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世界と戦うジャパンパワー 小林可夢偉編 vol.5

決勝レースは予想以上、3位表彰台の成績は本当に良かった

世界と戦うジャパンパワー 小林可夢偉編 vol.5 決勝レースは予想以上、3位表彰台の成績は本当に良かった

メキシコシティって高いところにあって、空気が薄いっていうことで、現地には早めに入って身体を慣らすことにしたんですよ。僕は、1週間前の日曜日に入りました。それから周辺を走ったり、トレーニングしたのですが、これといって問題なかったですね。LM P1-H車両の運転も何ともなかったです。僕はよく富士山登るんですが、5合目までクルマで行って、あたりを走っても何ともない。富士山はそこから上に上がって走るときついですけどね。高地でのレース経験はなかったけど、結局そんなに問題は無かったということですね。

レースの週末はちょっと厳しいスタートでしたね。木曜日の走りはじめ、路面が相当汚れていてグリップがなく、僕たちのクルマがクラッシュしてしまったんです。最悪な状況からのスタートになったのですが、みんなの力を合わせて、そこからなんとかまとめ上げてくることができたと思います。でも、クルマのセッティングは十分できませんでした。事故の後、あまり走れてませんからね。とりあえずコースを覚えるのに精一杯だったというところです。本当なら決勝レース前にはドライバーはもっとコースを習熟していないといけないんですが... 。それに大変なのは、1台のクルマを3人でシェアしているので、1人が運転できる時間が少ないことなんです。走行時間が1時間だと、ひとり20分以下です。決勝レースになってもコーナーで縁石に乗って飛び跳ねたりしました。まだ十分コースに慣れていなかったもしれません。

本当は決勝に向けてクルマのセッティングをもっと詰めたかったんですが、あの状況だったら仕方なかったですね。2日目の予選までには、なんとか#5号車と同じくらいのタイムにはなったんですが、やっぱり、もう少しクルマを仕上げたかったですね。

ところで話は変わるんですが、僕は辛い料理が大好きなんです。料理に興味を持っている僕としては、本場のメキシコにも興味深々なんです。日本にいてもメキシコ料理によく行きますよ。僕にとれば多少辛くても全然普通なんです。でも、ヨーロッパ人は辛いの駄目なんですよ。一緒に行ったドライバー達は「俺を殺す気か!」って言ってました。本場のメキシコ料理は美味しかったですが、料理の種類、名前が分からないんです。タコスか何かわからない。それから、シーザー・サラダ、これはジュリアス・シーザーには関係なく、メキシコのティファナという町にあるレストラン「シーザー・プレイス」の料理人シーザー(チェザーレ)・カルディーニが発明したサラダなんです。知ってました? 昨日、本物っぽいシーザー・サラダだと思って食べに行ったんです。思ってた味とは違いましたね。こうやってチョットしたオフの時間を使って気分転換をしていました。

初日の苦境に反して、決勝レースは予想以上で、もう少しで2位にも行けた内容でした。僕は今回スタートを担当し、スタート自体は問題なしでした。ただ、僕らのクルマはロングランを走っていなかったので、どれくらいのペースで走ればいいか分からなかったんです。それに、僕のところでは、タイヤの内圧が高すぎてグリップがかなり低かったんですが、仕方ないのでそのまま走り切るしかなかったんです。ロングランを走っていないからどれくらいのタイヤ内圧が適性なのか分からなかったんです。そこはちょっと辛かったですが、それ以外では全体的にスムーズでした。何とか無事に僕からマイク・コンウェイ、ステファン・サラザンとつないで、タイヤの内圧を合わせていったらグリップ不足の問題なかったですね。

決勝レース前に一度もロングランを走れず、データ不足でしたが、木曜日の出だしのアクシデントから考えると、完走できるかどうかすら分からなかったくらいなんです。そう考えると、この3位表彰台の成績は本当に良かったです。勿論、深夜遅くまで頑張って修理をしてくれた担当メカニックをはじめ、チームのみんなのおかげです。感謝しています。次戦、オースチンではもっと良い結果を出して彼らの頑張りに報いたいと思います。

  • コースウォークへ向かう小林可夢偉
  • TS050 HYBRID 6号車
  • 走行に備える小林可夢偉
  • 決勝レースを戦うTS050 HYBRID 6号車
  • 決勝レースを戦うTS050 HYBRIDの2台
  • 決勝レースを戦うTS050 HYBRID 6号車
  • メキシコで表彰台に上がった小林可夢偉

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