色々な人がいるので、見ていても絶対に面白いと思います」。
ピットウォークもスーパーGTなどと比べると混んでいないため、多くのドライバーがサインや写真にも気軽に応じてくれる。織戸選手/荒選手共に、「僕らも楽しんでやっています。スーパーGTようにピリピリしていませんので、ドライバーとのコミュニケーションもウェルカムです。また、レース進行も時間的に余裕もあるため気軽に捕まえてみてください」と語る。ピットウォークの時間だけでなく、パドックではスーパーGTなどではドライバーはモーターホームの中で姿が見えないこともあるが、ほとんどがテントのため見つけやすい。もしドライバーを見かけたら勇気を持って声をかけてみよう。どのドライバーも喜んでサインや写真に応じてくれるはずだ。憧れのドライバーに会いにS耐へ足を運んでみてはいかがだろう。

  • 星野一樹 選手
    星野一樹 選手
    フォーミュラニッポン/スーパーGTとトップカテゴリーで活躍し、スーパーGT(GT300)ではシリーズタイトルも獲得。ニュル24時間にも数多く参戦を行なう。2016年は日産GT-R(ST-X)で戦う。
  • 佐々木孝太 選手
    佐々木孝太 選手
    スーパーGT(GT300)/スーパー耐久/ネッツカップアルテッツァシリーズ/F4などでタイトルを獲得。2016年はメルセデスベンツSLS AMG GT3(ST-X)、86/BRZレースにはトヨタ86で参戦。
  • 織戸学 選手
    織戸学 選手
    ドリフトでも人気のレーシングドライバー。GT300では2回のシリーズチャンピオン、GT500では優勝も。2016年はトヨタ86(ST4)で参戦。谷口信輝選手と並び「平成の86使い」としても有名だ。
  • 脇阪寿一 選手
    脇阪寿一 選手
    「ミスタースーパーGT」とも呼ばれ、スーパーGTはシリーズチャンピオン3回、ポールポジション10回、通算勝利数11勝を獲得。2015年でスーパーGTは引退。2016年はトヨタ86(ST4)を駆る。
  • 荒聖治 選手
    荒聖治 選手
    ル・マン24時間で日本人二人目の総合優勝を獲得したドライバー。フォーミュラからスーパーGT、プロトタイプ、ツーリングカーなど幅広いマシンを乗りこなす。2016年はポルシェ911(ST1)で戦う。
  • 服部尚貴 選手
    服部尚貴 選手
    国内トップカテゴリーでの活躍以外に、F1やCARTにも参戦。スーパーGTはトヨタ/日産/ホンダ全てをドライブ。S耐は2015年のST4クラスチャンピオン。2016年はマークX(ST3)に乗る。

次戦予告

スーパー耐久 第3戦
開催予定:2016.6.11 ~ 12
場所:鈴鹿サーキット

※プレビューページは2016年6月初旬公開予定です。