2022 Rd.1SEBRING

WEC 2022 第1戦(開幕戦)セブリング1000マイル

    2022シーズンを戦うGR010 HYBRID

    プレビュー

    3年ぶり開催のセブリングでWEC2022年シーズンをスタート

    TOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)は、来る3月18日(金)に米国フロリダ州で行われるセブリング1000マイル(約1600km)レースで2022年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)の開幕を迎えます。今季より富士通株式会社(以下富士通)およびJFEスチール株式会社(以下JFEスチール)を新たなパートナーとして迎え、全てのパートナーの皆様と共に、今シーズンに向けて改良されたハイパーカー、GR010 HYBRIDでシリーズチャンピオンの防衛に挑みます。

    WEC 2018-19シーズン セブリング1000マイルレース

    2021年シーズン、TGRは700馬力を発揮するハイパーカーGR010 HYBRIDを新たに投入、デビューイヤーにもかかわらずル・マン24時間レースを含む全6戦に完全勝利し、ドライバー、チームの両選手権タイトルを獲得するという最高のシーズンを送りました。今季、2022年シーズンもWECは全6戦で行われ、TGRはタイトル防衛を目指します。

    2022年仕様のGR010 HYBRIDは、昨年の仕様から、タイヤとホイールのサイズが変更されました。前輪は12.5x18インチマグネシウム鍛造レイズ製ホイールに29/71-18サイズのミシュランタイヤを装着、後輪は14x18インチホイールに34/71-18サイズのタイヤという組み合わせとなります。

    タイヤ及びホイールを変更したことで、レギュレーションで定められた空力的な性能を維持するために、ボディワークにも若干の変更が必要となりました。最もわかりやすい変更点は、大型化された車両後部のエンドプレートとエンジンカバーフィンです。

    それ以外のボディワークついては大きな変更点はありませんが、3.5リッターエンジンはWECが2022年シーズンより新たに導入する、100%再生可能燃料に対応すべく調整されています。この燃料はワイン醸造時の絞りかすや農産物などから生成され、CO2排出量を65%以上削減するなど、モータースポーツにおけるサステナビリティ向上という継続的な取り組みに貢献します。

    TGRは新シーズンへ向けて車両の調整だけでなく、チーム体制の見直しも行いました。来る開幕戦セブリングは、小林可夢偉がチーム代表とドライバーという2つの役割を兼務して臨む最初のレースとなります。小林は、共に昨年ル・マンを制し、世界チャンピオンを獲得したマイク・コンウェイとホセ・マリア・ロペスと共にGR010 HYBRID 7号車をドライブします。

    そして昨年までもう一台のドライバーだった中嶋一貴はレースドライバーを勇退し、WECチームの本拠地でもあるTGRヨーロッパの副会長という新たな役割に1月からついています。中嶋はレースにおけるチーム運営をサポートするのと同時に、中嶋に代わってセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレーと8号車をドライブすることとなる平川亮への助言も行います。2016年と2017年にLMP2クラスでル・マン24時間を戦った経験を持つ平川は、彼にとって初のWECシーズン参戦に向け、様々なテストやドライビングシミュレーターなどで準備を整えてきました。

    GR010 HYBRIDやドライバーのスーツには新しいパートナーの富士通とJFEスチールのロゴが加わります。TGRは富士通とJFEスチールの参加を歓迎すると共に、これまでもWECでの成功に欠かせない支援を頂いている全てのパートナーの皆様に、あらためて心より感謝いたします。

    セブリングサーキットのコース図

    2022年シーズンは3月12日(土)と13日(日)の両日に渡ってセブリングで行われるプロローグテストで公式イベントの幕を開けます。GR010 HYBRIDにとってはこのテストが、アメリカのスポーツカーレース発祥の地である、セブリング・インターナショナル・レースウェイ(全長6.019km)を走る初めての機会となります。

    このレースウィークは耐久レースの祭典とも言えるイベントであり、かつての軍用飛行場跡に造られたサーキットには、多くの観客が集まります。18日(金)の夜に1000マイル(約1600km、およそ8時間)にわたるWECのレースが行われ、翌19日(土)には北米をベースに行われているIMSAシリーズの第2戦、通算70回目を迎える伝統のモービル1セブリング12時間レースが行われます。

    TGRがセブリングでレースを戦ったのは2019年の1回のみですが、記録的な観客が集まったこの時はブエミ、中嶋とアロンソのトリオが勝利を挙げ、コンウェイ、小林、ロペス組が2位で続いてTS050 HYBRIDが1-2フィニッシュを飾りました。チームの目標はもちろん、この1-2フィニッシュの再現であり、2022年シーズンにおいて完璧なスタートを切ることです。

    小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):

     セブリングのような耐久レースの聖地とも言えるコースで、2022年シーズンのスタートを迎えることを、チームの全員が楽しみにしています。昨年我々はル・マンで勝利し世界チャンピオンを獲得しました。今年の目標もそれを再現することです。昨シーズン、我々はGR010 HYBRIDの改善点を幾つか発見し、それを解消すべく懸命に努力を重ねて来たので、今季はより信頼性の高いクルマになったと思っています。トヨタ、パートナー企業様、及びチームメンバーの全員によるハードワークとサポートのおかげで、2022年のWECシーズンを戦う準備は整いました。今年のハイパーカークラスは間違いなくエキサイティングなものになるでしょう。新たなライバルとなるプジョー、そしてグリッケンハウスとアルピーヌからの挑戦を心から歓迎します。これから始まるシーズンで、ファンの皆様の記憶に残るようなバトルをお見せできることを楽しみにしています。皆様、応援をよろしくお願いします。

    GR010 HYBRID 7号車の小林 可夢偉
    パスカル・バセロン(テクニカル・ディレクター):

     チーム全体がレースの現場に戻るのをとても楽しみにしており、シーズン前のテストプログラムも非常に順調だったので、良い状態だと感じています。ハイパーカークラスの開発は厳しいホモロゲーションルールで縛られているため、2022年仕様のGR010 HYBRIDにおける変更点は比較的少ないです。今季、ハイパーカーのマニュファクチャラーは、前後31インチか、前29インチ、後34インチかのどちらかのタイヤサイズを選択しなくてはならないため、我々は29/34へと変更することを選びました。この変更により影響を受ける、冷却や空力的パフォーマンスを維持するために、ホモロゲーションで許される範囲でボディワークの変更を行いました。この決断により、我々が昨年直面した後輪のマネジメントに関する課題に対処できることを期待しています。加えて、新たな再生可能燃料を使用することになったため、燃料性状の変化に合わせ、エンジンセッティングの最適化を行いました。この新しい燃料への変更は、カーボンニュートラル社会の実現に向けて重要なステップであり、我々はこのような革新的な技術導入を大いに支持します。これら全ての変更点については冬季のテストで検証を終えており、レースウィークを目前に控えた、セブリングでの今週末のプロローグテストで最終的な準備に入ります。シーズンが待ちきれません。

    マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):

     セブリングは素晴らしいサーキットで、皆楽しみにしています。多くのファンが応援してくれるのは最高の気分ですし、IMSAの関係者と会うのも楽しいです。スポーツカーレースのお祭りのようで、本当に良い雰囲気です。GR010 HYBRIDにとっては初挑戦でかつ、非常にクルマに厳しいコースなので、シーズン開幕戦の舞台としては決して容易ではありません。前もってプロローグテストで走りこんで、翌週のレースウィークへ向けた準備ができるのでそれを活かしたいです。

    ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー):

     ここ2年ほどセブリングでレースを走っていないので、行くのが楽しみです。いつ行っても特別なイベントであり、昔ながらのコンクリート舗装で荒れた路面の特別なサーキットです。GR010 HYBRIDにとっては初めてのサーキットということもあり、それも楽しみのひとつです。また、何年戦ってきても、シーズンの開幕戦はエキサイティングな瞬間です。期待はしていますが、初めて走るコースで我々がどれだけやれるか、そしてライバルもどれだけ進化しているかは分かりません。

    セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):

     新たなシーズンのスタートはいつもエキサイティングですし、セブリングでの開幕は本当に格別です。最後にレースをした2019年以来のセブリングなので、本当に楽しみです。ファンの皆様が素晴らしく、スポーツカーレースに対する彼らの熱意が独特の雰囲気を生み出しています。しかしセブリングはまた非常に特殊なサーキットでもあり、路面は非常に荒れていてクルマに厳しいだけでなく、高温多湿にも苦しめられます。それだけに簡単なレースにはならないでしょうが、勝利を争えるよう準備を進めます。

    GR010 HYBRID 8号車のセバスチャン・ブエミ
    ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):

     2022年のWECシーズンが始まるのを本当に楽しみにしています。セブリングは耐久レースの歴史において重要な存在であり、多くの挑戦をもたらす独特なコースです。ドライバーとしてここでレースをすること、そしてアメリカのファンと会うのは本当に楽しいことです。我々8号車のクルーにとっては亮との初レースになりますが、彼の参加は大歓迎です。彼はテストで素晴らしい仕事をしてくれていますし、セブと3人で協力し最高のシーズンスタートが切れると確信しています。

    平川 亮(8号車 ドライバー):

     ハイパーカーでの最初のレースであり、セブリングに行くのも初めてなのでとても興奮しています。セブリングは熱狂的なファンが多い、素晴らしいコースだと聞いています。それらを経験できるのと、TGRの一員としてWECレースに参戦することが楽しみです。昨年末以来、私はシミュレーターやテストで多くの準備を重ねて来ました。まだまだ学ぶことは多いですが、チームのサポートや、特に他のドライバーの皆さんのおかげで、新たな挑戦への準備は整ったと感じています。