未来を担う5人の若手ドライバー 中編(2/2)
「レースとラリー、怖いのはどっち!?」
サーキットの超高速コーナリングは「超コワイ!」
新井 いや、最高速度はフォーミュラがはるかに速くて、コース幅はほとんどラリーと同じ。やっぱりあのクルマに乗って、ああいうところでレースをする人はちょっと頭おかしいなあと思いますよ(笑)。
平川亮(以下、平川) ラリー車には、限られた敷地の中では乗ってみたいんですけど、ラリーの形式ではイヤですね。走れる自信がない。怖いです(笑)。 でもああいう路面を走ること自体はドライビングテクニックも向上すると思うのでやってみたいんですけどね。おもしろそうですし。
WRC第8戦ラリー・フィンランドを前に走行テストを行う新井大輝
新井 僕は、大学でショックアブソーバーのストロークのデータをとって解析するという研究をしたので、ミニサーキットで普通のクルマでなら走ったことがあるんです。でもフォーミュラカーで大きなサーキットを走るとすごいんでしょうね。限界性能がものすごく高過ぎて運転できないかもしれない。1回は体験してみたいなと思いますけど。
全日本F3選手権に参戦する山下健太
山下 いや、乗れば簡単に走れますよ。
新井 無理、無理、無理!
坪井 だってあんなに滑って怖い状況なのに、あんなに安心感ある走りができるんだから乗れますって。
新井 逆に、滑る路面は走れるんだけど、グリップする路面は走れないかもしれない。そんな気がする。
結論。勝田選手いわく「結局はどっちも慣れなんだよ」
―― ラリーカーはどれくらいのスピードで走っているものなんですか?
新井 どちらかといえば加速に振っているクルマだから、出ても210km/hかな。それも最高峰のWRカーですよ。僕らが乗っているクラスだと180km/hくらい。
ヨーロッパラリー選手権(ラリーエストニア)に参戦中の勝田貴元
山下 あの砂利道で180km/hってやばくないですか? 普通のクルマで砂利道を走るのは嫌いじゃないんですけど、速いクルマではイヤだなあ。
坪井 あれはイヤですよねぇ(苦笑)。
勝田 僕は両方の気持ちがわかります。レースをやっているときは、200km/hオーバーで鈴鹿サーキットの130Rを抜けても別に何でもない。景色が流れるのが遅く感じますしね。ただ、攻めているとき、タイムを削りに行っているときの特に高速コーナーなどでは、結構神経を使います。 その頃は『ラリーは怖いな。やりたくないな』と思っていたんですよ。父親がラリーをやっていた(全日本ラリー選手権で活躍する勝田範彦選手)ので、『あれは危ないよな』と思っていた。でも自分がいざラリーカーに乗って同じように走ってみると最初は『これ大丈夫かな?』という気持ちにはなったんですけど、ペースノートのことを理解して慣れれば慣れるほど怖さがどんどんなくなっていく。今は、結局はどっちも慣れなんだなという気分になってきています。
<中編 あとがき>
若い選手は向こう見ずな印象もありますが、やはり知らない世界は"怖い"ものなんでしょうね。特にサーキットドライバーのラリーに対する恐怖心が印象的でした。さて、いよいよ次回は最終回。海外転戦での苦労談、そして来る2017年シーズンへの決意を5人に語ってもらいます。次回もお楽しみに!