イベントレポート
トヨタモータースポーツを彩ったトヨタ7をSUPER GT王者がドライブ
日本のモータースポーツ黎明期、旧レイアウトだった富士スピードウェイの大観衆を沸かせたトヨタ7が走るヘリテイジ メモリアルラン。トヨタ7はトヨタ初のプロトタイプカーで、1968年の日本グランプリで初登場し、1970年まで活躍しました。
この往年の名レーシングカーをドライブするのは、今年SUPER GT GT500クラスをWAKO’S 4CR LC500でドライバーズチャンピオンを獲得した大嶋和也選手です。昔と変わらない排気音を、メインスタンドの背後にくっきりと浮かんだ富士山に響かせました。
トヨタ7の疾走をピットで見守るのは、当時チームトヨタのキャプテンを務めた細谷四方洋さん。「やっぱり昔を思い出しますね、大勢のお客さんに観ていただき嬉しいです」と、現代のGTチャンピオンが操るトヨタ7に想いを馳せていました。
ル・マンの栄光を競ってきたトヨタTS010とマツダ787Bの激闘が富士で再現
トヨタ7の疾走に続いて行われたのはクラシック ル・マン。トヨタの原点とも言えるTOYOTA TS010と、1991年に日本車初のル・マン24時間総合優勝を成し遂げたマツダ787Bが富士スピードウェイを並んで駆け抜けました。
このル・マン24時間レースの歴史を刻んだ2台が走るだけでも素晴らしいシーンですが、それぞれを操るドライバーがまた歴史ある存在でした。TOYOTA TS010を駆るのは、日本人初のル・マン24時間レース総合優勝を記録した関谷正徳さん。そしてマツダ787Bを操るのは"ミスター・ル・マン"の異名も預かった寺田陽次郎さんです。
このトヨタ vs. マツダを演じた関谷さんは「このクルマで1992年に僕らは2位になりました。僕が乗った中で、一番良いクルマですね。V10(エンジン)で750馬力。この(排気)音にはしびれますね。当時のままにレストアしていただき、僕の腕は錆びてますが(笑)、きっちり(エンジンが)回ってクルマは錆びていないね」と、TS010の現在の状況を褒めていました。寺田さんも「この787Bも当時のメカニックが整備していてくれ、普段はマツダの博物館に置いてありますが、今日はさらに入念に整備してくれ、素晴らしいコンディションですよ」と、両社と言うより日本モータースポーツの歴史を刻んだ名車が今もきちんと動態保存されていることを語ってくれました。
各チームのキャンペーンガールが大集合
キャンペーンガールPRステージは、午前と午後の2回行われました。SUPER GTやSUPER FORMULAでサーキットを華やかに彩ってくれた彼女たちに会えるのも、このTGRFが最後。ステージに入りきらないほどの人数が集まり、最高の笑顔を見せてくれました。
2019年のWRCドライバーチャンピオン、タナック&ヤルヴェオヤ選手が凱旋
2019年 FIA世界ラリー選手権(WRC)で念願のドライバータイトルを獲得したTOYOTA GAZOO Racing World Rally Team。オィット・タナック選手とコ・ドライバーのマルティン・ヤルヴェオヤ選手がTGRFに凱旋。WRCチャンピオンセレモニーで、多くのファンから拍手を浴びていました。
オィット・タナック選手が駆るYARIS WRCが富士スピードウェイを1周すると、メインスタンド前でデモンストレーション走行を行いました。タイヤから白煙を上げて鮮やかに連続ターンを決め、高く長く飛ぶジャンプでファンを魅了しました。
走行を終えたオィット・タナック選手とマルティン・ヤルヴェオヤ選手をGAZOO Racing Company 友山プレジデントが迎え、タイトル獲得を祝う花束を贈呈しました。友山プレジデントは「2人は僕を表彰台の頂点に5回も上がらせてくれました。(勝てそうなラリーの)最後の局面になるとオィットが日本語で"おまちしてます"とビデオメッセージをくれるんですよ。勝った時も嬉しいですが、彼はクルマの性能を極限まで引き出すので、時にクルマが壊れる、それを直す。その繰り返しでチームもクルマもとても強くなりました。感謝しています」と、タイトルを共に目指した各戦の思い出を語ってくれました。さらにトヨタ自動車の豊田章男社長から2人へのビデオメッセージも紹介されました。
オィット・タナック選手は「とても良い2年間をトヨタのファミリーと過ごしました。まさにファミリーと言えるほど友人や良い出会いを得られました。1年目は苦労して、2年目に何度も勝ち、タイトルを獲ることができました。夢のようなシーズンでした。ここでの思い出、そして僕はトヨタと一緒に最初のチャンピオンを獲ったという歴史は大事にしていきたいです」。残念ながらオィット・タナック選手は、来季は移籍してしまいますが「TGRFは2回参加しましたが、ここには本当に多くのファンが来てくれます。またここに帰って来れればと思っています」と、温かい祝福に答えてくれました。
ベテラン監督3人が、今シーズンのSUPER FORMULAを振り返る
VANTELIN TEAM TOM’Sの舘信秀監督、KONDO RACINGの近藤真彦監督、ITOCHU ENEX TEAM IMPULの星野一義監督をお招きしてのSUPER FORMULA監督トークショー。SUPER FORMULAの会場でも人気のコンテンツをTGRFでも開催しました。
ニック・キャシディ選手がドライバーズタイトルを獲得した舘監督は終始ご機嫌で、どれだけ時間があっても話し足りない様子。チームで2勝を飾りながらもチャンピオン争いに届かなかった星野監督は、キャシディ選手とトムスの安定感にはかなわなかったと悔しそうでした。
近藤監督のお話は、チャンピオン争いに残った山下健太選手について。誰もが認める速さを持つ山下選手に初勝利を飾らせることができてほっとしたとのこと。来年も、3人のトークショーが楽しみです。