主役はディーゼル、そしてハイブリッドへ
2006年にはアウディが投入したディーゼルターボのR10TDIが優勝し、その後はディーゼルターボ車がル・マン24時間を圧倒し続ける。2007年になるとプジョーが、やはりディーゼルターボの908 HDIでル・マンに復帰。アウディ対プジョーの戦いが幕を開けた。ポールポジション、最速ラップを奪うなど速さを見せるプジョーだったが、優勝は2009年まで待たねばならなかった。そして欧州経済情勢の悪化を理由に2011年を最後に撤退した。
一方、GTでは2000年からワークス・コルベットが活躍。フェラーリ、アストンマーチンとの争いが続く。GTカテゴリーは2011年にLM GT2ベースのLM GTE ProとLM GTE Amというクラス分けになった(Proはプロフェッショナル、Amはアマチュア)。
そして2012年、ル・マン24時間は新たな時代に突入する。ハイブリッド車が初めて優勝争いを演じたのだ。このレースでデビューしたトヨタ TS030 HYBRIDは一時トップに立つが、参加した2台ともリタイア。アウディR18 e-toron quattroが優勝した。
2012年、第80回大会となったこの年から、革新的技術を持つ車両を走らせる「Operation 56e Stand」がスタートした。2年目の2013年にはスイスのグリーンGT社の水素を用いた燃料電池車、グリーンH2が選出されたが、準備が整わず参加を断念した。だがその5年後、このプロジェクトは形を変えて大きく動き出すことになる。
また2013年にはLMGTE Am車両による重大事故が発生した。これを受けて翌年には安全性を高めるため、コースの改修が行われた。さらに同年からル・マン初参加のドライバー、過去5年間参加していないドライバーに、シミュレーターによるトレーニングが義務づけられた。安全性向上への様々な対策はその後も続けられた。