WEC 2018-19 第2戦 ル・マン24時間レース

プレビュー

WEC ル・マン24時間レースに挑むTS050 HYBRIDとライバル勢

最大目標ル・マン24時間レースに全力を尽くす

サルト・サーキット

TOYOTA GAZOO Racingは、6月16日(土)から17日(日)に迫った、FIA世界耐久選手権(WEC)の2018-2019スーパーシーズンのハイライト、第2戦ル・マン24時間レースの優勝を目指して臨みます。

エンジンとハイブリッド・システムで合計最大1,000馬力の出力を誇る2台のTS050 HYBRIDが、86回目を迎え、世界三大レースとも言われる伝統と格式のモータースポーツイベントに臨みます。TS050 HYBRID 7号車は小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスの3名がドライブ。8号車は中嶋一貴とセバスチャン・ブエミにル・マン24時間は初レースとなる、フェルナンド・アロンソを加えた3名の布陣で総合優勝を目指します。

シーズン開幕戦のスパ6時間レースで1-2フィニッシュを飾り、チームはトヨタにとって20回目となるル・マンへの挑戦で、勝利を争える手応えを得ました。スパを戦い、ル・マンに臨むTS050 HYBRIDでは、総計25,000km以上にも及んだ冬季オフシーズンテストにおいて、信頼性の向上と突発アクシデントに対応出来るチーム力を作り上げるテストが続けられてきました。

こと速さという面において、TOYOTA GAZOO Racingがトップクラスの実力を有することは、ここ数年のル・マン24時間レースで証明出来ました。それでも2016年は、首位を独走しながら、残り2周というところで発生したトラブルにより、ほぼ手中にしかけていた勝利を逃しました。昨年2017年は、コースレコードを大きく更新する圧倒的な速さでポールポジションを獲得しましたが、優勝を掴むことが出来ませんでした。そして今年、これまで何度も勝利を阻まれてきた最大目標のル・マンに再び挑みます。

トヨタのル・マンへ挑戦によって、レース用に開発されたハイブリッド・システムの改良が続けられ、2018年仕様のTS050 HYBRIDは、参戦を再開した2012年当時に比べ、35%もの燃費改善が図られています。この結果、2018年仕様のTS050 HYBRIDは35.1kgの燃料タンクで、1周13.626kmのル・マン・サルト・サーキットを11周することが出来るまでに至っています。

ライバルのノン・ハイブリッドLMP1車両は、TS050 HYBRIDに対し、45kg軽い車重とより大きな燃料タンク容量(現時点で具体的な数値が公表されていません)が許されており、より高いパワーを発生することが出来ますが、一方でピットストップ回数は多くなり、10周毎のピットインになるものと予想されます。

性能調整が導入された新たなLMP1規則下で行われた第1戦スパでトヨタがライバルに2周差をつけて勝利を飾ったのは、ピット時間の短さも貢献しました。一方、先日のル・マン・テストデーでのレベリオン・レーシングのラップタイムは、昨年までのLMP1車両よりも4秒以上も速くなっており、ノン・ハイブリッド勢のタイムは、大きく向上しています。このようなライバル勢の向上により、今年のル・マン24時間レースは接戦になることが予想されます。

サルト・サーキットも安全性の観点から、若干の変更が加えられました。1周の長さは、公式に3メートル短くなりました。昨年、小林がポールポジション獲得でコースレコードを更新した3分14秒791というタイムは、13.629kmのレイアウトでマークされ、永久に破られることのない記録となりました。そして、1999年にトヨタTS020でマーティン・ブランドルが13.605kmのコースでマークし、その後レイアウト変更まで誰にも破られなかったレコードタイムと共に、ル・マンの歴史に刻まれることとなりました。

2018年仕様のTS050 HYBRIDは、6月3日(日)にサルト・サーキットのフルコースで実施された公式テストデーにおいて、合計2,752kmを走破。この日のファステストラップも記録しました。テストデーで示した信頼性とパフォーマンスを本番でも発揮できるように全力を尽くします。

サルト・サーキットのコース図

ル・マンウィークを通しての総走行時間は合計約35時間にも達し、耐久レースに挑戦する真の精神力が試されることになります。走行セッションは6月13日(水)、4時間の公式練習走行で幕を開け、その後、日の入りが遅い夏の欧州で、夜のとばりが降りる午後10時から、2時間の予選が始まります。

予選は翌14日(木)、更に2回の2時間にわたるセッション(現地時間の午後7時と午後10時開始)でも続けられます。決勝レースのスターティンググリッドはこの3回の予選セッション中最速ラップタイムで決定されます。TOYOTA GAZOO Racingはまず、ル・マンで4度目のポールポジションを目指しての戦いに挑みます。

15日(金)はサーキットでの走行が行われず、ル・マンの旧市街でドライバーズパレードが行われます。ファンの皆様にとっては決勝レース前にドライバー達と間近に触れ合える楽しみな時間です。そして、16日(土)現地時間午前9時からの45分間のウォームアップ走行を経て、同午後3時に24時間に及ぶ長いレースのスタートが切られます。

村田久武 TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表:

いよいよル・マン24時間レースを迎え、身が引き締まる思いです。ここ数年間のレースを思い返し、『これまでの借りを返す』と言う強い思いで臨みます。一昨年、昨年と最後まで志を果たせずレースを終えることになってしまいましたが、今年こそ24時間をしっかり走りきるために、あらゆる緊急事態に備えて徹底的に訓練を重ねて参りました。過去に何度も経験したように、このレースは様々な突発のアクシデントに襲われます。不測の事態が発生した時こそチームの総合力で克服しなければなりません。準備は整ったと信じています。何があっても決して諦めず、表彰台の真ん中に立つために全力を尽くします。ファンの皆様の記憶に残るレースをご覧いただけるよう頑張ります。

小林 可夢偉(7号車):

素晴らしいル・マンのコースでレースが出来るのは、最高の気分です。長い歴史を持つこの偉大なイベントの雰囲気は、他のどのレースとも比べることが出来ない格別なものがあります。昨年、私はル・マンの予選でそれまでの最速ラップの記録を塗り替えましたが、それは何の意味も持ちません。もちろん、最速ラップという結果は誇りですが、決勝レースでこそ結果を出したいと思っています。未勝利のル・マンで、今回こそその大目標を達成したいと思っています。全力を尽くして24時間後のゴールを目指します。

2018年 ル・マンに挑むマイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス、小林可夢偉

マイク・コンウェイ(7号車):

待ちに待ったル・マンがもうすぐ始まります。不本意に終わった昨年のル・マンからこのレースウィークを迎えるために準備し、待ち続けてきました。ル・マンではあらゆる事態に備えて的確な対応をする必要があり、我々は出来得る限りの努力をしてきたと信じています。我々は、昨年よりも強くなって戻って来たと確信しているので、レースウィークを迎えるのが待ちきれません。ル・マンが持つ独特な雰囲気の中でドライブするのは本当に最高ですし、年に一度しか体験出来ないことです。ファンの皆さんもいつも熱狂的で、間違いなく忘れられない一週間になるでしょう。

ホセ・マリア・ロペス(7号車):

ここまでの12か月にわたる頑張りは、全てル・マンレースウィークのためと言えます。冬季のテストで重ねた努力、払ってきた犠牲は、このレースで目標通りの最高のパフォーマンスを発揮するためです。今年最大のレースを迎えるにあたって、全精力を集中します。初参戦の昨年のル・マンは感動的でした。あの雰囲気を再び味わえるのを待ちきれません。多くのプロトタイプカーと実力あるトップドライバーが参戦してくることもあり、素晴らしいレースになることを期待しています。私にとって忘れられないレースのひとつになるでしょう。

中嶋 一貴(8号車):

多忙な一週間になりますし、レースは毎年過酷です。予測が難しい中で、ひとつだけ明らかなのは、テストデーでの結果を見る限り、僅差での激戦になるだろうということです。我々がすべきことは分かっています。万全の準備を整え、決勝レースではいかなるミスも、故障やトラブルも無いように戦うということです。目標はいつものレースと同じです。常に冷静を保ち、ゴールを目指し戦い続けるだけです。目標達成のチャンスは絶対あると信じており、何としても実現する覚悟です。

2018年 ル・マンに挑むセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、フェルナンド・アロンソ

セバスチャン・ブエミ(8号車):

ル・マンは本当に壮大で、大観衆と熱狂に包まれるこの一大イベントに参戦できることに心から幸せを感じています。偉大な伝統的をもつこのレースの全ての瞬間を楽しむつもりです。開幕戦スパとテストデーの内容と結果は、決勝レースへ向けて大いに勇気づけられるものでしたが、戦前の期待と裏腹に、これまで目標を達成することが出来ませんでした。それだけに、気負い過ぎることなく決勝レースに臨むつもりです。様々な突発事態が発生し、決して思い通りのレースにならないことはよく分かっていますが、その過酷さを乗り越えるための出来る限りの努力をし続けて来ました。後はレースを待つだけです。

フェルナンド・アロンソ(8号車):

待ち望んできたレースを迎える万全の準備が出来ました。このレースのためにチームと共に全力を尽くしてきました。私にとって初のル・マン24時間レースへ向けての、ここまでのスタッフの頑張りに感銘を受けました。この強い団結力を持つチームに加われたことを嬉しく思います。長く憧れていたサーキットで行われるこの大イベントでレースを戦えることが実現し感無量です。24時間の決勝レースへ向けた一週間は、自分の胸に深く刻まれるものになるでしょう。私にとって初めてのル・マンは単にレースを戦うことだけではなく、レース前のイベントや、現地での盛り上がり、ファンの皆様とのふれあいなども含めて素晴らしい経験になるものと思っています。それこそがル・マンの魅力だと思います。