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WEC 参戦記 2017 小林可夢偉編 vol.6
「僕は乗ったときにベストを尽くすだけです」

WEC 参戦記 2017 小林可夢偉編 vol.6 「」

テキサス州オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカ(以下、オースティン)はいつ来ても気持ちの良いサーキットですが、問題は暑さですね。2週間前のメキシコはちょうどいい気温で過ごしやすかったのですが、オースティンは暑かったです。気温は34度ぐらいあったと思います。陽射しを直接浴びるとヒリヒリします。ただ、湿気が少ないので日陰に入ると途端に涼しくなります。日本の夏よりは過ごしやすいですね。

その暑さでTS050 HYBRIDの運転席はどうかというと、走れば思ったほど暑くはないんです。というか、外気温が34度にもなると運転席は猛烈に暑いんじゃないかと思いがちですが、そうでもありませんでした。でも、外気温が31℃を超えるレースはレギュレーションによってドライバーは次の燃料給油ピットインまでの1スティントしか走れないので、燃料補給にピットインする度にドライバーは交替しました。僕は2スティントでも行ける感じでしたが、ルールですから交替しましたけど。

レースの話をすると、ここに持ち込んだTS050 HYBRIDはハイダウンフォース空力仕様でしたので、コーナーではグリップも十分あってその点は申し分なかったのですが、バランスは決して良くはありませんでした。ストレートのスピードもやや伸び悩んで、結局予選では最前列のグリッドを奪うことが出来ませんでした。まあ、6時間もの長丁場ですから予選の順位がレースに大きな影響を及ぼすとは思いませんが、一番前から逃げた方が気持ちは良いですよね。

バランスが良くなかったというのは、タイヤも影響していたと思います。レースでは最初に新品タイヤでスタートしたのですが、オーバーステアとアンダーステアの両方が出て、コーナーが苦しかったですね。でも、レースが進むに連れて何とかなってくるもんですね。これだけのバランスの悪さで、よくもあそこまで戦えたもんだと思いました。不思議な思いすら感じました。

レース中にはLMP2のクルマと接触しました。手前のコーナーの外側からターン7にアプローチしたんですが、その時突然LMP2のクルマが内側に入ってきたんです。それで接触。ただ、どうしてあれで僕がペナルティを取られなきゃいけないのか、納得できなかったです。

同じクルマに乗っていてもドライバー間でタイム差が出るっていう人もいますが、まあ人間だから仕方ないです。コースの状況によっても違うし、使うタイヤによっても違いますから。チームメイトのことを色々いうのではなく、僕は乗ったときにベストを尽くすだけです。みんな同じだと思いますよ。

このレースの次は富士6時間です。去年は勝てたので、今年もそのつもりで行きます。ル・マンのあとややクルマがコースに合っていなかったところもあって低迷していましたが、ここに来て上り調子になってきたので、富士は期待しています。みんなの応援も後押しになるので、宜しくお願いします。

  • コースウォークをする小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス
  • 小林可夢偉
  • エンジニアが作業中のTS050 HYBRID 7号車を見る小林可夢偉
  • サーキット・オブ・ジ・アメリカを走行するTS050 HYBRID 7号車
  • サーキット・オブ・ジ・アメリカを走行するTS050 HYBRID 7号車
  • ピットからチームメイトの走りを見つめる小林可夢偉
 

小林可夢偉編

      中嶋一貴編

          国本雄資編