平川亮の挑戦
欧州ル・マン シリーズ参戦記
第6回:チャンピオン獲得を目指した最終戦
ELMS 2016年 第6戦 エストリル4時間レース
エストリル(1周4.182km)
公式練習:10/21(金)、予選:10/22(土)、決勝:10/23(日)
10/16(日)移動日
最終戦に向け、いざ出発
こんにちは、平川亮です。
遂にELMS最終戦です。シリーズランキングトップで臨みました。
サーキットがあるポルトガルのエストリルに向かう前に、今回もシミュレータートレーニングの為、イギリスへ向かいました。道中の過ごし方にも慣れ、時差を調整するために睡眠を多く取りました。
ロンドンに着き、空港からレンタカーでホテルへ向かいました。
ホテル到着後、軽くランニングしようとしましたが、何と外気温は8度。
日本とほぼ同じ気温のポルトガル用ウエアしか持っていなかったため、きっぱり諦めました。(笑)
夜になり近くのピザ屋さんで食事をとり、時差ボケもあったため21時前には就寝しました。
10/17(月)シミュレータートレーニング
恒例の事前トレーニング
いつものベースパフォーマンスでシミュレータートレーニング行いました。
4時間みっちり走り込み、事前準備は完了です。エストリルのコースも最終コーナーを除き、低速コーナーが多く、実際の走行でもすぐ慣れそうです。
トレーニングを終え、飛行機でリスボンに飛びました。到着後、再びレンタカーを借りてエストリルまで30分、あっという間にホテルに着きました。
着いたのが夜で、疲れも多少あったため、ホテルで軽く食事をとり早めに就寝しました。
10/18(火)事前テスト
最終戦に向けてしっかりデータ取り
今回はレースウィークの前に事前テストがありました。
チームも最終戦に向けて気合が入っています。
事前テストながら多くのチームが参加し、ラップタイム等の基準もわかりやすそうです。
テストは朝9時から13時までと14時から17時までの7時間行われました。
前日に降った雨の影響で、走り始めは所々がまだ濡れている中途半端な路面コンディションだったので、車のチェックのみ行い、しばらく待機しました。
路面コンディションがようやく回復し、いよいよ走行開始です。7周ほど走りましたが、予想通りコースにはすぐに慣れ、感触も良かったです。午前のテストセッションは、ドライバー3人で分担し色々なセットアップを試し、セッティングの方向性を確認しました。
午後はニュータイヤでのタイムアタックと、ロングランをメインに行いました。
ニュータイヤでの一発タイムは良かったのですが、ロングランは今一歩という状況でした。走行後にミーティングを行い、原因のいくつかを発見でき、週末の公式練習時では効率よく試せそうです。
夜はチーム全員でサーキットの近くのカスカイスという街で食事をとりました。海沿いの町なので、海の幸はとても絶品でした。
10/19(水)、10/20(木)2日間の休日
ランニングと観光でつかの間のリラックス
レースまでの2日間、今年初めて自由時間が出来ました。
1日目の午前はサーキットを軽く1周ランニングし、午後はサーキットから近いリスボンを観光しました。
海に面した古い町並みがとてもきれいで、レース前にリラックスできました。
2日目は、マティアス(・ベシェ)とカスカイスの町をランニングしました。結果的に10キロ以上走りましたが、体の調子も良くなってきて、万全の体調でレースを迎えられそうです。
10/21(金)公式練習日
効率よく車をセットアップ
今日はブリーフィングと公式練習1回目です。
午前に装備品検査とブリーフィングが行われました。
公式練習はレースと同じ夕方に行われるため、データ取りには最適です。
事前テストの結果から改善できそうな事に絞って、セットアップを試しました。
僕自身も事前テストをしたことでコースにもすぐに慣れましたので、セットアップに関してより的確に判断することが出来ました。
結果はトップタイムと、テストをした甲斐がありましたし、とても順調なスタートでした。しかし、ロングランのペースは今一歩で、レースに向けて改善が必要です。ミーティングで意見を出し合い、解決策を探しました。
<結果>
公式練習1回目:総合1位 #46 ピエール・ティリエ/マティアス・ベシェ/平川亮 1:31.637
10/22(土)予選
悔しい予選結果
今日は公式練習2回目と予選です。 残念ながら1日中雨に見舞われてしまい、公式練習2回目は、ウエットとインターミディエイトタイヤのテストを行いました。
ウエットタイヤはすぐにボロボロになってしまうので、インターミディエイトをメインに走りました。
しかし、タイヤがなかなか温まらないという問題が発生しました。
結局マティアスが行った予選でも同じ症状があり、何と7位という結果に沈んでしまいました。
色々と検証した結果、どうやらタイヤウォーマーの温度を間違えていたようです。
予選前に判明してれば...
とても悔しい結果になりました。
<結果>
公式練習2回目:総合7位 #46 ピエール・ティリエ/マティアス・ベシェ/平川亮 1:42.658
予選:総合7位 #46 ピエール・ティリエ/マティアス・ベシェ/平川亮 1:47.125
10/23(日)決勝
思いがけないトラブルでチャンピオンを逃すも、多くを学んだ1年
午前中に少し雨が降り、一部濡れたコンディションでのスタートとなりました。
今回もピエール(・ティリエ)がスタートを担当し、順調に順位を上げていきました。
彼のスティントが終わる頃には表彰台を狙える位置(2位)までポジションアップし、とても順調でした。
そして僕にドライバー交代をし、いざスタートという所で何とエンジンがかかりません。
スターターが壊れてしまったようで、40分以上修復に時間を要しました。
トラブルと分かった時は頭が真っ白になり、現実を受け入れることが出来ませんでした。
その時点でチャンピオンの可能性はほぼ0となってしまい、絶望してしまいました。
トラブルを修復し、再びコースに戻り1スティントを走りましたが、とても良いペースで走ることが出来たので、本当に悔しかったです。マティアスにバトンを渡し、最終的に総合28位でフィニッシュしました。
チャンピオンこそ逃してしまいましたが、ELMS・ルマン24時間レース参戦を通じて本当に多くのことを学ぶことが出来、僕のレース人生の中でも特に成長を感じられた1年でした。
耐久レースならではのタスキをつなぐ難しさやチームで戦う楽しさを感じたり、異国の地での優勝を味わったりと数え上げればきりがありません。
これからもこの経験を活かし、更なる上のレベルを目指して頑張っていきます。
1年間応援、本当にありがとうございました。
<結果>
決勝:総合28位 #46 ピエール・ティリエ/マティアス・ベシェ/平川亮 121Laps