トヨタがル・マン24時間に残した軌跡
The History of TOYOTA at Le Mans
2012-2015
中嶋一貴がTS040 HYBRIDで日本人初のポールポジション
2012年になると世界耐久選手権(WEC)がスタートし、ル・マン24時間も選手権の1戦となった。トヨタはTMGが製作したシャシーに、東富士研究所で開発されたハイブリッド・パワーユニットを搭載したトヨタTS030 HYBRIDでWECに参戦。トヨタのハイブリッド技術がル・マン24時間に初挑戦することとなった。予選では3位と5位に入るが、決勝では1台がLMGTE Amクラスの車両に追突されてクラッシュ。もう1台もレースが半分を経過する前にトラブルでリタイアに終わった。
翌2013年のル・マンでは改良型のTS030 HYBRIDが予選で4、5位につけ、決勝でも積極的な走りでトップ争いを展開。2位と4位で完走を果たし、1年間の目覚ましい進化を証明した。
続く2014年、TS040 HYBRIDはWECで大活躍する。開幕2戦で圧勝し、優勝候補としてル・マンに臨んだ。中嶋一貴が日本車と日本人ドライバーによる初のポールポジション獲得という記録を打ち立てるが、決勝では不運なアクシデントやトラブルが2台の車に次々と襲い、中嶋がドライブした7号車はリタイア。もう1台の3位が最上位となった。
だがこの年、トヨタはドライバーズ、マニュファクチャラーズともに世界チャンピオンのタイトルを獲得した。
そして2015年。最新型TS040 HYBRIDが2台参加。信頼性は大きく高まったものの、前年から大幅に速さを増したライバル勢に遅れをとり、予選では7、8番手、決勝でもライバル勢の速さにはついて行けず、ともに完走を果したものの6位と8位。悲願のル・マン優勝は翌年に持ち越されることとなった。