WEC CHALLENGE REPORT 〜山下健太の挑戦〜 第3戦 上海4時間レース

vol.3"未知への船出"

中国

第3戦 上海4時間レース

2019年11月8日-10日
上海・インターナショナル・サーキット

TGR WECチャレンジドライバーの山下健太が、11月8日(金)から10日(日)にかけて、中国・上海国際サーキットで行われた、FIA世界耐久選手権(WEC)第3戦上海4時間レースに、LMP2クラス・ハイクラスレーシング(デンマーク)から参戦し、総合11位、クラス6位でフィニッシュしました。

サーキット入り

上海から始まる走行経験のないサーキットでの戦い

このWEC上海戦の前週末に、ツインリンクもてぎで行われたSUPER GTの最終戦で、GT500クラスの初タイトルを獲得した山下は、中2日というスケジュールで上海入り。木曜日からチームに合流し、サーキットウオークで初走行となる上海国際サーキットを確認しました。

  • チームメイトのアンダース・フィヨルドバッハ選手、マーク・パターソン選手とコースウォークを行う山下健太

    チームメイトのアンダース・フィヨルドバッハ選手、マーク・パターソン選手とコースウォークを行う山下健太

10/4(金)公式練習日

山下もチームも初めての上海を、ロングランでじっくりと走り込む

金曜日から走行を開始。フリー走行1回目はまず山下がコースイン。山下だけでなく、チームメイトふたりとハイクラスレーシングにとってもこのサーキットは初走行となるため、1回目の走行はドライバー3人のコース習熟と、クルマのデータ取りに充てられました。走りはじめのクルマのセッティングも、このサーキットに合わせこんだものではなく前戦富士がベースで、それを証明するかのように、山下の最高速はLMP1勢も含めた全体3番手とダウンフォースが少ない状態でした。

フリー走行2回目は、1回目の走行データからセッティングを進め、タイヤの摩耗状態を確認するためのロングランを中心に走行。山下はクルマが重い状態ながらLMP2クラス3番手のタイムを出して初日を終えました。

「初めてこのサーキットを走りましたが、非常に特徴的なサーキットですね。1コーナーみたいにずっと回っているコーナーも印象的でした。フリー走行のタイムは悪くないと思います。ただ、これまでフリー走行が良くても予選で『あれ?』、ということがあったので今回はしっかりと予選を走りたいなと思います」

  • 公式練習に臨んだ山下健太

    公式練習に臨んだ山下健太

  • 初めてとなる上海国際サーキットを走り込む山下健太

    初めてとなる上海国際サーキットを走り込む山下健太

  • 公式練習2回目はタイヤの摩耗状態を確認するためのロングランを中心に走行した

    公式練習2回目はタイヤの摩耗状態を確認するためのロングランを中心に走行した

10/5(土)予選

週末初のアタック。ぶっつけの予選でセクターベストを刻むなど手応えを得る

土曜日朝のフリー走行は、他のチームが予選シミュレーションを行うなか、ハイクラスレーシングはここでもレースで使うタイヤを絞り込むためのロングランに専念。このセッションで山下は自分のベストタイムを連続走行8周目にマーク。この時のタイヤ走行距離は決勝レースのダブルスティント終盤に相当するもので、レースへかなりの手応えを感じてフリー走行を終了しました。

一方、午後の予選はフリー走行をすべてロングランに使ったため、新品タイヤ+クルマが軽い状態でのアタックがぶっつけ本番となりました。ひとり目のアタックを担当した山下は、LMP2クラス3番手となる1分48秒336をマーク。しかもセクター1はLMP2クラスではただひとり36秒台に入れてみせます。

続いたアンダース選手はアタックが決まらず、1分50秒155。結果、平均タイム1分49秒245となりLMP2クラス4番手で予選を終えました。

クルマはシルバーストーン、富士と2レース続けて予選で起きていた異常振動が起きず、チーム側の対策が実った形ですが、山下自身は「甘かったところもあるし行き過ぎたところもあるからあとコンマ1秒は上げられたと思います。0.01秒差でグッドイヤー勢のトップタイムじゃなかったのも悔しいですけど、今週末に入って初めて新品タイヤでアタックし、しっかりと48秒台に入れることができてよかったです」と予選を振り返りました。

  • 予選アタックを担当した山下健太は1分48秒336をマークした

    予選アタックを担当した山下健太は1分48秒336をマークした

  • 平均タイム1分49秒245となりLMP2クラス4番手で予選を終えた

    平均タイムが1分49秒245となりLMP2クラス4番手で予選を終えた

10/6(日)決勝

スタートから3スティントを担当。ペース良く2番手まで追い上げる

日曜日の決勝レース、前回同様に山下がスタートを担当しました。スタートタイヤにライバル勢は新品タイヤを選ぶなか、ハイクラスレーシングだけ予選で使った中古タイヤを選択。タイヤのタレを少なくするために一度熱入れしてあるタイヤのほうが長持ちする、との判断でした。

しかし蓋を開けてみると新品タイヤでスタートしたライバル勢は序盤からハイペースで飛ばし、なかなかペースが落ちてきません。それでも山下は中古タイヤで2スティントを連続走行しながら前のクルマをオーバーテイクし3番手に浮上。44周目に新品タイヤに交換した3スティント目もプッシュを続け、LMP2クラスのトップに15秒差の2番手まで追い上げた67周目にパターソン選手に交代しました。

その後パターソン選手が1スティント、さらにアンダース選手が2スティント走って計120周を走行。チームはLMP2クラス6位、総合11位でチェッカーを受けました。

レース序盤、ライバル勢が新品タイヤでペースを維持できたことに、「予想以上に路面変化が大きかった。我々も健太を最初から新品タイヤでスタートさせるべきだった」と分析しますが、それでも山下の平均タイムはLMP2勢3番手、グッドイヤー勢最速でした。

「今回もスタートを担当させてもらって、上位を争うことができたのでよかったです。予選も初めてトラブルなく走れましたし、決勝も3スティント走っていい経験ができました。レースペースもグッドイヤートップというのは嬉しいです」と山下。

次戦の決勝は12月14日、バーレーン8時間レース。

「あと1カ月ですが、次も頑張りますので応援よろしくお願いいたします」

  • 山下は前戦富士に続いてスタートドライバーを担当した

    山下は前戦富士に続いてスタートドライバーを担当した

  • LMP2クラスのトップに15秒差の2番手まで追い上げた

    LMP2クラスのトップに15秒差の2番手まで追い上げた

  • チームはLMP2クラス6位、総合11位でチェッカーを受けた

    チームはLMP2クラス6位、総合11位でチェッカーを受けた