ABOUT WEC

WEC FIA 世界耐久選手権とは

自動車の耐久レースの最高峰であるWEC
2022シーズンはル・マン、富士を含む全6戦を予定

FIA世界耐久選手権(FIA World Endurance Championship:WEC)は、プロトタイプカーとGTカーが混走して争う耐久レースの世界選手権で、国際自動車連盟(FIA)とル・マン24時間の開催で知られるフランス西部自動車クラブ(ACO)が運営しています。レギュレーションで各レースの長さは6時間以上と規定されており、最長がル・マン24時間です。

現行WECがスタートしたのは2012年。今季は「Season 10」となりますが、耐久レース世界選手権の歴史は長く、初開催は1953年まで遡ります。この年はセブリング12時間、ミッレミリア、スパ・フランコルシャン24時間、そしてル・マン24時間など全7戦が行われました。日本でも1982年から1988年まで富士スピードウェイで、1989年から1992年までは鈴鹿サーキットで開催されており、1991年にはオートポリスでも行われ、2012年からは富士で毎年開催されてきました(2020、2021年はコロナ禍でWEC富士中止)。

世界タイトル

選手権はプロトタイプとGTそれぞれ2クラスの計4クラスで構成され、2022年は以下の世界チャンピオンタイトル(下記の一覧)が、さらにLMP2とLMGTE Amのための6つのトロフィーが設定されています。選手権ポイントはレースの長さによって異なります。

FIA世界耐久ドライバーズチャンピオン(Hypercar部門)
FIA世界耐久マニュファクチャラーズチャンピオン(Hypercar部門)
FIA世界耐久ドライバーズチャンピオン(LMGTE部門)
FIA世界耐久マニュファクチャラーズチャンピオン(LMGTE部門)

ドライバーは車両1台につき最大3名まで認められます。「FIAドライバー分類規定」により、戦績に従って「プラチナ」、「ゴールド」、「シルバー」、「ブロンズ」の4つに分類され、可能となる組み合わせが参加クラスごとに決められています。

CATEGORY

CLASS/クラス分け
参加車両

WECは「Hypercar」、「LMP2」、「LMGTE Pro」、「LMGTE Am」の全4クラスで構成されます。最上級クラスが「Hypercar」で、我々TOYOTA GAZOO RacingのGR010 HYBRIDがエントリーしているのもこのクラスです。「Le Mans Hypercar」車両に加え、2021年および2022年は非ハイブリッドLMP1車両も性能調整の上、参加が認められる他、2022年はLMDh(ル・マン・デイトナh)規定の車両も参加可能となります。
一方、「LMGTE Pro」はGTカーの耐久世界一を競うクラスです。また、「LMP2」と「LMGTE Am」クラスではプライベートチームが参加しやすいよう、様々な配慮がなされています。

Hypercar

Le Mans Hypercar/LMH

WEC最上級クラス。FIAとACOによる技術規則「Le Mans Hypercar」に適合する車両は、「ハイパーカー」風の外観で自動車メーカーのイメージをアピールできるプロトタイプカー、および実際に公道走行可能なハイパーカーのレース仕様車と規定されています。ル・マン24時間決勝時の平均ラップタイムを3分30秒と想定。クローズドボディを備え、全長5,000mm以下、全幅2,000mm以下、全高は基準面より1,150mm以上で、最低車重は1030kg。排気量、気筒数等は自由で、ハイブリッドシステムの搭載も認められています。タイヤはミシュランのワンメイク。性能調整(BoP)が導入されています。ゼッケンベースはレッド。ドライバー編成は自由ですが、ブロンズドライバーは参加できません。

Le Mans Hypercar/LMH

Le Mans Prototype 2(LMP2)

LMP2

シャシーコンストラクター、エンジンサプライヤーから独立したプライべーター限定のプロトタイプカテゴリー。バジェットキャップ制が導入されており、ダラーラ他の指定コンストラクター4社が製造するシャシーは価格の上限が定められています。エンジンはギブソン・テクノロジーが供給する4.2リッターV8 NAのワンメイク。クローズドボディを備え、全長4,750mm以下、全幅1,800mm以上1,900mm以下、全高1,050mm以上。最低車重は930kg。燃料タンク最大容量は75リッター。ゼッケンベースはブルー。ドライバー編成にはシルバーまたはブロンズドライバー1名を含めることが義務付けられています。現在、WECでエントリー台数が最も多いのがこのクラスです。

LMP2

Le Mans Grand Touring Endurance Pro(LM GTE Pro)

LM GTE Pro

自動車メーカーのワークスチームが世界タイトルを争う、プロフェッショナルチームのためのGTカテゴリーです。但し、メーカーはフルシーズンベースでは2台までしかエントリーできません。BoPが適用され、最低重量は性能評価テストで定義すると規定されており、燃料タンク容量、リアウイングの高さ、エアリストリクター、ターボブースト圧等もBoPの適用を受けます。4輪駆動は禁止。トラクションコントロールの装備は可能で、ブレーキディスクは鉄ベース合金製。エンジンは同一メーカーの量産車に搭載され、300台以上が生産された量産エンジンがベース。自然吸気エンジンは5.5リッター以下、過給機付きエンジンは4リッター以下と決められています。ゼッケンベースはグリーン。Hypercar同様、ドライバー編成は自由です。

LM GTE Pro

Le Mans Grand Touring Endurance Am(LM GTE Am)

LM GTE Am

アマチュアを対象としたカテゴリーで、車両はLMGTE Proに準じますが、1シーズン前の車両か、前シーズン車両の仕様に完全に準拠した車両と定められています。ゼッケンベースはオレンジ。ドライバー編成にはブロンズドライバー最低1名と、ブロンズかシルバーのドライバー1名を含めることが必要となっています。

LM GTE Am

主なレギュレーション

燃料

WECでは主催者から供給された燃料を使用することが義務づけられていますが、2022年からトタル・エナジーズが製造する100%再生可能な燃料、エクセリウムレーシング100(Excellium Racing 100)が採用されています。この燃料は、従来の化石燃料と比較して温室効果ガス(GHG)排出量が少なくとも65%の削減が可能とされています。

タイヤ

HypercarクラスとLMP2クラスは供給メーカーが指定されているワンメイク制で、それぞれミシュランとグッドイヤーが全車両に独占供給します。各レースで使用できるタイヤ本数は以下の通りです。雨天用タイヤに使用制限はありません。

フリープラクティス予選 + 決勝
6時間レース8時間レース
LMH121826
LMP1-nH121826
LMP2121826
LMGTE Pro121826
LMGTE Am162634

※ル・マン24時間は同レースの特別規則で別途規定

RACE

  • アメリカアメリカ

    第1戦
    セブリング1000マイルレース

  • ベルギーベルギー

    第2戦
    スパ・フランコルシャン6時間レース

  • フランスフランス

    第3戦
    ル・マン24時間レース

  • イタリアイタリア

    第4戦
    モンツァ6時間レース

  • 日本日本

    第5戦
    富士6時間レース

  • バーレーンバーレーン

    第6戦
    バーレーン8時間レース