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平川亮の挑戦
欧州ル・マン シリーズ参戦記
第4回:ELMS 2連勝を達成!

ELMS 第3戦 レッドブル・リンク4時間レース 第4回:ELMS 2連勝を達成!

ELMS 2016年 第3戦 レッドブル・リンク4時間レース

レッドブル・リンク(1周4.326km)
公式練習:7/15(金)、予選:7/16(土)、決勝:7/17(日)

7/12(火)移動日

再びヨーロッパへ

こんにちは、平川亮です。

今回はELMS 第3戦 レッドブル・リンクです。

今回も開催地のオーストリアに行く前に、シミュレータートレーニングのため、イギリスへ向かいました。
いつもと変わらず、東京からロンドンまでの飛行機では、時差調整のために半分以上は寝て過ごしました。

お昼頃ロンドンに到着し、時間があったので、シルバーストーンのF1テストを見に行きました。
テレビでは毎回レースを見ていますが、実際にクルマが走っているのを見るのは久しぶりで新鮮に感じました。

しかし雨のせいか数台しか走っていなく、1時間弱見たところで雨も強くなってきたのでホテルに向かう事にしました。
ホテルに着き、夕食は恒例(?)のフィッシュアンドチップスを食べて21時には就寝しました。

  • シルバーストーンで行われていたF1テストを見に行く

    シルバーストーンで行われていたF1テストを見に行く

7/13(水)シミュレーターでのトレーニング

初コースを走る前の事前トレーニング

朝食後、シミュレーターがあるベースパフォーマンスに向かいました。

着いて早速トレーニング開始です。
事前にコース映像を見てレッドブル・リンクを勉強してきましたが、走ってみて難しさを感じました。

レッドブル・リンクはコース幅が狭く、少し車の挙動が乱れるとすぐコースアウトしそうになってしまいます。
コーナー数は少なくコースとしてはシンプルですが、思っていたよりも慣れるのに時間がかかりました。

最後に決勝の1スティントを行い、4時間のトレーニング終了です。

その後は特に予定がなかったので、そのままヒースロー空港へ。
飛行機の出発5時間前に空港に着いてしまったのですが、寝たりパソコンをいじったりして過ごしました。

ですが、ようやく出発時間になったと思ったら今度は出発ディレイ・・・。
結局、6時間半もヒースロー空港で過ごすことになりました(笑)

飛行機に乗るとロンドンからオーストリア・ウィーン国際空港まではあっという間に着きました。
空港からホテルまでレンタカーで向かう予定でしたが、到着時間が遅くなったためにレンタカー店はすでに閉店。
電話しても応答がなく、タクシーでホテルに向かうことにしました。

結局ホテルに到着したのは深夜1時。
想定外の長旅になってしまったので、ホテルに着いたら即爆睡でした。

  • 「ベースパフォーマンス」のシュミレーターでレッドブル・リンクを走行

    「ベースパフォーマンス」のシュミレーターでレッドブル・リンクを走行

7/14(木)サーキット入り

攻めがいのあるレッドブル・リンク

前日に予約しておいたタクシーで、レンタカーを借りるために再び空港に戻りました。
乗ったタクシーの運転手さんが以前日本に来たことがあったようで、道中は日本の話で盛り上がりました。

レンタカーを借り、レッドブル・リンクへ約2時間のドライブ。
写真はありませんが、道中の山々がとても綺麗で走っていてとても気持ちが良かったです。
レッドブル・リンクまでの道は山が多いせいか、常にワインディングロード。楽しいドライブでした。

レッドブル・リンクに到着すると、チームと合流し昼食を食べました。
チームメイトの到着を待って、エンジニア達と一緒にトラックウォークへ。

実際に歩いてみるとよく分かりますが、レッドブル・リンクはとにかくアップダウンが凄いです。
かの有名な黄色い縁石(※)も念入りにチェックしました(笑)

レッドブル・リンクは、コース幅の狭い所が多く攻めがいのあるコースだなと思いました。
走るのがとても楽しみです。

トラックウォークのあとは装備品チェックを行い、この日は終わりです。

(※)7月初旬に行われたF1オーストリアGPでは、サーキットの各所にある黄色い縁石に乗ってサスペンションを壊す車両が続出。物議を醸した。

  • レッドブル・リンクのホームストレートから1コーナーを望む

    レッドブル・リンクのホームストレートから1コーナーを望む

  • レッドブル・リンクの2コーナーを望む。アップダウンが非常に多い

    レッドブル・リンクの2コーナーを望む。アップダウンが非常に多い

  • F1オーストリアGPで話題になった「黄色い縁石」

    F1オーストリアGPで話題になった「黄色い縁石」

7/15(金)公式練習日

自分が走っていない時間の大切さ

午前中にブリーフィングがあり、午後に公式練習1回目が行われます。

セッションがスタートし、まずマティアス(・ベシェ)が車のセットアップを少し行ったあと、僕が乗り込みました。
シミュレーターのおかげで数周するとコースにも慣れ、10周しないうちにチーム内でのベストタイムをマークしました。

その後、ピエール(・ティリエ)に交代。
その間にデーターロガーやオンボード映像をチェックし、どこでさらにラップタイムを稼げるかを検討しました。

欧州ル・マンシリーズを戦ってきて、自分が走っていない時間に、次の自分の走行に向けてどう準備するかがとても大事だということを学びました。
2回の公式練習計3時間を3人でシェアするので、実質自分が走れるのは45分程度。
また、コース上は40台近くの車が走っているのでクリアラップを取るのがとても難しいです。

ですから、最初の走行機会の公式練習1回目でいかに早くコースに慣れ、コース攻略に移れるかが重要です。
セッションの最後にも数周走るチャンスがあり、車のセットアップの違いを確認しながら走行しました。

公式練習1回目の結果は4番手。

この時点でトップとはまだ0.7秒のタイム差があり、明日の公式練習2回目に向けて念入りにチームとミーティングを行いました。
また、データーロガーを再度チェックし、自分のドライビングの課題も発見し、この日は終了です。

<結果>
公式練習1回目:総合4位 #46 ピエール・ティリエ/マティアス・ベシェ/平川亮  1:22.539

  • レッドブル・リンク名物のモニュメントの横を走る

    レッドブル・リンク名物のモニュメントの横を走る

  • 40台近くの車が走っているのでクリアラップを取るのがとても難しい

    40台近くの車が走っているのでクリアラップを取るのがとても難しい

  • 自分が走っていない時間の準備が大切

    自分が走っていない時間の準備が大切

7/16(土)予選

惜しくもPPを逃すも前日から大きくタイムアップ

今日は公式練習2回目と予選が行われます。

公式練習では、前日からセットアップを大きく変更したので、まずその確認を行いました。
車両挙動に大きな進歩を感じることができたので、同じ方向でさらにセットアップを進めていきました。

その結果、セッション後半ではマティアスが新品タイヤを履きトップタイムを出しました。
その後に僕もドライブし、クリアラップこそ取れませんでしたが、良いセクタータイムで走ることが出来ました。

さて午後の予選です。

今回もマティアスがアタックを行いましたが僅差で2番手でした。
とてもわずかな差(0.053秒)だったので悔しいですが、レースは長いのでまだまだ挽回のチャンスはあります。
明日のレースが楽しみです。

<結果>
公式練習2回目:総合1位 #46 ピエール・ティリエ/マティアス・ベシェ/平川亮 1:21.346
予選:総合2位 #46 ピエール・ティリエ/マティアス・ベシェ/平川亮 1:20.753

  • マティアスのアタックで予選2位を獲得

    マティアスのアタックで予選2位を獲得

7/17(日)決勝

トラブル多発の中、ELMS 2勝目を飾る

いよいよ決勝日です。

午前中にオートグラフセッション(日本で言うピットウォーク)が行われました。
オーストリアでも多くのファンの方がサーキットに来ていました。

午後は14:00から4時間の決勝レースです。
走る順番はピエール→僕→マティアスの順です。

ピエールがスタートで惜しくも順位を2位から5位まで落としてしまいました。
原因は、ポールポジションの車両がスタート時に危険な加減速をしたためで、後にその車両にペナルティーが出ました。

ピエールはその後順調に走行を続け、他のドライバーのミスやペナルティーなどもあり、着々とポジションを上げてトップに立ちました。

しかし、ジェントルマンドライバーの運転時間規定1時間半をクリアする15分ほど前に、右フロントのヘッドライトが切れてしまいました。

レーススチュワートからすぐさまピットインして直すように命じられ、規定の時間をクリアすることが出来ずに僕にバトンタッチしました。

僕の仕事は1スティントです。

ここレッドブル・リンクは1周が4.3キロ(シーズンで最短)と短く、トラフィックの処理がとても難しかったです。
特に最初はリスクを取らずにトラフィックに慣れることを優先しました。

10周程度走行し、トラフィックにも慣れ自信がついてきたところで、スピン車両が出たためにフルコースイエローになりました。
このおかげで燃費の問題がなくなり、フルコースイエロー開けはプッシュするようにとチームから指示がありました。

また、フルコースイエロー中にマーシャルが間違えてグリーンフラッグを提示してしまうというハプニングがあり、僕はイエローが終わったのかと勘違いし1台抜いてしまいました。
無線でマーシャルのミスだという連絡があり、すぐにポジションを元に戻したので、ペナルティはありませんでした。

ここは、コースが短いせいか、数台が集団になって走っている状況に何回も遭遇してしまったり、周回遅れの同クラスの車両に何周にもわたって引っかかりました。

あまりにもロスが多く、少し焦り気味になりましたが、何とかあせる気持ちを抑え、平常心のままで2位に30秒以上差をつけてトップでマティアスに交代しました。

ELMSやル・マンで、リスクを最小限に抑えながらできる限り安定したペースで走ることを学びましたが、今回これを実践するために自分をコントロールできたことが、とても良かったです。

本来、マティアスは最後の2スティントを走る予定でしたが、ピエールが走行時間規定をクリアしていないため、最後にまたピエールに交代することになりました。

マティアスも問題なく走行し、トップのポジションをキープ。
その後ぐんぐんと後方との差を広げていったところで、またしても右フロントのヘッドライトが切れてしまいました。

運良く彼のスティントの最後であったため、ピエールへの交代と同時に修理を行い、ロスは少なく済みました。
最後のピエールも危なげなく走行し、ELMS 2連勝となりました。

次のELMS 第4戦は8/28(日)にフランス・ポールリカールで行われますが、SUPER GT 第6戦 鈴鹿1000kmと重なっており、僕はSUPER GTのレースに出ます。
僕の代わりに乗るのはWECに参戦するTOYOTA GAZOO Racingのイギリス人ドライバー、マイク・コンウェイ選手。

僕の次のヨーロッパでのレースは、9/25(日)ベルギーで行われるELMS 第5戦 スパ・フランコルシャンです。
スパ・フランコルシャンは走ってみたかったサーキットの1つなので、今からとても楽しみにしています。

今後も応援をよろしくお願いします!

<結果>
決勝:優勝 #46 ピエール・ティリエ/マティアス・ベシェ/平川亮 160Laps

  • オートグラフセッションの様子

    オートグラフセッションの様子

  • スターティンググリッドの様子。多くのファンがサーキットに来ていた

    スターティンググリッドの様子。多くのファンがサーキットに来ていた

  • スタートでは惜しくも順位を2位から5位まで落す

    スタートでは惜しくも順位を2位から5位まで落す

  • 自分のシートを持ってピットで出番を待つ

    自分のシートを持ってピットで出番を待つ

  • 周回遅れの車両に引っ掛かりタイムロスするも後続との差を広げる

    周回遅れの車両に引っ掛かりタイムロスするも後続との差を広げる

  • 右フロントのヘッドライトが2度も切れるというトラブルが発生。ル・マンでKCMGチームが使ったカウルを装着する珍しいシーンも

    右フロントのヘッドライトが2度も切れるというトラブルが発生。ル・マンでKCMGチームが使ったカウルを装着する珍しいシーンも

  • 最後はピエールのドライブでチェッカーを受ける

    最後はピエールのドライブでチェッカーを受ける

  • 欧州ル・マンシリーズ 2連勝!

    欧州ル・マンシリーズ 2連勝!

  • ELMSの次戦はSUPER GTと重なるため欠場。僕の代わりに乗るマイク・コンウェイ選手

    ELMSの次戦はSUPER GTと重なるため欠場。僕の代わりに乗るマイク・コンウェイ選手