こんにちは、中嶋一貴です。2週間前に第5戦メキシコが終わり、翌週、岡山でスーパーフォーミュラを戦ってからここオースティンに来ました。岡山のスーパーフォーミュラは、第1レースでポールポジションが取れたのにグリッド位置を間違えてしまいました。クルマの調子もすごくよかったので、もったいないことをしました。第2レースは国本(雄資)選手を追いかけたんですが、抜けませんでした。岡山国際サーキットは抜けないんですよ。それに国本選手も凄く速かった。2位で良しとしないと。
で、ここテキサス州オースティンです。とても暑いですね。
オースティンでの走行は木曜日(9月15日)から始まりました。木曜日、金曜日と走ってまずまずの感触でした。クルマは悪くないので、メキシコと同じくらい、あるいはそれよりややいい感じで走ることが出来るんじゃないかと思っていました。でも、これまでのレースで突きつけられている現実は覆せません。ライバルのアウディやポルシェには確実に差を付けられていました。特に予選では常に1秒余りの差が開いていました。しかし、我々のクルマはレースのペースがいいので、トップに食らいつくような展開になると思います。
木曜日に我々のTS050 HYBRID #5号車が出したタイムは公式練習第1回目で1分49秒361、公式練習第2回目では1分48秒134でした。もちろんまだクルマのセッティングが中心の走行でしたが、トップタイムを出したアウディには約1秒遅れで、大方の予想通りでした。金曜日の公式練習第3回目は午前中の走行でまだ気温がそれほど高くなく、おしなべていいタイムが出たようです。我々の#5号車も1分46秒833。それでも5番手のタイムで、トップタイムはやはりアウディで1分45秒719。1秒近く差を付けられました。
予選は金曜日の夕方6時15分から行われましたが、我々のクルマは不運に見舞われました。僕がまずタイムアタックし、セバスチャン(ブエミ)に交替しました。しかしセバスチャンは勢い余って2度もトラックリミット違反の裁定を受けてしまったのです。そのため彼が記録した2周のベストタイムは抹消されました。トラックリミット違反とは、走行時に4輪ともコースから外れることを言います。タイムアタック中に時としてコーナー立ち上がりで飛び出したり、前車を抜くときに大きくコースを外れたりすることがあるのですが、この行為が違反に採られるようになりました。セバスチャンはその違反に問われ、3回のアタックの一番遅いタイムが採用されました。その結果が1分48秒548で6番手。ただ、無効になったタイムが採用されていたとしても、1分47秒279で我々の予選順位はひとつ上がってポルシェ#2号車の前になっただけだったと思います。
レースは土曜日の午後5時から深夜11時までです。昼間にスタートしないのは気温が高すぎるからだと思います。日中は外気温35度、湿度70%もあり、コックピットの中は死ぬほど暑いですから。でも、午前中にサーキットに入って夕方までやることがないと、かえって疲れますね。
さて、決勝レースですが、ちょっと難しい状況でした。セバスチャンがスタートして一時3位まで順位を上げ、それを引き継いだアンソニー(デビッドソン)も3位をキープしてくれていました。いい調子だなと思っていた矢先、突然ターボチャージャーのウエイストゲートバルブにトラブルが出てエンジンパワーをロスし後退を余儀なくされました。その後、僕に替わってからも縁石でフロント部分を壊したり、セバスチャンに替わって、彼の2回目の走行の時に後輪がパンクしたりで、レースが進むに連れて散々な状況に陥って行きました。問題が発生していなければ、クルマの調子は良かったのですから、表彰台も狙えたはずです。
僕らに替わって#6号車が健闘してくれて、メキシコ戦に続いて3位表彰台に上がりました。彼らの頑張りが引き寄せた結果です。賞賛に値します。でも、次の富士では我々も負けてはいられません。ホームレースですし、クルマは富士のコースに合っているはずです。富士スピードウェイは低ダウンフォース仕様が適したコースなので、ニュルブルクリンクやメキシコで苦労した分を取り返せるはずです。是非ともライバルを凌ぐ良いレースをお見せしたいと思います。10月16日は、皆さん是非、富士スピードウェイに応援に来て下さい。