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WEC 参戦記 2017 中嶋一貴編 vol.8
「優勝は嬉しい 次戦も勝って3連勝し、狙うはシーズン最多優勝」

WEC 参戦記 2017 中嶋一貴編 vol.8 「優勝は嬉しい 次戦も勝って3連勝し、狙うはシーズン最多優勝」

中嶋一貴です。上海のレースで優勝しました。第7戦富士で勝って、その流れを上海まで持ってくることが出来たので嬉しく思っています。ただ、最終戦までもつれ込んで何とか逆転奪取したいと思っていたチャンピオン・タイトルですが、残念ながらマニュファクチャラーもドライバーもライバルに持って行かれました。我々がタイトルを最後に取ったのは2014年。その翌年から3年連続で彼らに持って行かれました。悔しいですが、仕方ないですね。

雨の富士で勝って、その翌週は鈴鹿のスーパーフォーミュラ最終戦が雨で流れて、10月の日本のレースは雨に祟られた感じでした。それからここ上海に来たのですが、レースはやっぱり晴れた方が良いですね。ただ、今年の上海は思ったより寒かったです。

金曜日から走り始めて、土曜、日曜と寒さが増してきており、気温に合わせて車両を調整していかなければいけないので忙しかったですね。調整の中心は、やはりタイヤです。タイヤは気温(路面温度)によって選択が変わってきますから、何種類も確認してみないといけないんです。僕も金曜日の走行では何種類かテストをしました。でも、同じタイヤでも路面温度の変化で結果が変わってくるので、明確な選択は難しいなあ、という感じでした。

今回の予選では僕は、走りませんでした。セバスチャン(・ブエミ)とアンソニー(・デビッドソン)が走ったのですが、セバスチャンがタイムアタックしようとしたときにピットとのコミュニケーションの問題でハイブリッド・ブースト(パワーアシスト)ボタンを押すタイミングが遅れたんです。それでタイムが伸びず、結局3番手のグリッドになりました。ポールポジションは7号車。もちろん僕らも1列目にいたかったんですが、アタックしなかった僕としてはどうすることも出来ませんでした。セバスチャンもアンソニーも出来る限りのことをしての結果だと思うので、まあ仕方ないですね。

上海は富士と比べるともう少し大きめのダウンフォースが必要なので、新しい空力パーツが用意されました。でも走行が進むと、7号車の方が8号車より好調で、決勝前に7号車のセットアップを8号車に移植しました。これは、クルマのバランス調整を細かくあれこれやっている時間がもうないというときに、調子の良い方のクルマのセットアップをコピーするというものです。ここ何戦かはそれをやっています。チームとしては2台が同じようなパフォーマンスでレース出来ることが理想ですし、そうした方が良いと言う認識があるということは大事なことだと思います。

レースはいろいろありましたが、スタートから割と良いペースで走れました。明らかにライバルよりもペースが速かったので、7号車と共に1&2位が手に入るかと思ったのですが、最終盤に7号車が周回遅れと接触して遅れたので、理想的な結果とはいきませんでした。しかし、我々は優勝できたことをとても喜んでいます。富士に続いての2連勝です。

ただ、7号車がアクシデントで4番手まで下がったため、マニュファクチャラー、ドライバーのタイトルは、ライバルに持ち去られました。ここ上海で1&2位になってタイトル争いが最終戦バーレーンに持ちこまれていても、我々には結構厳しいポイント差でしたから、まあ1戦早く決着がついてしまったということですね。タイトル争い的には、消化試合になってしまうバーレーンかもしれませんが、もちろん全力で勝ちにいきますよ。ここで勝てばシーズン最多勝になりますし、富士から最終戦まで3連勝という記録になります。応援お願いします。

  • セットアップを行う、TS050 HYBRID 8号車と7号車
  • 晴天の上海インターナショナル・サーキットをバックを走行するTS050 HYBRID 8号車
  • 上海インターナショナル・サーキットを走行する2台のTS050 HYBRID
  • タイヤ交換を行う TS050 HYBRID 8号車
  • 2連勝に喜ぶ中嶋一貴選手、アンソニー・デビッドソン選手、セバスチャン・ブエミ選手
  • 2連勝を喜ぶスタッフの集合写真

小林可夢偉編

      中嶋一貴編

          国本雄資編