レース車両解説
更なる向上を果たしたTS050 HYBRID
シリーズ連覇とル・マン24時間3連勝を目指す
2018年、2019年のル・マン24時間レースを連覇したTS050 HYBRIDは、パワートレーン面ではハイパワー型リチウム電池のセルの材料や電解液の改良まで踏み込んで性能を大きく向上させました。2019−2020シーズンに向けては、レースの最後までハイブリッド・ブーストを使える時間を維持出来るように、更なる信頼性向上とともに電池の劣化対策を進めています。エンジンは大幅な変更こそありませんが、種々のフリクション低減改良を盛り込んでいます。
空力に関しては、特に車両フロント形状を見直し、ハイノーズと埋め込み型サイドミラーを採用しました。これによってドラッグ(空気抵抗)低減とダウンフォース向上がなされ、空力による競争力向上が期待されます。
昨シーズンはノン・ハイブリッド勢の車両に対してTS050 HYBRIDは性能調整(EoT)が課され、ハイブリッド車両の車両重量は初戦から比べ第8戦ル・マン24時間では+36kg増加しました。ノン・ハイブリッド勢は、瞬時エンジン燃料流量も最終的に43.75%まで引き上げられました。この性能調整によってノン・ハイブリッド勢との実力差が縮まり、今季も状況次第で更なる更新があるかもしれません。また、今季新たに前レースまでの獲得ポイントによって調整するサクセスハンディキャップも導入されます。対して、今季のTS050 HYBRIDは車両やコンポーネントの細部をリファインし、さらなる性能向上と共に全部品の信頼性を徹底的に高めて、トヨタの「もっといいクルマづくり」というミッションに貢献していきます。
主要諸元
| 型式 | LMP1-H(ル・マン プロトタイプ 1 - ハイブリッド) |
|---|---|
| 車体構造 | カーボンファイバー構造 |
| ウインドスクリーン | ポリカーボネイト製 |
| ギヤボックス | 横置きシーケンシャル6 速 |
| ギヤボックスケーシング | アルミニウム製 |
| ドライブシャフト | CV ジョイント式ドライブシャフト |
| クラッチ | マルチディスク |
| ディファレンシャル | ヴィスカス機械ロック式 |
| サスペンション | プッシュロッド式独立懸架ダブルウイッシュボーン(前/後) |
| スプリング | トーションバー |
| アンチロールバー | 前/ 後 |
| ステアリング | 油圧式パワーステアリング |
| ブレーキキャリパー2 | 系統油圧式ブレーキシステム、モノブロック軽合金キャリパー(前/後) |
| ブレーキディスク | ベンチレーテッド・カーボンディスク(前/後) |
| ホイール | レイズ製マグネシウム鍛造ホイール |
| フロントホイール | 13 x 18 インチ |
| リアホイール | 13 x 18 インチ |
| タイヤ | ミシュラン |
| フロントタイヤ | 31/71-18 |
| リアタイヤ | 31/71-18 |
| 全長 | 4650mm |
| 全幅 | 1900mm |
| 全高 | 1050mm |
| 燃料積載量 | 35.2 kg |
| パワートレーン | トヨタハイブリッドシステム・レーシング(THS-R) |
| エンジン | V 型6 気筒直噴ツインターボチャージャー |
| エンジン排気量 | 2400cc |
| エンジン出力 | 367kW/500PS |
| 燃料 | ガソリン |
| バルブ数 | 4 /シリンダー |
| ハイブリッドパワー | 前輪モーター+ 後輪モーター:367kW/500PS |
| パワーユニット最高出力 | 735kW/1000PS(エンジン+ ハイブリッドモーター) |
| 蓄電装置 | ハイパワー型リチウムイオン電池 |
| 前輪ハイブリッドモーター | アイシンAW 製 |
| 後輪ハイブリッドモーター | デンソー製 |




