トヨタがル・マン24時間に残した軌跡 35 years of TOYOTA at Le Mans 24h

トヨタがル・マン24時間に残した軌跡
The History of TOYOTA at Le Mans

レースを志す者ならドライバーもエンジニアも憧れる伝統の一戦、ル・マン24時間。
トヨタも1985年に初参戦して以来、多くのレースカーを開発し、
数々の名勝負を演じ、そして悲願の初勝利を挙げ、
さらに2022年は5連覇を達成しました。
この激闘を演じてきた車両と、各年代のエピソードをご紹介します。

1985-1988量産ベースの小排気量エンジンでル・マン挑戦が始まる

1985-1988 量産ベースの小排気量エンジンでル・マン挑戦が始まる

1975年のシグマMC75によるトヨタ・エンジンのル・マン初登場からちょうど10年。1985年に2台のトヨタトムス85Cがル・マン24時間に参加した。トムス/童夢製のアルミモノコック・シャシーに、トヨタ4T-GT改(4気筒)2.1リッターターボエンジンを備えた85C、スタートした2台のうち1台が見事24時間を走り切り、12位でチェッカーフラッグを受ける。こうして、今へと続くトヨタのル・マン24時間挑戦の歴史が動き出した。

1989-1990グループCカーを開発し、過去最高の6位となる

1989-1990 グループCカーを開発し、過去最高の6位となる

小排気量の量産エンジン搭載車で一定の成果を収めたトヨタは1988年、いよいよル・マン24時間優勝を視野に、トヨタ88Cを開発する。車両製作はTRDが担い、トムスはレースオペレーションに専念。カーボンモノコック・シャシーにV8気筒3.2リッターツインターボの純レーシングエンジンを搭載した88C-Vはこの年JSPC参戦を通して熟成が図られ、チームは経験値を高めて行く。

1992-1994優勝にあと一歩。TS010がついに表彰台に上がる

1992-1994 優勝にあと一歩。TS010がついに表彰台に上がる

FIAが1982年に施行したスポーツプロトタイプカーの技術規則、グループCによるレースは内外の多くの自動車メーカーが興味を示し、ル・マン24時間や日本をはじめ世界各地で盛り上がりを見せた。だが1991年にFIAが規定を変更し、エンジンを自然吸気3.5ℓに統一すると撤退が相次ぎ、最高峰のスポーツカー世界選手権(SWC)も参加台数が大幅に減少。 1992年をもって終焉を迎えてしまう。91年の参戦を見送ったトヨタは、1992年にV型10気筒エンジンを搭載したトヨタTS010をSWCにエントリー。開幕戦モンツァで優勝を果たし、いよいよル・マン24時間総合優勝への期待が膨らんだ。

1995-1999TS020の日本人トリオが優勝に最接近も2位にとどまる

1995-1999 TS020の日本人トリオが優勝に最接近も2位にとどまる

ル・マン24時間の主役がCカーからGTカーへと移った1995年、LMGT1規定で製作されたスープラGT LMが1台参戦した。2.1リッターの3S-GT改ながらLMGT1仕様の強大なパワーに、車両のセッティングに苦慮。それでも決勝では一時7位まで浮上する健闘を見せ、14位で完走を果した。

2012-2015中嶋一貴がTS040 HYBRIDで日本人初のポールポジション

2012-2015 中嶋一貴がTS040 HYBRIDで日本人初のポールポジション

2012年になると世界耐久選手権(WEC)がスタートし、ル・マン24時間も選手権の1戦となった。トヨタはTMGが製作したシャシーに、東富士研究所で開発されたハイブリッド・パワーユニットを搭載したトヨタTS030 HYBRIDでWECに参戦。トヨタのハイブリッド技術がル・マン24時間に初挑戦することとなった。

2016-2020挑戦20回目に悲願の優勝!日本車&日本人ドライバーの初勝利に

2016-2020 挑戦20回目に悲願の優勝!日本車&日本人ドライバーの初勝利に

2016年はスタートから21時間を経ても2台のTS050 HYBRIDと1台のポルシェが同一周回で争った。残り1時間、首位の5号車と2位ポルシェとの差はわずか30秒。残り3周、ポルシェの緊急ピットインでその差は広がり、TS050 HYBRIDの優勝は確実かに見えた。ところが残り5分、何と5号車が失速。ファイナルラップへと向かう最後のストレートで止まってしまう。

2021-2023ハイパーカー導入の新時代も勝利を重ね2022年で5連覇! だが翌年の100周年大会は2位に終わる。

2021-2023 ハイパーカー導入の新時代も勝利を重ね2022年で5連覇! だが翌年の100周年大会は2位に終わる。

最高峰クラスがそれまでのLMP1からハイパーカーに変わり、新時代を迎えた2021年。予選では小林可夢偉の駆るGR010 HYBRIDの7号車が、新時代最初の、そしてチーム5年連続となるポールポジションを獲得。