SPA-FRANCORCHAMPS
WEC 2019-2020 第6戦 スパ・フランコルシャン6時間レース
プレビュー
TOYOTA GAZOO Racingは、半年にわたる長いインターバルを経て、ついにFIA世界耐久選手権(WEC)のタイトル防衛に向けた戦いを再開します。来週に迫ったその舞台は、伝統のベルギー、スパ・フランコルシャン・サーキットで行われる6時間レースです。
チームが最後にWECのレースを戦ったのは2月のローン・スター・ル・マン6時間(米国テキサス州オースティン)。その後、3月に予定されていたセブリング1000マイルは世界的な状況を鑑み、キャンセルされました。加えて、4月に予定されていたスパ6時間と6月のル・マン24時間も延期。そしてシーズン最終戦として、セブリング戦の代わりにバーレーンでの8時間レースが11月に追加されました。
当初の日程から3か月以上遅れて、スパ6時間レースは8月15日(土)に無観客戦として実施されることとなりました。TOYOTA GAZOO Racingはチームの本拠地であるドイツ・ケルンから約120kmと近いこのサーキットで、4年連続の勝利と、ライバルチームに対し33ポイントリードしているチャンピオン争いでの差をさらに拡げるべくレースに挑みます。
一方で、ドライバーズタイトル争いは激しさを増しています。TS050 HYBRID 7号車を駆るマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの3名がランキング首位に立っていますが、TS050 HYBRID 8号車のセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレーが僅か5ポイント差でチームメイトを追っています。
カレンダーの変更にも関わらず、スパ6時間がル・マン24時間レースへ向けた重要な準備のレースとして位置付けられていることに変わりません。加えて重要なのは、このスパ6時間は今季初めて、ル・マンでも使用予定の、ロー・ダウンフォース仕様のTS050 HYBRIDを投入するということです。
本来であればTOYOTA GAZOO Racingがル・マン24時間レース3連覇を目指していたはずの6月の週末に、バーチャル・ル・マン24時間レースが行われました。TOYOTA GAZOO Racingのエンジニアとドライバーは、レースの行われない期間にも戦いの感覚を維持しておくために、初めてバーチャルイベントに参加しました。
チームはこの初めてのeモータースポーツへの参加によって、しばらくの間レースイベントがなく、ドライバーとエンジニアが直接顔を合わせることもなかった期間を補い、協力関係の感覚を取り戻すことが出来ました。この経験に加え、7月にはフランス、ポールリカール・サーキットで3日間のテストを実施。レース復帰への本格的な準備を開始しました。
スパ6時間のレースウィークは、来週13日(木)の午後に行われる1時間半の公式練習走行で幕を開けます。このセッションは、ベルリンでのフォーミュラEに参戦するブエミが欠場するため、8号車は中嶋とハートレーにより最初の走行が行われます。翌17日(金)は2回目、3回目の公式練習走行に続き、午後に予選が実施され、全31台で競われる決勝レースのスターティンググリッドが決定されます。6時間にわたる決勝レースのスタートは、15日(土)の現地時間午後1時半に切られます。
再びレースを出来ることが大変楽しみです。万全な体制で安全を確保し、レース再開にこぎつけたFIA/WECの多大な努力に感謝します。世界中が大変な事態になっていますが、来週行われる2月以来となるWECレースにより、多くの耐久レースファンの皆様に笑顔が戻ることを願っています。レースが無い間、チームのメカニック、エンジニアからドライバーに至るすべてが緊張感を持ち続け、この日のために全力で準備をしてきました。もちろん優勝を目指して戦います。それがまたル・マンへの最大の準備になると確信しています。
我々7号車はここ数年、スパでは力強いレースを戦ってきましたが、自力ではどうにもならない要因で勝利には届かずにいました。ル・マンも同様で、それもレースではありますが、それだけに本当に勝利を切望していますし、そのために全力を尽くします。スパはル・マンへ向けた準備という意味でも重要なレースなので、ポールリカールテストでのデータを元に、ロー・ダウンフォース仕様から最高のパフォーマンスを引き出す必要があります。
スパでのレースは本当に楽しいですし、特にTS050 HYBRIDで、この最高のコースを走るのは素晴らしい体験です。オースティンでレースを戦ってからずいぶん時間が経ってしまったので、チーム全員が再びレースをするのを待ちきれない状態です。先月のテストで再びTS050 HYBRIDをドライブできたことはもちろん嬉しいですが、今はとにかく実際のレースの現場に戻るのが待ち遠しいです。
ここ数ヶ月、モータースポーツイベントの優先度が低い中で我慢を強いられてきたので、ようやくレースに戻ることができて本当に嬉しいです。ノン・ハイブリッドLMP1勢との戦いは厳しいものになると思いますが、我々はスパではいつも強さを見せていますし、今回も全力で挑みます。またロー・ダウンフォース仕様のTS050 HYBRIDで戦うのが今季初めてとなりますので、ル・マンへ向けた準備という意味でも大変重要です。
来週末、スパでロー・ダウンフォース仕様のTS050 HYBRIDをドライブするのが楽しみです。ポールリカールでのテストは上手く行きましたが、実際のレースウィークと比べることはできません。スパはル・マン24時間レースへ向けた重要なステップでもあります。私自身は、スパでは、直近の3年勝利を挙げているなど、幾つも良い思い出があります。今年もその勢いを維持できるよう頑張ります。