WEC 2017年 第3戦 ル・マン24時間レース 決勝
大波乱の24時間レース終了。
TS050 HYBRID #8号車が54位から追い上げ8位完走
2017.06.19(月)- 02:00配信
TOYOTA GAZOO Racingにとっての2017年ル・マン24時間は、苦難のレースに終わった。3台体制で臨んだレースだったが、深夜に#7号車と#9号車の2台を失い、#8号車もトラブルのため一時54位まで後退。後半戦、懸命に追い上げた#8号車は9位でチェッカーを受けた。レース後、上位車両の失格により8位となった。
TS050 HYBRID #7号車:
(小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ステファン・サラザン)
10時間15分リタイア(154周)
ファステストラップ:3分18秒694
TS050 HYBRID #8号車:
(中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソン)
13時間経過時点(中嶋一貴): 36位 176周
14時間経過時点(中嶋一貴): 30位 192周
15時間経過時点(セバスチャン・ブエミ): 27位 207周
16時間経過時点(セバスチャン・ブエミ): 16位 222周
17時間経過時点(セバスチャン・ブエミ): 15位 239周
18時間経過時点(アンソニー・デビッドソン): 14位 256周
19時間経過時点(アンソニー・デビッドソン): 13位 273周
20時間経過時点(中嶋一貴): 12位 290周
21時間経過時点(中嶋一貴): 10位 309周
22時間経過時点(セバスチャン・ブエミ): 9位 324周
23時間経過時点(セバスチャン・ブエミ): 9位 340周
24時間経過時点(セバスチャン・ブエミ): 8位 358周(※)
ファステストラップ:3分18秒604
※9位でチェッカーフラッグを受けたが、その後、上位車両の失格により8位となった。
TS050 HYBRID #9号車:
(ニコラス・ラピエール、国本雄資、ホセ・マリア・ロペス)
10時間35分リタイア(160周)
ファステストラップ:3分19秒321
小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ステファン・サラザンのTS050 HYBRID #7号車は、史上最速のコースレコードでポールポジションを獲得し、最大目標であった初勝利へと大きな期待と共にスタートから10時間にわたってレースをリードした。しかし、深夜の1時15分、クラッチトラブルでその夢は消えた。
中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソンの#8号車も同じく勝利を目指し、#7号車に次ぐ2位を走行していたが、8時間を迎える直前、フロントモーターにトラブルが発生、モーターとバッテリの交換を余儀なくされたが、チームは決して諦めることなく、2時間にわたる修復作業で再び#8号車をコースへと復帰させた。29周遅れ、54位でレースに復帰した#8号車は全体最速ラップタイムを叩き出すなど、懸命の追い上げを見せ、9位でチェッカーを受けた。その後、上位車両の失格により8位となった。
ニコラス・ラピエール、国本雄資、ホセ・マリア・ロペスの#9号車もアクシデントによりレースを終えることとなった。#7号車がリタイアした直後、#9号車は後方からLMP2車両に追突され、左リアタイヤのパンクと、油圧系統にダメージを負った。これにより、#9号車はシフトチェンジが出来ず、ピットまで残り僅かのところまでたどり着いたが、午前1時35分にリタイアとなった。
レースは、2大ワークスチームのLMP1-Hによる宿命の対決となったが、共に全車がトラブルに見舞われ、各チーム1台ずつが後方から激しく追い上げる展開に。残り1時間あまりで首位に立った#2号車が優勝を果たした。
TOYOTA GAZOO Racingは、FIA世界選手権(WEC)の今季第1戦、第2戦を制し、ドライバーとマニュファクチャラーの両選手権をリードして第3戦となるル・マン24時間に臨んだ。
しかし、通常のWECシリーズの2倍のポイントが獲得出来る第3戦ル・マン24時間で上位入賞が果たせなかったことで、マニュファクチャラーズランキングではライバルに33.5ポイント、ドライバーズランキングでは#8号車のドライバーが#2号車のドライバーに対し、17ポイントのリードを許すこととなった。
トヨタにとって1985年の初参戦以来通算19回目のル・マンへの挑戦は無念の終幕となった。
ル・マンの規則では、リタイアした車両はレース終了までチームには返還されない。チームは車両が返還され次第直ちに#7号車と#9号車のトラブルとアクシデントの詳細な原因究明作業を行う。
TOYOTA GAZOO Racingは、次の目標である年間タイトル獲得に向け、7月16日(日)に行われるWEC第4戦ニュルブルクリンク6時間レースへ向け準備を開始する。
佐藤俊男 TOYOTA GAZOO Racingチーム代表:
昨年の敗戦以来、関係者で全力を尽くして準備を行い、再度トップを争える車両をル・マンに持ち込みましたが、結果はとても厳しいものとなってしまいました。練習走行から順調に運び、決勝でもライバルとの厳しい接戦を優位に進めることが出来ました。ドライバーをはじめ、エンジニア、メカニックの皆がこの一週間素晴らしい働きを見せてくれたことに感謝をしたいと思います。 勿論、優勝したポルシェに対しても心からお祝いを述べたいと思います。また、ファンの皆様には多くの暖かい応援を頂きましたが、我々は優勝トロフィーを持ち帰ることが出来ませんでした。今回深夜に起こしてしまったダブルリタイアは当然受け入れられないものだと思います。同じことを繰り返さないの取り組みをして参ります。そして、必ずもっと強くなり、更に強い決心のもと、再びル・マンに挑戦したいと思います。
小林可夢偉 (TS050 HYBRID #7号車):
我々のレースになると思っていただけに、本当に残念です。セーフティカー導入の間にピットインを行い、ピット作業の後、マーシャルからコースへ出て良いと指示されたので発進しました。その時後方から、セーフティカーがやって来たので、停止しろとの指示を受け、セーフティカーの後ろにつくために、クラッチを使ってエンジンパワーで、再スタートをしようとしたのですが、通常は行わない操作だったため、クラッチが壊れてしまいました。 もしピットレーンに留まっていれば、TS050 HYBRIDはモーターのみを使ってスタートをするのですが、既にピットから出ていたため、その操作が出来ませんでした。またしても、我々はル・マンで勝つことがどれだけ難しいかを思い知らされました。再度勝利を争うべく、必ず戻って来ます。
マイク・コンウェイ (TS050 HYBRID #7号車):
決勝レースのスタートは順調で、ペースも良く、後続との間隔をコントロールしながら首位を走行出来ました。しかし、残念ながらトラブルに見舞われ、あまりに早くレースを終えることになってしまいました。トラブルの兆候は全くなく、いきなりのリタイアだったので、かなりショックでした。とても残念ですし、チームメイトのTS050 HYBRIDもほぼ同じタイミングでアクシデントに見舞われるなど、信じられない結果となってしまいました。少なくとも我々3台のうちのどれかが表彰台の真ん中に立てると期待していたのですが、叶いませんでした。
ステファン・サラザン (TS050 HYBRID #7号車):
信じられません。我々のTS050 HYBRIDは本当に素晴らしく、レースウィークを通してバランスも、効率も最高でした。チームは冬の間のオフシーズンに素晴らしい仕事で準備をしてくれただけに、3台共に優勝争いから脱落するというのは、悪夢を見ているかのようでした。今年のル・マンが望み通りの結果にならなかったのには幾つか理由があるでしょう。非常にレベルの高い接戦で、ライバルの#1号車が止まってしまったことからも分かるとおり、我々は限界ぎりぎりのレベルで24時間のスプリントレースを戦いました。我々は決して諦めることなく、更に強くなって帰って来ます。必ず勝てると信じることが重要です。
中嶋一貴 (TS050 HYBRID #8号車):
今回のル・マンもチームにとって厳しいレースでした。本当に言葉がありません。ただひとつ言えるのは、来年も挑戦しなくてはならないということです。我々には速いTS050 HYBRIDがありましたが、まだ、何かが足りなかったということでしょうか。ハードワークで準備して来たにもかかわらず、予想外の様々なアクシデントに見舞われました。来年はさらに充分な準備をして、よりハードに戦わなくてはなりません。
セバスチャン・ブエミ (TS050 HYBRID #8号車):
今は何から始めて良いか分かりません。勝利に手が届かないと分かったときに思ったのは、シリーズ選手権で多くのポイントを獲得するチャンスを失ったということです。まだチャンピオン争いが出来ることを願っています。チーム、特にここまでハードに働いてくれたメカニックには最大の感謝を伝えたいです。そして全員に謝意を示します。これから我々がすることは、残りのシーズンに集中することです。
アンソニー・デビッドソン (TS050 HYBRID #8号車):
すでに目標を見失いながら、速い車両で周回を重ねるのはとても辛い思いでした。快調にラップを刻み、頑張って差を詰めて行きましたが、トラブルによって開いた差はとても大きく、運転しながら厳しさを噛みしめていました。ライバルは素晴らしいレースをしました。我々も決して諦めず、必ず成し遂げるという信念を抱いて、今年のような素晴らしいクルマと共にまたここに戻って来ます。
ニコラス・ラピエール (TS050 HYBRID #9号車):
我々にとって、度重なる不運にも見舞われ、とても辛いレースになりました。#9号車はレース序盤、幾つかの小さなトラブルに見舞われており、首位争いから一旦引き離されてしまいましたが、その後はもと通りのパワフルな走りで2位へ浮上し、更に首位を争えるペースでした。第1コーナーでの減速時に燃料カットが作動した際、LMP2車両に追突されてしまいました。あの時、他に出来ることはありませんでした。追突されたのがコースインして直ぐだったため、ほぼ一周してピットまで戻ることが出来ませんでした。本当に失望しています。
国本雄資 (TS050 HYBRID #9号車):
私にとって初めてのル・マン24時間は残念なレースに終わりました。初めての経験を楽しみ、トラブルに見舞われるまでは納得いく走りを見せられたと思います。#9号車が止まっているのを見たとき、ここまで仕上げてくれたチームスタッフのハードワークを見ていただけに、本当に落胆しました。彼らの働きに感謝します。そして、彼らのためにも良い結果を持ち帰りたかったのですが、厳しい結果となってしまいました。またル・マンに戻って来て必ず雪辱を果たしたいと思っています。
ホセ・マリア・ロペス (TS050 HYBRID #9号車):
ル・マンが時に残酷なレースだということは知っていました。多大な労力を注ぎ込み、強くなってここにやって来ました。我々は全力を尽くし、決して諦めませんでしたが、レースはこのような結果となってしましました。その瞬間に思ったのは、もっともっと強くなって来年戻って来るということです。またこのレースに挑戦し、充分な強さと速さを身に付けたことをお見せします。チームの全員、メカニック、エンジニア、そしてチームメイト、その全員を誇りに思います。彼らの働きは本当に素晴らしかったです。後悔はありません。
トヨタ自動車株式会社 取締役社長 豊田 章男
「思いっきり走らせてあげられなくてゴメン...。」
本来であれば、応援いただいたファンの皆さまへの感謝の言葉が
先ず最初に発せられるべきですが、
今回のル・マンだけは、どうしても...
この言葉を私からドライバー達に一番に掛けてあげなければいけないと思っています。
ドライバー達は、初めてル・マンに来る私に、
「一緒に表彰台の真ん中に上ってほしい...」「そのために絶対に負けたくない...」
「だから共に戦ってくれ...」と言ってくれました。
だからこそ、私からは、
「思いっきり走れ。メカのつくったクルマを信じて、ル・マンを楽しんで。」
という言葉を返していました。
それなのに、思いっきり走らせてあげることが出来なかったことが本当に悔しい...
私たちのクルマを信じて走ってくれていたのに...本当に申し訳ない...。
その気持ちでいっぱいです。
おそらく、この気持ちは、この戦いに向けクルマをつくってきた
トヨタのエンジニア、メカニック、そしてパーツサプライヤーの方々、
皆、同じ想いなのだと思っています。
なので、そのみんなの気持ちも背負い、代表して、ドライバー達へ
もう一度、改めて言います。
「思いっきり走らせてあげられなくてゴメン...。」
そして、その9人のドライバー達も含めて、
トヨタチームに関わった全ての人の想いを二つ、私から述べさせてください。
ひとつは、ファンの皆さまへ。
トヨタの勝利を信じて応援してくださったファンの皆さま、
期待に応えられず本当に申し訳ありませんでした。
そして、24時間、最後まで我々を信じ、熱く応援いただけたことに
心から感謝申し上げます。本当に、ありがとうございました。
再び、皆さまと共に笑顔になれる日を目指してまいります。
もうひとつは、ポルシェチームへ。
昨年の戦いの後、ポルシェの皆さまから
我々をライバルと認めて頂けるような嬉しい言葉を数々いただきました。
"ライバル"と言っていただけたことに応えるためには
今年また、ファンの皆さまを魅了するような
素晴らしい戦いをさせていただくことだと考えておりました。
だからこそ、チームは新しい技術・技能を生み出すことにも
果敢にチャレンジして来ることができました。
ポルシェチームの皆さま、おめでとうございます。
そして、ありがとうございました。
しかし、昨年のようにファンの皆さまを魅了させるような戦いを
実現することが出来ませんでした。
今回、ポルシェも、我々トヨタも...
ル・マンの道に挑んだハイブリッドカーは
24時間を無事に走り切れませんでした。
優勝した2号車でさえも、完走した我々の8号車も
トラブルにより時間のかかる修理を余儀なくされて、ようやく辿りついたゴールでした。
世界耐久選手権を通じて高めてきたハイブリッド技術は、
6時間レースでは、その能力を発揮しきれても、
ル・マン24時間の道のりでは、まだまだ歯がたたないということかもしれません。
電気の力は、クルマがもっとエモーショナルな存在になるために絶対に必要な技術です。
ル・マンは、その技術に挑戦し続け、極限の環境で試すことの出来る貴重な実験場です。
これからも、この場を、大切にしていきたいと思います。
もっともっと技術に磨きをかけ、熟成させ、
お客様に本当に笑顔になっていただける技術を...
そしてもっといいクルマづくりを続けるために、
これからも我々トヨタは、努力を重ねてまいります。
皆さま、ご期待いただければと思います。よろしくお願いいたします。
WEC 第3戦 ル・マン24時間 最終結果(LMP1-Hクラス)
| 順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | トップとの差 |
| 1 | 2 | ティモ・ベルンハルト アール・バンバー ブレンダン・ハートレー | ポルシェLMPチーム/ ポルシェ919ハイブリッド | 367 | |
| 8 | 8 | 中嶋一貴 セバスチャン・ブエミ アンソニー・デビッドソン | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ TS050 HYBRID | 358 | 9周 |
| リタイア | 1 | ニール・ジャニ アンドレ・ロッテラー ニック・タンディ | ポルシェLMPチーム/ ポルシェ919ハイブリッド | 318 | |
| リタイア | 9 | ニコラス・ラピエール 国本雄資 ホセ・マリア・ロペス | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ TS050 HYBRID | 160 | |
| リタイア | 7 | 小林可夢偉 マイク・コンウェイ ステファン・サラザン | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ TS050 HYBRID | 154 |
