インプレッションドライバー紹介
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佐藤 久実
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1986年のレースデビュー以降、ツーリングカーをメインに国内外の様々なレースに参戦。現在はモータージャーナリストやカー・オブ・ザ・イヤー選考委員として活動する傍らで、ニュルブルクリンク24時間レースでのクラス優勝やNetz Cup Vitz Raceエントラントアドバイザーとしても活躍している。
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山下 健太
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1995年8月3日生まれ。フォーミュラ・トヨタ・レーシング・スクール(FTRS)を受講。2016年に全日本F3王者となり、2017年はスーパーフォーミュラ、SUPER GTのGT300クラスにフル参戦した。また、86/BRZ Raceにもスポット参戦するなど活躍の場を広げている。
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ボディ剛性が高い分、タイヤの入力がすごく高く、コーナーでのグリップ感が高い
Vitz GR SPORT “Racing” Package(以下、GR SPORT)は、2018年のTOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race参戦用の公認モデル。昨年12月に富士スピードウェイで行われたGrand Finalのパドックでも展示されていたので、目にした人も多いだろう。昨年までの公認モデル、Vitz “RS Racing”(以下、RS Racing)に代わるニューモデルで、今年の同レースは2車による混走で争われる。ベースになっているのは昨年9月19日に発売されたGRのコンプリートカー、Vitz GR SPORT。ドア下のロッカーフランジ部に追加されたスポット溶接や専用のエクステリアデザインなどが特徴だ。
GR SPORT(5速マニュアル)のテストドライブが行われたのは富士スピードウェイ。ドライバーはスーパーフォーミュラやSUPER GTなどで活躍する若手ドライバー、山下健太選手。最初にRS Racingの感触を確かめた後、GR SPORTに乗り換え、コースイン。FFのレーシングカーに乗るのは初めてという山下選手だが、コースイン直後に2車の違いに気づいたという。「ピットアウトしてすぐのTGRコーナーで全然感触が違いました。GR SPORTのほうがハンドルを切った時のロールが少なく、(ボディ剛性が高い分)タイヤへの入力がすごく高いせいか、コカ・コーラコーナーやトヨペット100Rコーナーなど、高速コーナーでのグリップ感が高いです。RSは行き過ぎた時、オーバーステアになるのですが、GR SPORTはすごく安心感があって、ちょっとリアが滑るくらい。すごくいいバランスだと思います」。
また、山下選手は挙動変化時のわかりやすさもGR SPORTの長所として挙げる。「攻めていくとどうしてもオーバーやアンダーが出てきてしまうのですが、(RS Racingを含む)他のレーシングカーと比べてその前兆がわかりやすく、乗っていて安心できるクルマです」。山下選手はテストドライブ中、難所のトヨペット100Rコーナーをアクセル全開で走行したというからその実力は本物。
Vitz GR SPORT "Racing" Packageの高いポテンシャルは、コンマ1秒以下を争う激戦の同レースで大きなアドバンテージになるだろう。
新公認車両の「CVT車」
シフト操作がないだけでサーキットでの運転がこんなに楽に!
一方、Vitz GR SPORT “Racing” Packageのもうひとつの目玉が「CVT車」の設定。CVT車は5速マニュアル車との混走で2018年のTOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Raceに参戦することが可能だ(同様にTOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジにも参加可能)。TOYOTA GAZOO RacingとしてCVT車でのモータースポーツ参戦はすでに全日本ラリーを中心に行われており、実戦で培ったノウハウを投入した10速スポーツシーケンシャルシフトマチック付きのCVTが搭載されている。
テストドライブはクローズドされた道路で行われ、自動車ジャーナリストでありニュルブルクリンク24時間レースなど数々のレースへの参戦経歴を持つレーシングドライバー、佐藤久実選手がドライバーを務めた。「CVTだからもしかしたらリニアじゃないとかダイレクト感に欠けるとか、ネガティブなイメージを持っている人もいるかもしれませんが、このCVTは非常にスポーティなチューニングです」。佐藤選手は続いてマニュアルモードを選択。アクセルを強く踏み込み、ステアリング裏のパドルで任意のシフト操作を行う。「シフト操作がないだけでサーキットでの運転がこんなに楽になるのですね。サーキット初心者やAT限定免許の方、たくさんの女性にぜひこのクルマに乗っていただきたいですね」。
同レースはこれまで、5速マニュアル車のみが参加できるレースだったため、レースデビューを躊躇していたビギナーや、免許保有者の多くを占めるAT限定免許ユーザーに一気に門戸を開くことになる。文字通り、同レースのエントリーモデルとして、新たなモータースポーツファンの掘り起こしが期待されている1台だ。
ボディ剛性の強化
メーカーならではのスポット溶接をロッカーフランジに追加。剛性が高められたボディはダイレクトに反応するとともに余計な振動を抑制するため、操作性のレスポンスの向上と運転中の疲労軽減にも寄与します。
また、コーナリング中の横Gに対しても従来以上に操縦安定性が向上しています。
主要緒元一覧表
“RS Racing” | GR SPORT “Racing” Package | |||
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5MT | 5MT | CVT | ||
車両型式 重量 性能 |
車両型式 | DBA-NCP131-VPNTMV | DBA-NCP131-VPNTXV | |
ベース車両型式 | DBA-NCP131-AHMVK | DBA-NCP131-AHXVK | ||
車両重量(kg) | 1,050 | 1,060 | 1,070 | |
車両総重量(kg) | 1,325 | 1,335 | 1,345 | |
最小回転半径(m) | 5.6 | |||
主要燃費改善対策 | (全車)可変バルブタイミング・電動パワーステアリング・充電制御・ (CVT車)自動無段変速機 |
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寸法 定員 |
全長 / 全幅 / 全高(mm) | 3,930 / 1,695 / 1,480 | 3,975 / 1,695 / 1,480 | |
ホイールベース(mm) | 2,510 | |||
トレッド フロント / リヤ(mm) | 1,485 / 1,470 | 1,475 / 1,460 | ||
最低地上高(mm) | 120 | |||
室内 長 / 幅 / 高(mm) | 1,920 / 1,390 / 1,250 | |||
乗車定員(名) | 5 | |||
エンジン | 型式 | 1NZ-FE | ||
総排気量(L) | 1,496 | |||
種類 | 直列4気筒DOHC | |||
使用燃料 | 無鉛レギュラーガソリン | |||
内径×工程(mm) | 75.0×84.7 | |||
最高出力<ネット>(kW(PS)/r.p.m.) | 80(109) / 6,000 | |||
最大トルク<ネット>(N・m(kgf・m)/r.p.m.) | 138(14.1) / 4,400 | 136(13.9) / 4,800 | ||
燃料供給装置 | 電子制御式燃料噴射装置(EFI) | |||
燃料タンク容量(L) | 42 | |||
ステアリング サスペンション ブレーキ 駆動方式 |
サスペンション(フロント) | ストラット式コイルスプリング | ||
サスペンション(リヤ) | トーションビーム式コイルスプリング | |||
ブレーキ(フロント) | ベンチレーテッドディスク | |||
ブレーキ(リヤ) | ディスク | |||
駆動方式 | 前輪駆動方式 | |||
トランスミッション 変速比 減速比 |
トランスミッション | 5速マニュアル | 自動無段変速機 (Super CVT-i) |
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第1速 | 3.166 | 2.480~0.396 | ||
第2速 | 1.904 | |||
第3速 | 1.392 | |||
第4速 | 1.031 | |||
第5速 | 0.815 | |||
後退 | 3.250 | 2.604~1.680 | ||
減速比 | 4.312 | 5.356 |
架装装備一覧
ラリーにも出場できる!
Vitz GR SPORT "Racing" Packageは、入門ラリー「TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ(C-2クラスおよび、E-1クラス)」にも出場できます。
シリーズの概要や車両規定はこちらをご覧ください。(5MT車、CVT車のどちらでも出場可能です)