The Rivals in Le Mans 2023

2023ル・マンを競う
手強きライバルたち

TGRとハイパーカークラスを戦う
6メーカーのプロフィール

1923年の初開催以来、今年で100周年を迎えるル・マン24時間。
その歴史的な大会で、TOYOTA GAZOO Racingは6連覇を、そして2023 WECの5連覇を目指していきます。
しかし、今季は各国の強豪ワークスチームや有力プライベーターも、
この記念すべき大会での勝利を虎視眈々と狙っています。
TGRの手強きライバルたち、ハイパーカークラスの6メーカーをご紹介しましょう。

  • ポルシェ・ペンスキー

    PORSCHE PENSKE MOTORSPORT

    ポルシェ・ペンスキー

    独ポルシェと米の強豪のジョイントチーム

     ドイツのポルシェAGと米国のチーム・ペンスキーとのパートナーシップによるPORSCHE PENSKE MOTORSPORT(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)から3台の963 Hybridが参戦する。同チームは今シーズン、WECとIMSAウエザーテックスポーツカー選手権の両方にそれぞれ2台のマシンをエントリーしており、IMSAでは1勝を挙げている。ポルシェとペンスキー提携の歴史は古く、1950年台までさかのぼる。そして2006年から2008年まで、アメリカン・ル・マン・シリーズでは数々の王座を獲得している。またPorsche 963 Hybridは、ハーツ・チームJOTAからもが1台が参戦する。
     ポルシェは最多の総合優勝19回を誇ると共に数々のクラス優勝を記録している。トヨタ・トムス85C-Lがル・マン初挑戦して完走した1985年を制したのも、トヨタ94CVで優勝目前だった1994年を制したのも、ポルシェだった。そして2014年に復帰するや、ポルシェはその翌年からトヨタの前でゴールし、3連覇を果たしている。

     6号車のアンドレ・ロッテラーはル・マン24時間で3勝を記録している。SUPER GTのGT500クラス、フォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)でも王座を獲得している。

  • フェラーリ

    FERRARI AF CORSE

    フェラーリ

    名門フェラーリがル・マン総合優勝に挑む

     AF Corseは元レーシングドライバーのイタリア人、アマート・フェラーリが2002年に設立した。マセラティやフェラーリとの関係が深く、2003年から2006年まではマセラティのワンメイクレース運営にも携わっていたほか、チームとしてイタリア国内のGT選手権にも参戦。その後フェラーリとの協力関係が始まり、FIA GT選手権、ル・マン24時間やWECにフェラーリのGTマシンで参戦。数々の勝利を挙げてきた。ル・マンでもLMGTE Proクラスで4勝、LMGTE Amクラスでも1勝を記録している。
     フェラーリのル・マン24時間初参戦は、第二次世界大戦後初開催となった1949年。この初参戦で総合優勝という快挙を成し遂げた。以来、最後に勝利した1965年までに9度の総合優勝を記録している。

  • プジョー

    PEUGEOT TOTAL ENERGIES

    プジョー

    耐久レースやラリーを沸かせてきた
    古豪が復活

     プジョーは早くからモータースポーツ活動を行っており、世界初の自動車レースともいわれる1895年に開催されたパリ〜ボルドー〜パリに参戦しているほか、1913年にはフランス・グランプリとインディ500を制している。ル・マン24時間他の耐久レース、世界ラリー選手権、ダカールラリー等でも多くの世界タイトルを獲得している。ル・マンでもグループCカー、ターボディーゼルのLMP1で総合優勝を遂げている。
     プジョーのル・マン24時間における歴史は古く、初参戦は1926年。初の総合優勝はグループC時代の1992年で、翌年も総合優勝した。2009年が最後の優勝で、計3回の総合優勝を果たしている。グループCカー時代の1992年と1993年にはトヨタと対峙しているが、ともにプジョーが優勝。特に1993年は、プジョーが表彰台を独占した。

     94号車のロイック・デュバルは2013年のル・マン・ウイナーだ。また、フォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)とSUPER GTのGT500クラスでもチャンピオンを獲得している。

  • キャデラック

    CADILLAC RACING

    キャデラック

    米国レースで活躍の
    名門キャデラックが再び挑戦

     キャデラックは地元である北米を中心にレース活動を展開。2004年からツーリングカーやGTカーのレースで数々のタイトルを獲得した。2017年にプロトタイプカーでIMSAウエザーテックスポーツカー選手権参戦を開始。2023年にはV-Series.R Hybrid をWECに投入する。ル・マン24時間にはACTION EXPRESS RACINGからもV-Series.R Hybridが1台参戦する。
     キャデラックのル・マン24時間初参戦は1950年。5.4リッターのOHV、V8エンジンを搭載した2台が10位、11位で完走した。その後、2000年にチーム・キャデラックからLMP900クラスに参戦。2002年には9位、12位に入った。

  • グリッケンハウス

    GLICKENHAUS RACING

    グリッケンハウス

    独自開発の車両で知られる
    米国の有力プライベーター

     米国のScuderia Cameron Glickenhaus (スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス)が母体のチームで、同社はレーシングカーだけでなく公道走行用スポーツカーも製造、販売する。WECおよびル・マン24時間ではポルシェ、アウディと共にル・マン24時間を何度も制しているドイツの名門、ヨースト・レーシングがサポートする。
     ル・マン24時間には2021年に初参加ながら見事、総合4、5位で完走を果たした。翌2022年には3、4位と表彰台にも上がっている。

     708号車のロマン・デュマは長くポルシェ、アウディのワークスドライバーとして活躍。ル・マンでも2勝している。全日本GT選手権(現SUPER GT)のGT500クラスにスープラで参戦したこともある。

  • ヴァンウォール

    FLOYD VANWALL
    RACING TEAM

    ヴァンウォール

    様々なレース経験を積んで
    今季からハイパークラスに挑戦

     チームの母体は2000年にドイツで設立されたKolles Racingで、当初はドイツF3選手権などに参加。2002年にはJ.P.デ・オリベイラも所属した。その後DTM、耐久レースに活動の場を移し、2015年からはByKolles(バイコレス)の名でWECに参戦。2023年からは1950年代にF1で活躍したVanwall(ヴァンウォール)をチーム名とした。
     ル・マンにはTeam Kollesとして、2009、2010年はアウディで参加。2012年からはLMP2にLotusの名で参加し、2015年からはByKollesのチーム名でLMP1クラスに参加した。以前からLMH車両の製作を行っておりWEC参戦を表明していたが、結局参戦は2023年になった。

     4号車のジャック・ビルヌーブは1992年には全日本F3選手権にTOM’Sから参戦して2勝を挙げ、シリーズ2位になった。その後、インディ500で優勝し、F1でもチャンピオンを獲得した。ル・マンでは2007年と2008年にプジョーのハイブリッドLMP1で参戦した。