特別戦
Netz Cup Vitz Race 2017 Grand Final
富士スピードウェイ レポート

関東・関西のダブルシリーズチャンピオン峯選手が、4台抜きでGrand Finalを連覇、2年連続となる3冠を達成!

[MOTOR GAMES TV]
Netz Cup Vitz Race 2017 Grand Final 富士スピードウェイ

 12月9日(土)~10日(日)、「TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race 2017」のGrand Finalが富士スピードウェイで開催された。このレースは毎年「TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL」(TGRF)内で特別戦として行われるもので、全国5シリーズのチャンピオンや上位ドライバーが多数参戦する事実上の日本一決定戦。昨年を上回る72台のエントリーを集め、4万2500人の大観衆の前で手に汗握るバトルを繰り広げた。

♯4北田選手がコースレコードでポールポジション獲得

 土曜日の予選はA/Bの2組に分かれてそれぞれ10分間で行われ、フルグリッド54台となる決勝レースへの出走をかけて争われた。
 土曜日の天候は晴れ。A組の予選では関東と関西の両シリーズを制覇した♯1峯選手が1回目のアタックで2分15秒943のトップタイムをマークする。このまま確定かと思われたが、関東シリーズ2位の♯4北田選手が5年間破られていなかったコースレコードを更新する好タイム2分15秒333でトップに立った。さらに東北シリーズのチャンピオン♯34渡辺選手も2分15秒890をマークし、A組は♯4北田、♯34渡辺、♯1峯という順になった。10分後に行われたB組の予選では、♯62デパマン石渡選手(関東シリーズ5位)が2分15秒709でトップに立ったが、終盤に♯25水谷選手(関東シリーズ3位)がそれを約0.4秒上回る2分15秒668を叩き出し、B組は♯25水谷、♯62デパマン石渡、♯129堀内(関西シリーズ4位)の順となった。
 ♯4北田選手のタイムが♯25水谷選手を上まわっているため、♯4北田選手のポールポジション(アウト側)が確定。規定によりA組がアウト側、B組がイン側に振り分けられるため、2列目に♯34渡辺選手と♯62デパマン石渡選手、3列目に♯1峯選手と♯120堀内選手という上位グリッドとなった。

#1峯選手が勝負強く4台抜き。強豪選手たちのバトルもレースを盛り上げる

 日曜日も快晴となり、スタンドは多くのファンで埋め尽くされた。決勝レースは2台が出走を取りやめたため、52台が出場。先日発表された来シーズンの公認車両「Vitz GR SPORT“Racing”Package」の先導でフォーメーションラップを行い、シグナルのブラックアウトとともに8周のレースがスタートした。
 好スタートをきったのは♯25水谷選手で、2番手から抜群の加速をみせて1コーナーまでに♯4北田選手の前に出る。3位は1つポジションを上げた♯62デパマン石渡選手で、以下♯34渡辺選手、♯1峯選手と続く。アドバンコーナーで♯1峯選手が♯34渡辺選手のインを奪い早くも4位へ。オープニングラップ終了時点でのトップ5は♯25水谷選手、♯4北田選手、♯62デパマン石渡選手、♯1峯選手、♯34渡辺選手の順。
 ♯1峯選手は追撃の手を緩めることなく、2周目のTGRコーナーで♯62デパマン石渡選手のインに飛び込み3位へ。さらに先行する2台に追いつきたいところだが、♯62デパマン選手を引き離すことができず、激しく争いながら周回を続ける。
 3周目のTGRコーナーで♯4北田選手が♯25水谷選手を抜きトップに立ったが、この頃からトップ2台と3位♯1峯選手との差が徐々につまりはじめ、4周目に2秒近くあった差は6周目には1秒ほどになり、ほぼ等間隔の接戦でレース後半戦に突入していく。

 レースが大きく動いたのは7周目。ダンロップコーナーで2番手の♯25水谷選手が♯4北田選手に仕掛ける。第3セクターでコーナーごとにインを奪い合いながらホームストレートに戻ってくると、2台はミラー同士が接触しそうな距離でコントロールラインを追加。大観衆の視線はTGRコーナー進入に注がれるが、その時を待っていたかのようにスッとインにノーズを入れたのが♯1峯選手。ホームストレート中ほどでスリーワイドから2台をまとめて追い抜きファイナルラップに突入する。最後の1周を隙を見せず守り切り#1峯選手がトップチェッカー、昨年に続くGrand Final連覇を成し遂げた。2位は♯25水谷選手、3位はファイナルラップの最終コーナーで♯4北田選手のインを突いた♯62デパマン石渡選手。最後の最後まで目が離せないGrand Finalにふさわしいレースとなった。

 決勝前日の土曜日にはクリスタルルームで年間表彰式が行われ、各シリーズの6位までの選手やルーキーオブザイヤーに輝いた選手に各賞典が授与された。また、TGRFのプログラムとしてレーシングコースで行われた「チャンピオンパレード」には、Grand Final優勝者の♯1峯選手が参加。峯選手はステージでマイクを向けられ「Vitz Raceは元祖参加型のモータースポーツ。皆様の挑戦をお待ちしております」と多くのファンに向けて高らかに呼びかけた。
 昨年よりも40台多い延べ635台が参加し、大きな盛り上がりを見せたNetz Cup Vitz Race。来年からはMT車に加えてCVT車も設定された新公認車両「Vitz GR SPORT “Racing” Package」での参戦も可能になるため、更なる新しいVitzドライバーの挑戦にも期待したい。

RESULTGrand Final リザルト(TOP3)

順位 No. Driver Team / car Total Best
1 1 峯 幸弘 犬印NヤサカファクターVitz 18'14.521 2'15.596
2 25 水谷 大介 ネッツ東京ヴィッツ 18'14.945 2'16.193
3 62 デパマン石渡 N群馬FKジースパイスVitz 18'15.474 2'16.011

優勝者コメント
ゼッケン1番を何とか防衛しようとがむしゃらに走り、運も味方につけました

♯1 峯幸弘 選手

 「クルマのセッティングが決まらず、私もクルマに合わせきれず不調で、予選も失敗してしまいました。でも決勝は逆に失うものはないと開き直って、オープニングラップからがむしゃらに攻めました。途中♯62デパマン石渡選手を抜くのには苦労しましたが、それでもなんとか1位を取りたいとあきらめずに走りました。5位から1位を狙うことは、正直実力だけでは難しく運も必要です。勝利の女神が最後の最後に私に微笑んでくれたのだと思います。また今年はゼッケン1を背負った上で優勝できたのが本当にうれしいです。自分もタフになったなと思いました。今回はレース自体も本当に見応えがあったと思います。TGRFに来たファンにVitz Raceの魅力を十分にアピールできたのではないでしょうか」

ドライバーズインタビュー
シリーズチャンピオンコメント

北海道シリーズ開幕戦と第3戦のRace2で優勝。第2戦はマシントラブルでリアイアとなり、一時はチャンピオンが危ぶまれた。しかしベテランの意地で盛り返し、北海道シリーズ5連覇を達成した

北海道シリーズチャンピオン
#16 橋本元 選手


「北海道シリーズの第2戦はリタイアでノーポイントになってしまい、苦しいシーズンでしたね。最終戦も最後までどうなるかわからず、ギリギリでチャンピオンになれたという印象です。もし最終戦がダブルヘッダーではなかったら、今年は逃していたかもしれません。また今年は東北や西日本シリーズにも参加しました。各地の強豪と勝負ができ、純粋にレースを楽しめました。来年も再来年もVitz Raceに参加し続けたいと思っています」


北海道シリーズ開幕戦と第3戦のRace2で優勝。第2戦はマシントラブルでリアイアとなり、一時はチャンピオンが危ぶまれた。しかしベテランの意地で盛り返し、北海道シリーズ5連覇を達成した
東北シリーズ開幕戦は見事ポール・トゥ・ウィンを達成するが、第2戦は雨のレースとなり、経験豊かな♯8イシカワ選手にトップを奪われる。しかしダブルヘッダーの最終戦で2レースともポール・トゥ・ウィンの完全勝利でタイトルを防衛した

東北シリーズチャンピオン
#34 渡辺圭介 選手


「昨年の最終戦で♯8イシカワ選手から『来年は俺が取るぞ』と宣言されたので、何が何でも今年は勝ちたかったです。また今年はタイトルを守るという立場でレースに挑みました。攻めこそが最大の守りだと実感しましたね。結果2年連続チャンピオンを取れて本当にうれしいです。そして今年は初めて西日本シリーズに参戦し、念願だったオートポリスを走ることができました。西日本の選手の皆さんのレベルも高く、遠征のしがいがありました」


東北シリーズ開幕戦は見事ポール・トゥ・ウィンを達成するが、第2戦は雨のレースとなり、経験豊かな♯8イシカワ選手にトップを奪われる。しかしダブルヘッダーの最終戦で2レースともポール・トゥ・ウィンの完全勝利でタイトルを防衛した
昨年に続き関東と関西で2冠を達成。関東は2連覇、関西は4連覇と圧倒的な強さを誇る。その関西では全戦優勝がかかっていたが最終戦が台風で中止。その悔しい気持ちをこの特別戦にぶつけ、2年連続のGrand Final王者となった

関東・関西シリーズチャンピオン、Grand Finalウィナー
#1 峯幸弘 選手


「関西シリーズは新チームの参戦もあって台数が増え、ますます盛り上がってきたという印象でしたね。今年はチャンピオンになれるかわかりませんでしたが、4連覇を達成できてよかったです。関東シリーズは本当に接戦でしたね。ホームストレートでスリップストリームを使い合うという独特の戦い方が求められるので、関西とは違ったおもしろさがあります。♯4北田選手と♯25水谷選手との三つ巴のバトルからも学べることがたくさんありました」


昨年に続き関東と関西で2冠を達成。関東は2連覇、関西は4連覇と圧倒的な強さを誇る。その関西では全戦優勝がかかっていたが最終戦が台風で中止。その悔しい気持ちをこの特別戦にぶつけ、2年連続のGrand Final王者となった
今年の西日本シリーズで全戦優勝を果たし、2年連続のシリーズチャンピオンに。また今年は北海道シリーズに初出場。第3戦のRace1でポール・トゥ・ウィンを達成した。西日本シリーズを盛り上げるため、選手の発掘と育成にも力を注いでいる

西日本シリーズチャンピオン
#505 三浦康司 選手


「2連覇を達成できたことはもちろんうれしいのですが、今年は西日本シリーズの参加者が増えたことの方がよかったと思っています。レース以外にも合同で練習を行ったりしているので、各選手の実力も高まってきています。選手と選手の張り合いも出てきたので、西日本シリーズ自体も面白くなっているのは間違いないでしょう。今年はこのグランドファイナルに出場することが目標でした。来年もVitz Raceを大いに楽しみたいと思います」


今年の西日本シリーズで全戦優勝を果たし、2年連続のシリーズチャンピオンに。また今年は北海道シリーズに初出場。第3戦のRace1でポール・トゥ・ウィンを達成した。西日本シリーズを盛り上げるため、選手の発掘と育成にも力を注いでいる

ROOKIE OF THE YEAR賞
ルーキーオブザイヤーコメント

北海道シリーズ
#322 佐々木健人 選手


※表彰式にお越しになれなかったため、お名前とお写真のみご紹介いたします


東北シリーズ
#5 阿部友哉 選手


※表彰式にお越しになれなかったため、お名前とお写真のみご紹介いたします


関東の全戦と関西の第3戦、第4戦に出場。最高位は関東、関西シリーズともに17位。どのレースも40台以上の大量エントリーの中で中段に入る活躍だったが、「せめて入賞はしたかった」と白井選手。ちなみにクルーは全員家族というVitz Raceならではの参戦体制でした

関東シリーズ
#713 白井博 選手


「50歳でレースデビューするという夢が叶えられました。昔はカートをやっていたこともあり、自分の実力がどのくらいなのかということも確かめてみたかったです。結果は鳴かず飛ばず(笑)。でも走ることだけではなく、Vitz Raceの選手の方々との交流も深められたので、本当に実りのあるシーズンになりました。参加した分、必ず得るものがあるのがVitz Raceです。参加してまだ1年、チャンスがあれば来年も是非参加したいです」


関東の全戦と関西の第3戦、第4戦に出場。最高位は関東、関西シリーズともに17位。どのレースも40台以上の大量エントリーの中で中段に入る活躍だったが、「せめて入賞はしたかった」と白井選手。ちなみにクルーは全員家族というVitz Raceならではの参戦体制でした
関西シリーズの全戦に出場。自身の最高位は第2戦(岡山国際サーキット)の10位と好成績を残す。「ネッツトヨタ神戸の先輩ドライバーのアドバイスのおかげで、デビューイヤーでこの成績を残せました」と森口選手

関西シリーズ
#22 森口優樹 選手


「ネッツトヨタ神戸の社員ドライバーとして参加させていただきました。まさか僕が実際にレースに出られるとは思っていませんでしたね。モータースポーツには小さい頃から憧れていたので、夢が叶えられました。またVitz Raceへの参戦経験を生かして、お客様にアドバイスができるようになりたいとも思っています。お客様の前で実際にトークショーを行ったりと、仕事面でもいいことずくめです。参加できて本当に良かったです」


関西シリーズの全戦に出場。自身の最高位は第2戦(岡山国際サーキット)の10位と好成績を残す。「ネッツトヨタ神戸の先輩ドライバーのアドバイスのおかげで、デビューイヤーでこの成績を残せました」と森口選手
自身のレースデビューとなった西日本シリーズ開幕戦で予選2位、決勝2位という成績を残した羽田選手。「来年は遠征にもチャレンジしたい」と新しい目標も見つけたようだ

西日本シリーズ
#10 羽田隆一郎 選手


「カートをやったり、オートポリスでスポーツ走行を楽しんでいるうちに、レースに出たいと思うようになりました。♯505三浦選手からの誘いを受けたことも、Vitz Raceに参加したきっかけです。シーズンを振り返ると悔しい結果でしたね。開幕戦は良かったものの、その後は鳴かず飛ばずでした。Vitz Raceは人との交流があり毎戦楽しく過ごすことができました。そういう面も含めていいレースだと思います」


自身のレースデビューとなった西日本シリーズ開幕戦で予選2位、決勝2位という成績を残した羽田選手。「来年は遠征にもチャレンジしたい」と新しい目標も見つけたようだ
  • Vitz Race 年間表彰式
    北海道シリーズ表彰式
    右から三浦 康司、みなぴよ、赤堀 康裕(敬称略)
  • Vitz Race 年間表彰式
    東北シリーズ表彰式
    右から小森 康廣、横田 剛、渡辺 圭介、イシカワヨシオ(敬称略)
  • Vitz Race 年間表彰式
    関東シリーズ表彰式
    右から水谷 大介、峯 幸弘、北田 和哉、黒田 保男、横田 剛(敬称略)
  • Vitz Race 年間表彰式
    関西シリーズ表彰式
    右から今井 孝、黒田 保男、峯 幸弘、堀内 秀也、岩瀬 亮平(敬称略)
  • Vitz Race 年間表彰式
    西日本シリーズ表彰式
    右から渡辺 圭介、松尾 充晃、三浦 康司、小島 史武、羽田 隆一郎(敬称略)

Race DataNetz Cup Vitz Race Grand Final 富士スピードウェイ

  • 開催日

    2017年12月9日(土)・10日(日)

  • サーキット

    富士スピードウェイ(静岡県)

  • 天候

    晴れ

  • 参加台数

    72台


特別賞Grand Final 特別賞

特別賞 No. Driver
グッドイヤー賞 869 原 俊平
ベストパフォーマンス賞 201 黒田 保男