WEC HISTORY 〜ハイブリッドカーでの挑戦史 2012-2021〜

2012“WEC復帰の後半戦で2勝を挙げる
中嶋一貴も日本人20年ぶりの
美酒を浴びる”

2012年にWEC参戦したTS030 HYBRID

TS030 HYBRID #07アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴

6 Race / 3 Win / 3 PP

LeMans 24h

Qualify 5th / Race Retire

TS030 HYBRID #08ステファン・サラザン/アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ

1 Race / 0 Win / 0 PP

LeMans 24h

Qualify 3rd / Race Retire

  • 2012年にWEC復帰に向けてシェイクダウンされたTS030 HYBRIDとドライバーのニコラス・ラピエール、アレックス・ブルツ、中嶋一貴。シェイクダウン時は赤と白のボディーカラーだった
  • 2012年のル・マン24時間レースに参戦したTS030 HYBRID7号車と8号車。ドライバーは7号車がニコラス・ラピエール、アレックス・ブルツ、中嶋一貴。8号車がセバスチャン・ブエミ、ステファン・サラザン、アンソニー・デビッドソン
  • 2012年 WEC 第5戦 サンパウロ6時間レースでTS030 HYBRIDは初勝利を飾った
  • 2012年 WEC 第6戦 富士6時間レースではTS030 HYBRIDが2勝目を飾る。この時ドライブしていた中嶋一貴はFIA世界選手権で20年ぶりの日本人による勝利となった

この年、TOYOTAは画期的なハイブリッド駆動システムを搭載するTS030 HYBRIDで、WECに復帰。初参戦の第3戦ル・マン24時間は、7号車(アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴)と8号車(ステファン・サラザン/アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ)の2台で臨んだ。序盤はトップも伺える位置につけるも、共に他車と接触からクラッシュ。結果、2台はリタイアで終わる。第4戦シルバーストーン以降は7号車(アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール)のみが参戦。第5戦サンパウロはポールポジションを獲得し、そのままWECで20年ぶりの優勝を挙げる。第7戦富士は7号車(アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴)の中嶋がポールポジションを獲得。激しい攻防の末、ホームコースで7号車が優勝。中嶋はWECで日本人20年ぶりの勝利となった。続く第8戦(最終戦)上海もポール・トゥ・ウインで連勝した。

2013“2台のTS030 HYBRIDが
フル参戦し、
富士連覇など2勝を手にする”

2013年にWEC参戦したTS030 HYBRID

TS030 HYBRID #07アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴

6 Race / 1 Win / 3 PP

LeMans 24h

Qualify 5th / Race 4th

TS030 HYBRID #08アンソニー・デビッドソン/ステファン・サラザン/セバスチャン・ブエミ

8 Race / 1 Win / 0 PP

LeMans 24h

Qualify 4th / Race 2nd

  • 2013年のWEC 開幕戦 シルバーストーン6時間レースのスタートシーン
  • 2013年のル・マン24時間レースはTS030 HYBRID 8号車(アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、ステファン・サラザン)が2位表彰台を獲得
  • 2013年のル・マン24時間レースに挑んだTS030 HYBRID 8号車(アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、ステファン・サラザン)
  • 2013年 WEC 最終戦 バーレーン6時間レースでは、TS030 HYBRID 8号車(アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、ステファン・サラザン)が優勝を飾りシーズンを締めくくった

2台のTS030 HYBRIDがフル参戦のこの年。開幕戦シルバーストーンのポールポジションは7号車(アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール)。レースでは8号車(アンソニー・デビッドソン/ステファン・サラザン/セバスチャン・ブエミ)が3位を得た。第3戦ル・マン24時間は11回もセーフティカーが出る荒れたレースとなり、8号車(アンソニー・デビッドソン/ステファン・サラザン/セバスチャン・ブエミ)は2位で表彰台、7号車(アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴)が4位完走と健闘した。第5戦サンパウロは8号車が2位。第6戦富士は悪天候で途中終了になったが、7号車(アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴)がホーム連覇を達成。第7戦上海は7号車がポールポジションから決勝2位に。第8戦バーレーンは7号車(アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール)が連続ポールポジションを獲得。レースではリタイアとなるが、8号車が優勝と有終の美で締めた。

“TS040 HYBRIDを投入。
年間5勝を挙げて
ダブル・タイトルを獲得”

2014年にWEC参戦したTS040 HYBRID

TS040 HYBRID #07アレックス・ブルツ/ステファン・サラザン/中嶋一貴

8 Race / 1 Win / 2 PP

LeMans 24h

Qualify 1st / Race Retire

TS040 HYBRID #08アンソニー・デビッドソン/ニコラス・ラピエール/セバスチャン・ブエミ

8 Race / 4 Win / 2 PP

LeMans 24h

Qualify 3rd / Race 3rd

  • 2014年のWEC 第2戦 スパ・フランコルシャン6時間レースはTS040 HYBRID が開幕戦に続き2連勝を飾った
  • 中嶋一貴がル・マン24時間レース史上初の日本人ポールポジションを獲得
  • 2014年 WEC 第5戦 富士6時間レースでは、TS040 HYBRIDが1-2フィニッシュを飾り、ホームレース3連覇を果たした
  • 2014年は日本メーカーとして初めて世界耐久選手権レースでの年間タイトルを獲得した

この年は、約1000馬力というTS040 HYBRIDの2台で挑む。開幕戦シルバーストーンでは8号車(アンソニー・デビッドソン/ニコラス・ラピエール/セバスチャン・ブエミ)が優勝し、ポールポジションの7号車(アレックス・ブルツ/ステファン・サラザン/中嶋一貴)が2位と1-2フィニッシュ。第2戦スパも8号車が連勝。続く第3戦ル・マン24時間では7号車の中嶋が日本人初のポールポジションを獲得。7号車は14時間過ぎまでトップを独走するもリタイア。8号車が3位で2年連続の表彰台に。そして富士での第5戦は8号車がポール・トゥ・ウインを決めてホーム3連勝。7号車も2位で今季2度目の1-2だ。続く第6戦上海も8号車と7号車の順で連続1-2。第7戦バーレーンでは7号車が優勝。最終戦サンパウロでは手堅く8号車が2位で、日本メーカー初のWECマニファクチャラーズ・タイトルを獲得。さらに8号車のデビッドソンとブエミはドライバーズ・タイトルを手にした。

2015“最高位は決勝3位が2回と
WEC復帰以来初の未勝利に終わる”

2015年にWEC参戦したTS040 HYBRID

TS040 HYBRID #01アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴

8 Race / 0 Win / 0 PP

LeMans 24h

Qualify 8th / Race 8th

TS040 HYBRID #02アレックス・ブルツ、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ

8 Race / 0 Win / 0 PP

LeMans 24h

Qualify 7th / Race 6th

  • 前年にチャンピオンを獲得し、カーナンバー1をつけてWEC 2015年シーズンに挑んだTS040 HYBRID
  • 2015年のWECシーズンは苦戦の年となり、ル・マン24時間レースでも2台のTS040 HYBRIDはコンスタントな走りが出来る性能を証明したが、ライバルのペースには届かなかった。
  • 2015年のWEC 第5戦 サーキット・オブ・ジ・アメリカズ6時間レースはシーズン最高位となる4位フィニッシュを飾った
  • 2015年のWEC 第7戦 上海6時間レースに挑んだTS040 HYBRID

前年に続きTS040 HYBRIDの2台体制でタイトル連覇とル・マン初制覇を目指したが、思わぬ苦戦の年となる。開幕戦シルバーストーンこそ1号車(アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴)が3位表彰台を得るが、第2戦スパは2号車が決勝5位と表彰台を逃す。第3戦ル・マン24時間も2号車(アレックス・ブルツ/ステファン・サラザン/マイク・コンウェイ)が予選7位から決勝6位。予選8位の1号車は他車との接触などもあって9番手までポジションを落とすもリカバリーして8位でゴールと、こちらも悔しい結果に終わった。この後も表彰台に届かないレースが続く。第6戦富士では前年に続き雨の難しいレースとなり、1号車は5位、2号車が6位とホーム4連覇は達成できず。それでも最終戦バーレーンは、2号車が開幕戦以来となる3位表彰台に上がった。なお、このシーズンでブルツはWECから、翌年1月のレースをもってレーシングドライバーを引退した。

2015“ル・マン初制覇は目前で涙...
TS050 HYBRIDの6号車が
2位表彰台に上がる”

2016年にWEC参戦したTS050 HYBRID

TS050 HYBRID #05中嶋一貴、アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ

9 Race / 0 Win / 0 PP

LeMans 24h

Qualify 4th / Race NC

TS050 HYBRID #06小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ

9 Race / 1 Win / 0 PP

LeMans 24h

Qualify 3rd / Race 2nd

  • 2016年のル・マン24時間レース 予選では、TS050 HYBRIDが3,4番手グリッドを獲得した
  • 2016年のル・マン24時間レース 決勝は、TS050 HYBRIDの2台が終始トップを争う展開となったものの、レース終了まで残りわずかのところで5号車がストップ。惜しくも初優勝を飾ることができなかった
  • 2016年のWEC 第7戦 富士6時間レースのスタートシーン
  • 2016年のWEC 第7戦 富士6時間レースはTS050 HYBRID 6号車(ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ、小林 可夢偉)が1.4秒差で逃げ切りシーズン初優勝を飾った。

前年の苦戦を受けて、この年は新型車TS050 HYBRIDを2台投入。この年はまず第3戦ル・マン24時間を狙っていくことになる。前年のブルツ引退を受け、5号車はアンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴となり、6号車は小林可夢偉が新たに加わり、ステファン・サラザン/マイク・コンウェイのトリオになった。ル・マンは予選こそ6号車が3番手、5号車が4番手だったが、レースでは2台が終始トップを争う。23時間を過ぎても5号車がトップ、6号車は3番手と初制覇に手が届くかと思われた。だが、終了5分前。5号車が最後のストレート上でストップ。なんとか走行を再開したが、規定の6分以内に最終周を走り切れず、失格で終わった。6号車は2位となるが笑顔はなかった。この後、6号車は第5戦メキシコと第6戦アメリカを連続3位。第7戦富士は優勝とホームコースで前年の雪辱を果たす。第8戦上海は6号車が2位、5号車が3位と揃って表彰台に上がった。

2017“8号車がシーズン最多の
9戦5勝を挙げるも
惜しくも戴冠を逃す”

2017年にWEC参戦したTS050 HYBRID

TS050 HYBRID #07マイク・コンウェイ/小林 可夢偉/ホセ・マリア・ロペス
(ル・マン24時間レース:マイク・コンウェイ/小林 可夢偉/ステファン・サラザン)

9 Race / 0 Win / 4 PP

LeMans 24h

Qualify 1st / Race Retire

TS050 HYBRID #08セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビッドソン/中嶋 一貴

9 Race / 5 Win / 0 PP

LeMans 24h

Qualify 2nd / Race 8th

TS050 HYBRID #09ステファン・サラザン/国本 雄資/ニコラス・ラピエール
(ル・マン24時間レース:ニコラス・ラピエール/国本 雄資/ホセ・マリア・ロペス)

2 Race / 0 Win / 0 PP

LeMans 24h

Qualify 5th / Race Retire

  • 2017年 WEC 開幕戦 シルバーストーン6時間レースを勝利したTS050 HYBRID 8号車(セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソン、中嶋 一貴)
  • 2017年のル・マン24時間レースは3台のTS050 HYBRIDで挑んだ
  • 2017年のWEC 第7戦 富士6時間レースは雨と霧の混戦だったが、1-2フィニッシュを飾った
  • 2017年 WEC 最終戦 バーレーン6時間レースで勝利したTS050 HYBRID 8号車(セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソン、中嶋 一貴)

この年の改善されたTS050 HYBRIDは、各ドライバーが「ル・マンと共にタイトルを狙う」と手応えを感じて挑む。それを証明するように、第1戦シルバーストーンと第2戦スパを連勝。しかもスパは1-2フィニッシュと自信を得て第3戦ル・マンに臨んだ。予選では7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ステファン・サラザン)の小林が、コースレコードでポールポジション。さらに8号車(セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビッドソン/中嶋一貴)も2番手と予選1-2に。スポット参戦の3台目、9号車(ニコラ・ラピエール/国本雄資/ホセ・マリア・ロペス)も5番手につけた。決勝では前半トップを走る7号車がトラブルでストップ。9号車は他車と接触でリタイアした。8号車もトラブルから長時間のピットインで8位に留まった。またもル・マンは残念な結果で終わる。8号車は第7戦富士から3連勝して年間最多5勝を挙げるが、ドライバーズ・タイトルは2位という結果だった。

2018-2019“日本車初のル・マン連覇!
コンストラクターズと共に
中嶋らがタイトルを獲得”

2018-2019年にWEC参戦したTS050 HYBRID

TS050 HYBRID #07小林 可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ・マリア・ロペス

8 Race / 2 Win / 5 PP

LeMans 24h (2018)

Qualify 2nd / Race 2nd

LeMans 24h (2019)

Qualify 1st / Race 2nd

TS050 HYBRID #08中嶋 一貴/セバスチャン・ブエミ/フェルナンド・アロンソ

8 Race / 5 Win / 3 PP

LeMans 24h (2018)

Qualify 1st / Race 1st

LeMans 24h (2019)

Qualify 2nd / Race 1st

  • WEC 2018−2019年スーパーシーズン 開幕戦 スパ・フランコルシャン6時間レースで1-2フィニッシュを飾ったTS050 HYBRID
  • WEC 2018−2019年スーパーシーズン 第2戦 ル・マン24時間レースではTS050 HYBRID 8号車(中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、フェルナンド・アロンソ)が悲願の初優勝を遂げた
  • 2018-2019年スーパーシーズンの第6戦としてシリーズに加わったセブリング1000マイルレース
  • ル・マン連覇を果たしドライバーズタイトルを獲得したTS050 HYBRID 8号車(中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、フェルナンド・アロンソ)

2018年のWECは、5月の開幕戦スパから2019年6月の第8戦ル・マンまで1年半に渡るスーパーシーズンとして行われた。完成度を高めたTS050 HYBRIDで、8号車にはセバスチャン・ブエミと中嶋一貴に、元F1ワールドチャンピオンのフェルナンド・アロンソが加わる。開幕戦は8号車、7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)の1-2フィニッシュ。続く第2戦ル・マン24時間は8号車の中嶋一貴がポールポジション。レースはTS050 HYBRIDの2台でトップを争う。そのまま1-2フィニッシュし、7号車によるル・マン初制覇を成し遂げた。その後、第4戦富士、第5戦上海と7号車が優勝。第6戦セブリング、第7戦スパと8号車が連勝とチームは4連勝。そして最終戦は、再びのル・マン。ここでも速さを遺憾なく発揮し、7号車の小林可夢偉がチーム3年連続のポールポジションに。レースはトップの7号車が終盤パンクで2番手に下がり、8号車が逆転して優勝。日本車として、中嶋は日本人として初のル・マン連覇を記録。またコンストラクターズと共に中嶋組3人はドライバーズのタイトルも獲得した。

2019-2020“TS050 HYBRIDのラストシーズン
ル・マン3連覇とダブルチャンピオンで締めくくる”

2019-2020年にWEC参戦したTS050 HYBRID

TS050 HYBRID #07小林 可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ・マリア・ロペス

8 Race / 4 Win / 3 PP

LeMans 24h (2020)

Qualify 1st / Hyperpole 1st / Race 3rd

TS050 HYBRID #08中嶋 一貴/セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー

8 Race / 2 Win / 1 PP

LeMans 24h (2020)

Qualify 2nd / Hyperpole 3rd / Race 1st

  • WEC 2019-2020年シーズン 開幕戦 シルバーストーン4時間レースで1-2フィニッシュを飾ったTS050 HYBRID
  • 無観客で開催されたWEC 2019-2020年シーズン 第7戦 ル・マン24時間レースでポールポジションを獲得したTS050 HYBRID 7号車(マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペス)
  • WEC 2019-2020年シーズン 第7戦 ル・マン24時間レースでル・マン3連覇を成し遂げたTS050 HYBRID 8号車(セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレー)
  • WEC 2019-2020年シーズンのドライバーズチャンピオンとチームチャンピオンを獲得したTOYOTA GAZOO Racing

2019年も9月のシルバーストーンを開幕戦に2020年6月のル・マン24時間まで全8戦の年越しのシリーズとなった。翌年の2021シーズンからは車両規定が変わるため、TS050 HYBRIDはラストシーズンになる。規定の改定でライバルよりも99kgも重い車両ながら開幕戦で7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)がポールポジション。8号車(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー)との争いに加え、荒れた天候もあって苦戦するも、7号車はポール・トゥ・ウイン。8号車もトラブルにヒヤリの瞬間もありながら2位と上々の結果を得た。
第2戦はホームコースの富士は8号車がポール・トゥ・ウイン。7号車も予選2位から決勝2位と2戦連続のワン・ツーを決めた。続く第3戦上海は最大のサクセス・ハンディキャップに苦しみ、7号車が予選4位、8号車も5位に。しかし、決勝では8号車が2位、7号車も3位と続いた。第4戦バーレーンでも8号車、7号車は2列目スタートとなるが、見事に7号車が優勝し、8号車も2位とワン・ツー・フィニッシュを飾った。
2020年となり2月の第5戦ローン・スター・ル・マン(アメリカ)では、8号車が2位で7号車が3位と揃って表彰台に上がる。この後、新型コロナウイルス感染拡大により、以後の開催スケジュールは変動。ようやく8月に開催された第6戦スパ・フランコルシャンでは7号車が優勝し、8号や2位と4度目のワン・ツー・フィニッシュを決めた。
続く第7戦ル・マン24時間では、サクセス・ハンディキャップから解放された7号車の小林がポールポジション。そのままレースでも7号車がリードするが、12時間を過ぎたところで、トラブル修理で約30分のストップ。その後、挽回して3位でゴールした。7号車に代わってリーダーとなった8号車はそのまま優勝。TOYOTA GAZOO Racingは、ル・マン3連覇の偉業を達成するとともに2019-2020シーズンのチームチャンピオンを確定した。そして最終戦バーレーンでは7号車がポール・トゥ・ウインを決めて、コンウェイ/小林/ロペス組が今季のドライバーズチャンピオンを獲得。8号車も2位に入り、TS050 HYBRIDはラストレースを5度目のワン・ツーで締めくくり、2021シーズンに登場するハイパーカーへの道を繋いだ。

※ 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年3月から8月のスケジュールが変更された

2021“ハイパーカー時代の幕開け
GR010 HYBRIDが全勝でダブルタイトル獲得”

2021年にWEC参戦したGR010 HYBRID

GR010 HYBRID #07小林 可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ・マリア・ロペス

6 Race / 3 Win / 4 PP

LeMans 24h (2021)

Qualify 1st / Hyperpole 1st / Race 1st

GR010 HYBRID #08中嶋 一貴/セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー

6 Race / 3 Win / 1 PP

LeMans 24h (2021)

Qualify 3rd / Hyperpole 2nd / Race 2nd

  • WEC 2021年シーズン ハイパーカークラス参戦したGR010 HYBRID
  • WEC 2021年シーズン WEC 2021 第4戦 ル・マン24時間レース スタートシーン
  • WEC 2021年シーズン ル・マン24時間で悲願の優勝を果たしたGR010 HYBRID 7号車
  • WEC 2021年シーズン TGRドライバー最後のレースで有終の美を飾った中嶋 一貴

開幕戦はスパ6時間。新設されたハイパーカークラスには2台のGR010 HYBRIDが参戦し、7号車の小林可夢偉がポールを獲得。レースは8号車(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー)が7号車(マイク・コンウェイ/小林/ホセ・マリア・ロペス)、そしてライバルとの争いを制して優勝。7号車は3位に入った。続くポルティマオ8時間はトヨタのWEC参加100戦目のレース。ここでも8号車が優勝(通算32勝目)し、7号車が2位。第3戦モンツア6時間では序盤から2台のGR010 HYBRIDが接近戦を展開するが、8号車がトラブルで遅れ、7号車が初優勝。8号車は33位でチェッカーを受けた。
そしてル・マン24時間。2020年はコロナ対策で無観客開催だったが、5万人限定でファンが入場した。7号車の小林がポールを奪うと、決勝でも7号車がレースの大半をリード。トラブルを克服して悲願の優勝を果たした。8号車はスタート直後に他車に追突されるが、追い上げて7号車とトップ争いを展開。後半、トラブルに見舞われながらも2位に入った。
次のバーレーン6時間でも、2台のGR010 HYBRIDがトップ争いを見せ、7号車が3連勝。8号車が2位に入り、最終戦を待たずチームタイトルを決めた。最終第6戦はバーレーン8時間。GR010 HYBRID 2車が8号車、7号車の順に1-2フィニッシュ。中嶋はTGRドライバー最後のレースで有終の美を飾り、2位に入った7号車の小林、コンウェイ、ロペスはハイパーカー初代ドライバーズチャンピオンに輝いた。

2022“2年目のGR010 HYBRIDが
6戦で計4勝を挙げてハイパーカー連覇を達成”

2022年にWEC参戦したGR010 HYBRID

GR010 HYBRID #07マイク・コンウェイ/小林 可夢偉/ホセ・マリア・ロペス

6 Race / 2 Win / 1 PP

LeMans 24h (2022)

Qualify 1st / Hyperpole 2nd / Race 2nd

GR010 HYBRID #08セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川 亮

6 Race / 2 Win / 2 PP

LeMans 24h (2022)

Qualify 29th / Hyperpole 1st / Race 1st

  • 第3戦ル・マン24時間でトップチェッカーを受けたセバスチャン・ブエミ、平川 亮、ブレンドン・ハートレー
  • 最終戦(第6戦)バーレーン8時間でシーズン2勝目を達成した7号車
  • 3年ぶりの開催となる富士でシーズン2度目の1-2フィニッシュを達成
  • 4シーズン連続でのダブルタイトルを手にしたTOYOTA GAZOO Racing

WECチャンピオン連覇を目標に、TOYOTA GAZOO Racingの2022年シーズンが始動。レギュレーションに合わせ改良を施した2台のGR010 HYBRIDでハイパーカークラスに挑む。開幕戦は3年ぶりのセブリング1000マイル。7号車のマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスという不動の3選手に対し、8号車は新たに平川亮が加入。セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレーと共に初戦に臨んだ。レースでは7号車がリタイヤに終わる。だが、8号車は予選4番手から2位フィニッシュし、表彰台に上がった。第2戦はスパ・フランコルシャン6時間。雨の中、8号車はトラブルで序盤に戦線離脱したが、予選3番手の7号車は2度の赤旗中断や安定しない天候いわゆる“スパ・ウェザー”にも見舞われたが、接近戦を制してシーズン初勝利を挙げた。
続く第3戦ル・マン24時間は、第90回記念大会だ。チームとしても5連覇が掛かる。予選は前年ウィナーの7号車が暫定ポールポジション。翌日のハイパーポールでは8号車のハートレーが接戦となったタイムアタックを経てトップタイムをマーク。チームは6年連続でポールポジションを獲得、7号車も2番手に続いた。レースは7号車の先行で1-2体制を堅守、長きにわたり首位争いを展開。レース後半、7号車のトラブル発生で順位が入れ替わったが、ともに24時間を走破。8号車がシーズン2勝目のトップチェッカーで、1-2フィニッシュに成功した。
第4戦モンツァ6時間は、アクシデントが多発して激しいトップ争いに。8号車が2位、7号車は3位で表彰台に立った。第5戦は3年ぶりの開催となる富士での6時間だ。予選は7号車の小林がハイパーカーとして”ホームコース”で初ポールポジションを獲得。8号車も2番手につける。レースは8号車が序盤にトップを奪取、このままシーズン2度目の1-2フィニッシュを達成。富士5連覇を果たした。
最終戦(第6戦)バーレーン8時間は、8号車が予選でシーズン2度目のポールポジションを獲得。レースでは折返しを前に予選3番手から7号車がトップに立ち、そのままシーズン2勝目。最終戦をシーズン3度目の1-2フィニッシュで飾り、8号車のブエミ、ハートレー、平川がドライバーズチャンピオン、TGRはマニュファクチャラーズチャンピオンとなり、4シーズン連続でのダブルタイトルを手にした。

2023“7戦で4度のワン・ツーを達成し、8号車がチャンピオンに!
GR010 HYBRIDがハイパーカーで3連覇を達成する”

2023年にWEC参戦したGR010 HYBRID

GR010 HYBRID #07マイク・コンウェイ/小林 可夢偉/ホセ・マリア・ロペス

7 Race / 4 Win / 3 PP

LeMans 24h (2023)

Qualify 3rd / Hyperpole 5th / Race Retired(103Laps)

GR010 HYBRID #08セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川 亮

7 Race / 2 Win / 2 PP

LeMans 24h (2023)

Qualify 4th / Hyperpole 3rd / Race 2nd

  • 第7戦 バーレーン8時間レース スタートシーン
  • 第6戦 富士6時間レースで1-2フィニッシュを達成
  • 第3戦 スパ・フランコルシャン6時間で2位フィニッシュしたGR010 HYBRID 8号車
  • GR010 HYBRID 7号車

2023年はLMHクラスにLMDh車両が参加可能となり、参戦メーカーが増加。開幕前から大いに注目された。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)はマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスのGR010 HYBRID 7号車とセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車でマニュファクチャラー、ドライバー両タイトル連覇を目指した。
開幕戦セブリングはフェラーリ50号車がポールポジション、GR010 HYBRID 8号車が2位、7号車が3位。だがレースでは7号車が中盤トップに立つと、追いすがる8号車を制し、TGRが1-2フィニッシュを飾った。続く第2戦ポルティマオでは8号車がコースレコードでポール、7号車が2位とTGRがフロントロウを独占。レースは8号車が大半をリードして優勝。7号車は序盤、センサー交換でタイムロスし、9位でレースを終えた。第3戦はル・マン24時間の前哨戦、スパ・フランコルシャン。熾烈を極めた予選では7号車が1位、フェラーリ50号車が2位。8号車はアクシデントでタイムなし。荒れた展開のレースでは7号車が優勝。クラス最後尾スタートの8号車が2位と、TGRが1、2位を独占した。
そして第4戦は100周年記念ル・マン24時間。TGRは6連覇を目指すが、ハイパーポールでは8号車が僅差の予選3位、7号車は5位と7戦連続ポールポジションを逃す。決勝レースは序盤から大荒れとなるが、2台のGR010 HYBRIDは常に上位を快走。だが8時間経過後、7号車が他車に追突されてリタイア。最後までトップを争った8号車が2位となった。
第5戦の舞台はフェラーリの地元、モンツァ。予選では7号車がコースレコードで1位、8号車は3位。レースは7号車がフェラーリとの激戦を制して優勝。だが8号車はペナルティを科されて6位に終わった。
第6戦はTGRのホームコースである富士スピードウェイ。7号車がコースレコードでポールポジションを奪い、8号車も2位とTGRでフロントロウを独占した。レースでは7号車がポルシェとのバトルを制して優勝、8号車も2位と圧勝。TGRは最終戦を待たずにマニュファクチャラー王座を獲得した。
迎えた最終戦バーレーンでは8号車がポールポジション、7号車が2位とTGRが今季3度目の予選ワン・ツー。レースはブエミ、ハートレー、平川の8号車が終始首位をキープして制し、2年連続ドライバー王座に。これでTGRとしてはダブルタイトルの3連覇を確定した。7号車も2位に入り、この年4度目のワン・ツー フィニッシュで有終の美を飾った。