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平川亮の挑戦
欧州ル・マン シリーズ参戦記
第5回:楽しみにしていたスパ・フランコルシャン

ELMS 第5戦 スパ・フランコルシャン4時間レース 第5回:楽しみにしていたスパ・フランコルシャン

ELMS 2016年 第5戦 スパ・フランコルシャン4時間レース

スパ・フランコルシャン(1周7.004km)
公式練習:9/23(金)、予選:9/24(土)、決勝:9/25(日)

9/20(火)移動日

2か月ぶりのヨーロッパへ

こんにちは、平川亮です。

今回はELMS第5戦、スパ・フランコルシャンです。

とても楽しみにしていたサーキットの1つです。僕自身は8月28日の第4戦ポールリカールをSUPER GTのために欠場したので、約2か月ぶりのELMSでした。

ELMSも今回のスパを入れて残り2戦となり、チャンピオン争いにおいても大事な1戦となりました。

サーキット入りの前に恒例のシミュレータートレーニングを行うため、今回はドイツにあるTMGに行きました。
飛行機で日本からフランクフルトに飛び、ICE(ドイツの高速鉄道)でケルンまで移動しました。

今回はあまり時差ボケ対策が出来なかったので、飛行機ではずっと起きていました。ですから、いつもはあまり観ない映画を何本も見てしまいました。
無事フランクフルトに着き、ICEに乗り換えて1時間ほどで、あっという間にケルンに到着しました。

ケルンではTMGで車を借りましたが、今回は何とプリウスです。いつもと違う左ハンドルのプリウスにちょっと違和感がありました(笑)
ホテルに着き、時差ボケのため即爆睡してしまいました。

  • ドイツのケルンにあるTMG(TOYOTA MOTORSPORT GmbH)

    ドイツのケルンにあるTMG

  • 左ハンドルのプリウス

    左ハンドルのプリウス

9/21(水)シミュレータートレーニング

恒例の事前トレーニング

今日はTMGのシミュレーターでスパのコースを覚えます。午前は主に車や機械のセッティングを行い、午後からチームメイトのピエール(・ティリエ)も合流し、一緒にトレーニングを進めました。
彼もTMGのシミュレーターを気に入ったようで、もっとやりたいなと言っていました。

事前に動画を何回も観て予習してきましたが、TMGのシミュレーターで走ることでさらにコースの特徴を頭に入れました。

シミュレータートレーニングの後は、ピエールのリクエストでケルン市内に日本食を食べに行きました。
僕自身も驚く程の美味しさで、リラックスして食事をすることが出来ました。日本食の話しで会話が盛り上がり、食事を終えるころには流石に眠気が限界に来ていました。

ホテルに着き、昨日と同じくすぐに寝ました。この時期は日が暮れるのが遅く、日が昇るのも遅いので、時差ボケの僕にはとても助かりました。

  • TMGにあるドライビングシミュレーター

    TMGにあるドライビングシミュレーター

  • シミュレータートレーニングの後は、美味しい日本食を食べてリラックス出来た

    シミュレータートレーニングの後は、美味しい日本食を食べてリラックス出来た

9/22(木)サーキットへ移動

あのオールージュにびっくり

今日も午前中はTMGでシミュレータートレーニングを行う予定でしたが、残念ながらトラブルが発生したため、走ることができませんでした。そこで食事をし、サーキットに向かいました。

TMGからスパ・フランコルシャンまでは車で1時間半しか離れていません。途中ドイツとベルギーの国境線を通過しましたが、何も気づきませんでした。
看板の言語がフランス語に変わったなと思ったぐらいで、検問所みたいなのがあると勝手に思っていたので驚きました。

サーキットに到着しチームと合流してから、ライセンス・装備品チェックなどを済ませ、恒例のトラックウォークに出かけました。

1コーナーの外側には、民家のような建物がありました。イモラの時よりは数は少なかったですが、こういう感じはとても好きです。そのあとは有名なオールージュです。実際に立ってみると、想像を超えた傾斜に驚きです。ここを全開で行くのかぁと少々圧倒されました。

オールージュを抜け5コーナーまで一体何百メートルあるんだ!?っていうほどとっても長い登り坂が続きます。当然歩きなので相当な時間がかかりました。
後で知りましたが、1周7kmもあるのですね。どおりで長いわけです(笑)結局2時間近くかかりコースウォークを終えました。

オールージュは有名ですが、他にも面白そうなコーナーがたくさんありました。

ほとんどのコーナーは連続しているので、リズムがとても大切なサーキットだなと改めて思いました。走行がとても楽しみです。

  • 1コーナーの外側には、民家のような建物がある

    1コーナーの外側には、民家のような建物がある

  • 有名なオールージュは想像を超えた傾斜に驚いた

    有名なオールージュは想像を超えた傾斜に驚いた

  • 他にも面白そうなコーナーがたくさんあった

    他にも面白そうなコーナーがたくさんあった

9/23(金)公式練習日

なかなか決まらないセットアップ

お昼までにブリーフィングを終え、午後からようやく公式練習1回目です。

まず、チームメイトのマティアス(・ベシェ)が車のチェックやバランスを確認し、いよいよ僕が乗り込みます。全部で7周ほど慣熟走行しましたが、オールージュでは横Gと縦Gがかかり、慣れるまではかなり変な感覚でした。

タイム的には悪くなく、オンボード映像やデータロガーを見ながらさらにタイムを詰められそうな所をチェックしました。

そして最後に5周ほど走る機会があり、ここでは少しプッシュしてみました。走行を終え再度データ等を比較しましたが、コースに対しての感触は良いです。
ですが、車のセットアップが全く決まらず、ラップタイム的にはかなり遅れを取ってしまいました。

チームメイトやエンジニアとしっかり話し合い、明日に向けての解決策を見つけることが出来ました。
明日は良いセットアップで走れる事を祈りながら眠りにつきました。

<結果>
公式練習1回目:総合4位 #46 ピエール・ティリエ/マティアス・ベシェ/平川亮  2:08.934

  • 最初にチームメイトのマティアスが車のチェックやバランスを確認

    最初にチームメイトのマティアスが車のチェックやバランスを確認

  • オールージュに慣れるまではかなり変な感覚があった

    オールージュに慣れるまではかなり変な感覚があった

  • オンボード映像やデータロガーを見ながらタイムを詰められそうな所をチェックした

    オンボード映像やデータロガーを見ながらタイムを詰められそうな所をチェックした

9/24(土)予選

決勝に向けて大きく進歩

今日は午前中に公式練習2回目があり、午後に予選が行われました。

公式練習では、最初に僕がドライブしました。車のセットアップは、昨日より良くなりましたが、まだ改善すべき所があるという印象でした。

特にタイヤのデグラデーション(タレ)が大きく、予選・決勝に向けてさらに改善が必要でした。

残りの時間もドライバーそれぞれで担当を分けて色々なセットアップを試しましたが、これといったものを見つけることは出来ませんでした。

走行後のミーティングでいくつか改善点を発見し、予選・決勝用のセットアップを決めました。

お昼ご飯を食べ、午後からは予選です。今回もマティアスが行いました。

結果は2位。トップからは少し離されてしまいました(0.445秒差)が、公式練習からは大きな進歩を感じ、明日のレースが楽しみになりました。

<結果>
公式練習2回目:総合5位 #46 ピエール・ティリエ/マティアス・ベシェ/平川亮 2:08.994
予選:総合2位 #46 ピエール・ティリエ/マティアス・ベシェ/平川亮 2:07.048

  • 今回もマティアスがアタックを担当し予選2位を獲得

    今回もマティアスがアタックを担当し予選2位を獲得

9/25(日)決勝

セーフティカーに翻弄されるも、3位表彰台獲得

いよいよ決勝日です。

朝には恒例のオートグラフセッション(日本で言うピットウォーク)が行われ、14:00から4時間の決勝がスタートします。決勝の戦略はいつもと同じで、ピエール→僕→マティアスの順番です。レーススタート直後の1コーナーで順位を2つ下げましたが、接触を避ける為だったので仕方がなかったようです。その後も順調に走行を続け、徐々に順位を上げていきました。

僕にドライバー交代する直前にコースアウト車両があり、セーフティーカーが入りました。
僕たちはセーフティカーが出た次の周にピットインせざるをえなくなり、ピットアウト後、列のほぼ最後尾に並ぶことになってしまいました。

その為、レース再開時には遅いクラスの車両を何台も抜かないといけないことになり、順位を争っている車から少し遅れを取ってしまいました。

それでも必死に走行を続け。ようやく大混雑の中を抜けたなと思った所でまたセーフティーカーが入りました。原因は、ガードレールの修復です。このセーフティーカー走行、結局40分近くも続きました。今までで最長、これからもこの長さのセーフティーカー走行はないだろうと思います(笑)

ここで僕からマティアスに交代したのですが、このタイミングがまた最悪で、セーフティーカーが退くタイミングと重なってしまい、8位まで順位を落としてしまいました。
しかしその後、マティアスが挽回してくれ、何とか3位表彰台を獲得することが出来ました。

今回は僕にとってはとても不完全燃焼でしたが、これが耐久レースなんだと思いました。
耐久レースでは、ドライバーによっていい条件の時もあれば悪い条件の時もあります。いかなる条件でも、チームのためにベストを尽くすことが大事だと、改めて思いました。

今回もチームとしては首位をキープし、2位のチームとのポイント差を拡大できたことで、チャンピオン争いで有利になりました。

次は10月23日ポルトガルのエストリルでELMS最終戦が開催されます。シリーズチャンピオンを獲得出来るようにベストを尽くしますので、応援よろしくお願いいたします!

<結果>
決勝:総合3位 #46 ピエール・ティリエ/マティアス・ベシェ/平川亮 96Laps

  • オートグラフセッションの様子

    オートグラフセッションの様子

  • スターティンググリッドの様子。多くのファンがサーキットに来ていた

    スターティンググリッドの様子

  • スタートでは惜しくも順位を2位から4位まで落す

    スタートでは惜しくも順位を2位から4位まで落す

  • セーフティーカーのタイミングが悪く、ピットアウト後ほぼ最後尾となった

    セーフティーカーのタイミングが悪く、ピットアウト後にほぼ最後尾となった

  • レース再開後は必死に走行を続け遅いクラスの車両を抜いていった

    レース再開後は必死に走行を続け遅いクラスの車両を抜いていった

  • 最後はピエールのドライブでチェッカーを受ける

    最後はマティアスのドライブでチェッカーを受ける

  • セーフティカーに翻弄されるも、3位表彰台を獲得した

    セーフティカーに翻弄されるも、3位表彰台を獲得した