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WEC 参戦記 2017 小林可夢偉編 vol.4
「正直いって厳しいレースになりました」

WEC 参戦記 2017 小林可夢偉編 vol.4 「正直いって厳しいレースになりました」

結果的にポールポジションは取れましたが、自分自身の予選は満足のいくものではありませんでした。予選で初めてニュータイヤを履いたので、うまくバランスが取れず、どう纏めていいか苦労しました。練習走行ではホセ(・マリア・ロペス)がニュータイヤを試しましたが、僕には回ってこなかったんです。でも、その効果があったのか、ホセが素晴らしいタイム(1分38秒083)を記録してくれたので、ポールポジションが獲得出来ました。ホセと僕の平均タイムは1分38秒118でした。ニュルブルクリンクのコースはニュータイヤを履くといきなり好タイムが出ることがあるので、ホセはその恩恵を受けたのでしょうね。

僕のアタックラップはとても完璧とは言えませんでした。ダウンフォース不足というより、クルマのシステムかタイヤのグリップ不足か分かりませんが、タイムは上がりませんでした。あのタイムでポールポジションが取れたというのは、予選の一周アタックではライバルのタイムが思ったよりも上がってこなかったんだなと思っています。

僕のアタック周ですか? 順番に追って行くと、こんな感じだったでしょうか。 「まず、1コーナーではブレーキバランスがリア寄りすぎてリアがロック。2コーナーは少しアクセルを戻すのが早すぎて、早くインに入りすぎて出口でスナップオーバーを出してしまいました。3コーナーは2速で入っていったらアンダー(ステアー)が大きくなり、オーバーシュートして曲がりきれず、ラインを外れて4コーナーも厳しくなって0.3秒ほどロスがありました。5コーナーでは、アクセルを早く抜きすぎました。6コーナーもブレーキングで少しリアが出て、コーナー途中からアンダーが出ました。それがそのまま7コーナーに影響しました。8コーナーはもう少し外側から進入出来たらよかったんですけど...。9、10コーナーは全開でしたが、11コーナーは半ばでアンダーが出ました。12コーナーはもう少し外側から入ればもっとアクセル踏めていたと思います。シケインはもう少しブレーキ遅らせてターンインを遅らせることが出来れば、最終コーナーの進入を速く出来たのですが、...。」 こうやって振り返って見ると、ほとんど全部駄目だったことが分かりますよね。これだけコーナーの失敗が続くというのは、予選で初めてニュータイヤでアタックしたためかもしれません。それまでに練習出来ていれば、37秒台は十分見えていたのですが...。

決勝レースはライバルに追いかけられることは分かっていました。それでも最初の僕のスティントはクルマの調子も良く、完璧にこなせました。しかし、レースが進むに連れてクルマの調子が悪くなって、正直いって厳しいレースになりました。ライバルはタイトルを狙ってきているのでチームオーダーを使う事は分かっていましたが、我々としては彼らに25点(1位ポイント)取らせないことが最優先事項でした。残念ながらその望みは叶いませんでしたが、それでも踏ん張って3位に入賞できました。1位からは1分4秒768も遅れ。ポイントが取れたことは嬉しいことですが、ここニュルブルクリンクではこれが精一杯でした。

今年はここまで勝てるレースを全部落としています。第2戦のスパなんかフルコースイエロー2回で1分半は損しています。それがなければ1周ほど引き離して勝てていました。チームとしては#8号車が勝てたので良かったですが、個人的には悔しかったです。ここニュルブルクリンクはスパとはまったく話が別でした。3位で良しとしなければいけないでしょう。

 

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