WEC

WEC 2017年 第8戦 上海6時間レース

決勝

TS050 HYBRID 8号車が今季4勝目を挙げる

11月5日(日)、上海国際サーキットで行われたFIA世界耐久選手権(WEC)第8戦 上海6時間レースでTOYOTA GAZOO RacingのTS050 HYBRID #8号車が完勝で今季4勝目を飾った。中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソンのトリオが駆った#8号車は、スタートから30分ほど経過した時点でポールポジションから飛び出した#7号車(小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス)を抜き去りトップに立ち、その後は堅調な走りを維持してトップでゴールに飛び込んだ。

決勝レースの序盤は、ポールポジションから飛び出したロペスの駆る#7号車がリード、3番手グリッドの#8号車ブエミはスタートで出遅れ4位に落ちたが、その後、前を行く2台のライバル勢をかわして13周目にはトヨタの1&2態勢に。しかし30分ほどが経過したところで、トップを走る#7号車がLMP2クラスの車両と接触し3位に転落。代わって#8号車が首位浮上。その後、#7号車もライバルを抜き返し、再びTS050 HYBRIDの1&2態勢となった。

スタートでは#7号車がソフトタイヤ、#8号車がハードタイヤを選択したが、気温が高く路面温度も高い時間にはハードコンパウンドが合っており、1時間を経過した時点で行われたピットストップでは、#7号車はロペスから小林に代わるタイミングでハードタイヤに替えた。2回目のピットストップで#8号車はブエミからデビッドソンに交替。再び#7号車が#8号車の前に出てレースをリードした。その時点では2台のTS050 HYBRIDはライバルに大きな差を開き、そのうちの1台を周回遅れにする速さを見せた。

レースが半ばを過ぎると路面温度が急激に下がり、2台のTS050 HYBRIDは揃ってソフトタイヤに交換してレースを続けた。最初のスティントで2台に異なったタイヤを装着して走らせたおかげでソフトタイヤの性格も十分に博しており、終盤に向けてのタイヤチョイスに迷いはなかった。しかし、マーブル(タイヤかす)の多いコースだけに、周回遅れを追い越すときに走行ラインを変えるとそのマーブルを拾い、途端にグリップ不足に陥る。

ゴールまで1時間を迎えて最後のピットストップ。#8号車は中嶋からブエミに交替し、#7号車はロペスがドライブを続け、トップに立った。ところが、#7号車は直後、GTクラス車両との接触によって、サスペンションにダメージを負い、修理のためのピットインを余儀なくされ、その後レースに復帰したが、#8号車から7周遅れの4位となった。

ブエミの#8号車は、最後まで力強く走行を続けトップでゴール。2位のライバル#2号車に1周の差を付ける余裕の勝利だった。

このレースはTOYOTA GAZOO Racingにとって、マニュファクチャラーズ選手権のタイトル獲得をかけたレースでもあった。2台のTS050 HYBRIDが1&2位に入賞すれば最終戦でライバルとタイトルを争う可能性が残されていた。そして、その可能性はレース終了寸前まで生きていたが、#7号車のアクシデントによってタイトル獲得はならなかった。

ドライバーズ選手権に関しても、最終戦を待たず2位に入ったライバル#2号車のドライバーが、優勝した#8号車クルーの中嶋/ブエミ/デビッドソンを上回り、タイトルを獲得した。

両タイトルを獲得したライバル・ポルシェチームには賞賛を送りたい。

スタートシーン スタートシーン

2台のTS050 HYBRID 2台のTS050 HYBRID

ピットで修復を行うTS050 HYBRID 7号車 ピットで修復を行うTS050 HYBRID 7号車

ゴール直前、ホームストレートを走行するTS050 HYBRID 8号車 ゴール直前、ホームストレートを走行するTS050 HYBRID 8号車

優勝を喜ぶアンソニー・デビッドソン 優勝を喜ぶアンソニー・デビッドソン

上海6時間レースの表彰台 上海6時間レースの表彰台

2017年のWECもいよいよ残すところ最終戦バーレーン6時間のみ。4年間戦ったライバルとの最後のバトルになるが、TOYOTA GAZOO Racingは最善を尽くして3連勝(今シーズン5勝目)を狙う。レースは11月18日に行われる。

村田 久武 TOYOTA GAZOO Racing代表:

今シーズン4回目の優勝は格別な気分です。この週末を通して、チーム全員が素晴らしい働きをしてくれました。3日間の全セッションでトップタイムを叩き出し、ポールポジションと優勝を獲得しました。ゴール寸前のところで他車との接触によって1&2フィニッシュが実現出来なかったのは残念でした。ポルシェチームのドライバーズ、マニュファクチャラーズ両タイトル獲得にお祝いを申し上げます。今シーズンの残る最終戦を優勝で閉めくくれる様に最後まで頑張ります。

小林 可夢偉(TS050 HYBRID #7号車):

#7号車にとってはとても残念なレースになってしまいました。我々のTS050 HYBRIDは好調だったのですが、今日は、タイヤの摩耗に少々苦戦しました。それでも充分に勝利を争える位置で、諦めずに戦い続けましたが、最後の接触で4位までポジションを落としてしまったのは悔しいです。最終戦バーレーンでは必ず良い結果が出るようにプッシュを続けます。

小林 可夢偉

マイク・コンウェイ(TS050 HYBRID #7号車):

今日のレースはタイヤのマネージメントが大変でした。特に2回目のスティントは苦しかったのですが、全力を尽くしました。残念ながら#7号車は2度のアクシデントで首位の座を明け渡すことになってしまいました。アクシデントがなければチームが1&2フィニッシュを果たして最大ポイントが獲得出来るはずだっただけに悔しい結果です。優勝した#8号車を祝福します。彼らの今日戦いぶりは充分に勝利に値します。

ホセ・マリア・ロペス(TS050 HYBRID #7号車):

私の2回目のスティントは、タイヤがとても厳しい状況で、GT車両と接触してしまいました。私のミスなのは確かですが、かわすのは難しい状況でした。ターン13でのアクシデントは、これまでにも様々なレースで何度も経験してきた状況で、その都度、避けてこれました。今回の映像を見直して徹底的に対策し、更に強くなって戻って来ます。

中嶋 一貴(TS050 HYBRID #8号車):

TS050 HYBRIDを最高に仕上げてくれたスタッフとチームクルーに本当に感謝します。セバスチャンとアンソニーはとても良い走りをしてくれましたが、私自身はコース上の混雑と、コース上に散ったタイヤかすに苦しみました。それにより若干のタイムロスもあったと思いますが、最後まで頑張りました。今日は勝てるだけの速さがあったので、優勝という結果はとても嬉しいです。次の目標は今シーズンの最終戦での5度目の勝利です。

セバスチャン・ブエミ(TS050 HYBRID #8号車):

#8号車には素晴らしい結果になりました。レース終盤までチームメイトの#7号車とフェアなトップ争いを繰り広げ、1&2フィニッシュも見えていましたが、不運なアクシデントでそれは叶いませんでした。シーズン中盤、厳しいレースもありましたが、諦めずに努力を続けてくれたチームのおかげで連勝を飾ることが出来ました。次戦、最終戦のバーレーンでもライバルと争い、5勝目を挙げられることを願っています。今は勝利を喜ぶと共に、ライバルと最後の戦いとなるバーレーンでのバトルが楽しみです。

セバスチャン・ブエミ

アンソニー・デビッドソン(TS050 HYBRID #8号車):

富士では私がドライブするチャンスがなかったので、今日は私自身もドライブしてレースを戦い、勝利を祝うことが出来て嬉しいです。TS050 HYBRIDは最高の仕上がりでした。予選では#7号車に比べやや苦戦を強いられましたが、決勝レースでは絶好調になりました。戦略も決まりましたし、クルーの迅速なピット作業にも感謝します。今日の勝利は、チーム全体での勝利です。

RESULT
WEC 2017年 第8戦 上海6時間レース 決勝レース結果

順位No.クラスチーム/車種ドライバー所要時間/差周回ベストラップタイヤ
18LMP1-HTOYOTA GAZOO Racing
トヨタ TS050 HYBRID
セバスチャン・ブエミ
アンソニー・デビッドソン
中嶋 一貴
6:00'40.7771951'45.892M
22LMP1-Hポルシェ LMP チーム
ポルシェ 919 Hybrid
ティモ・ベルンハルト
アール・バンバー
ブレンドン・ハートレー
1 Lap1941'46.136M
31LMP1-Hポルシェ LMP チーム
ポルシェ 919 Hybrid
ニール・ジャニ
アンドレ・ロッテラー
ニック・タンディ
1 Lap1941'46.346M
47LMP1-HTOYOTA GAZOO Racing
トヨタ TS050 HYBRID
マイク・コンウェイ
小林 可夢偉
ホセ・マリア・ロペス
7 Laps1881'46.033M
531LMP2ヴァイヨン・レベリオン
オレカ 07 - ギブソン
ジュリアン・キャナル
ニコラ・プロスト
ブルーノ・セナ
12 Laps1831'51.793D
636LMP2シグナテック・アルピーヌ・マットムート
アルピーヌ A470 - ギブソン
ニコラス・ラピエール
グスタボ・メネゼス
アンドレ・ネグラオ
12 Laps1831'51.980D
713LMP2ヴァイヨン・レベリオン
オレカ 07 - ギブソン
マティアス・ベシェ
デビッド・ハイネマイヤー・ハンソン
ネルソン・ピケJr.
13 Laps1821'52.603D
838LMP2ジャッキー・チェン DC レーシング
オレカ 07 - ギブソン
ホー・ピン・タン
オリバー・ジャービス
トーマス・ローラン
13 Laps1821'51.845D
925LMP2CEFC マノー TRS レーシング
オレカ 07 - ギブソン
ロベルト・ゴンザレス
シモン・トリュンマー
ヴィタリー・ペトロフ
13 Laps1821'53.072D
1028LMP2TDS レーシング
オレカ 07 - ギブソン
フランソワ・ペロード
マシュー・バシビーレ
エマニュエル・コラール
13 Laps1821'52.492D
1126LMP2G-DRIVE レーシング
オレカ 07 - ギブソン
ロマン・ルシノフ
レオ・ルーセル
ニコ・ミューラー
14 Laps1811'52.666D
1237LMP2ジャッキー・チェン DC レーシング
オレカ 07 - ギブソン
デビッド・チェン
アレックス・ブランドル
トリスタン・ゴメンディ
14 Laps1811'52.322D
1324LMP2CEFC マノー TRS レーシング
オレカ 07 - ギブソン
マシュー・ラオ
ベン・ハンリー
ジャン-エリック・ベルニュ
14 Laps1811'52.314D
1467LMGTE Proフォード チップ・ガナッシ チームUK
フォード GT
アンディ・プリオール
ハリー・ティンクネル
25 Laps1702'02.240M
1591LMGTE Proポルシェ GT チーム
ポルシェ 911 RSR
リヒャルト・リエツ
フレデリック・マコヴィッキィ
25 Laps1702'02.660M
1651LMGTE ProAFコルセ
フェラーリ 488 GTE
ジェームス・カラド
アレッサンドロ・ピエール-グイディ
25 Laps1702'02.161M
1766LMGTE Proフォード チップ・ガナッシ チームUK
フォード GT
ステファン・ミュッケ
オリヴィエ・プラ
25 Laps1702'02.154M
1895LMGTE Proアストンマーチン・レーシング
アストンマーチン ヴァンテージ
ニッキー・ティーム
マルコ・ソーレンセン
25 Laps1702'02.631D
1971LMGTE ProAFコルセ
フェラーリ 488 GTE
ダビデ・リゴン
サム・バード
25 Laps1702'02.520M
2097LMGTE Proアストンマーチン・レーシング
アストンマーチン ヴァンテージ
ダレン・ターナー
ジョニー・アダム
25 Laps1702'02.609D
2198LMGTE Amアストンマーチン・レーシング
アストンマーチン V8 ヴァンテージ
ポール・ダラ・ラナ
ペドロ・ラミー
マティアス・ラウダ
29 Laps1662'03.652D
2286LMGTE Amガルフ レーシング UK
ポルシェ 911 RSR (991)
ハレド・アル・クバイシ
ベンジャミン・バーカー
ニコラス・フォスター
30 Laps1652'04.377D
2377LMGTE Amデンプシー プロトン レーシング
ポルシェ 911 RSR (991)
クリスチャン・リエド
マッテオ・カイローリ
マービン・ディエンスト
31 Laps1642'03.531D
2461LMGTE Amクリアウォーター レーシング
フェラーリ 488 GTE
モク-ウェン・サン
澤 圭太
マシュー・グリフィン
37 Laps1582'03.986M
92LMGTE Proポルシェ GT チーム
ポルシェ 911 RSR
マイケル・クリステンセン
ケヴィン・エストル
130 Laps652'02.427M
54LMGTE Amスピリット オブ レース
フェラーリ 488 GTE
トーマス・フローア
フランチェスコ・カステラッチ
ミゲル・モリーナ
158 Laps372'04.669M