WEC CHALLENGE REPORT 〜山下健太の挑戦〜 第4戦 バーレーン8時間レース

vol.4"砂漠の夕暮れ"

バーレーン

第4戦 バーレーン8時間レース

2019年12月12日-14日
バーレーン・インターナショナル・サーキット

TGR WECチャレンジドライバーの山下健太が、12月12日(木)から14日(土)にかけて行われた、FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦 バーレーン8時間レースに、LMP2クラス・ハイクラスレーシング(デンマーク)から参戦。計6スティントを走行した山下は序盤にクラス2番手までポジションを上げる力走を披露し、チームは総合11位、クラス8位でフィニッシュしました。

12/12(木)公式練習日

長丁場の戦いを前に、セットアップを探る

今回は土曜日に決勝レースが開催されるため、フリー走行は木曜日に開催。フリー走行1回目にチームのトップバッターとして走行した山下は、コース習熟とクルマのバランス確認のため16周を走行。「コースはとくに難しくないので、3〜4周したらすぐに慣れました。クルマは大きな問題はないですが、バランス的に低速コーナーのアンダーステアが強い印象です。」

フリー走行2回目、チームはアンダーステア対策を施したクルマを用意。新品タイヤを使った予選シミュレーションをしましたが、トラフィックとフルコースイエローが出てしまい、タイヤのピークをうまく使うことができずベストタイムは1分47秒037、クラス3番手となりました。「クルマ的にはあまり変化を感じませんでした。ロングランはいいかもしれないですけど、予選に向けてはもっとフロントが欲しいです」。

実はこのセッションでアンダース選手も新品タイヤを1セット使用したため、翌日金曜朝のフリー走行は中古タイヤでのロングラン中心のプログラムとなりました。クルマは重量配分を変えるなどかなり大きなセッティング変更を施し、アンダース選手が10周し、同じタイヤのまま山下選手が9周、そしてパターソン選手が11周を走行しました。

走行を終えた山下は「クルマはアンダーステアが治らないどころか、オーバーステアも出てきた」とコメント。セッション後の分析では、アンダース選手が山下よりリヤをスライドさせる傾向にあるため、オーバーヒート対策としてリヤの内圧を下げて走行していたとのこと。その内圧は山下選手にとっては低すぎて、タイヤの温度が上がらず、オーバーステアを引き起こしていたようです。

  • フリー走行1回目にチームのトップバッターとして走行した

    フリー走行1回目にチームのトップバッターとして走行した

  • 公式練習に臨んだ山下健太

    公式練習に臨んだ山下健太

  • 初日はアンダーステアに苦しんだ

    初日はアンダーステアに苦しんだ

  • ドライバー交代をする山下健太

    ドライバー交代をする山下健太

12/13(金)予選

最適なバランスを見いだせず苦戦した予選

根本的なクルマのバランスは改善されず、結局木曜日の状態に戻して予選を迎えることになりました。予選最初のアタックを担当した山下は、LMP2クラス6番手となる1分46秒101をマーク。「タイヤのピークを前回の上海戦ほど感じなかったです。ただアタック自体は悪くなかったと思います」

続いたアンダース選手は1分48秒546。アンダース選手のアタック前にターン8でコースオフしたクルマがあり、路面がかなり汚れてしまい、狙っていたようなタイム出すことができませんでした。結果ハイクラスレーシングは平均タイム1分47秒323となりLMP2クラス6番手で予選を終えました。

  • 予選最初のアタックを担当した山下は、LMP2クラス6番手となる1分46秒101をマークした

    予選最初のアタックを担当した山下は、LMP2クラス6番手となる1分46秒101をマークした

  • 平均タイムが1分47秒323となりLMP2クラス6番手で予選を終えた

    平均タイムが1分47秒323となりLMP2クラス6番手で予選を終えた

12/14(土)決勝

8時間の約半分を任され、2番手まで追い上げるなど今回も速さを発揮

日曜日の決勝レース、過去2戦同様に山下がスタートを担当。最初の2スティントは、他のチームが1セットのタイヤで走行するなか、山下は左側のタイヤだけ履き替える戦略を採りました。タイヤを履き替えるロスタイムが約10秒ありますが、ダブルスティントでタイヤが垂れてくるライバルたちをコース上で挽回できるという読みで、山下はこの作戦を着実に遂行しました。

 まずスタート直後の2コーナーでLMP1勢の接触があり、目の前でスピンした車両をなんとか回避。その際に他のLMP2に抜かれてしまいましたが、その後は1分49秒から50秒台の安定したペースで走行し、22周目にピットイン。予定通り給油と左側のタイヤだけ交換してクラス5番手でコースに復帰。第2スティント、タイヤを交換しなかったライバル勢のタイムが1分53秒台に落ちるなか、山下は1分51秒台で追い上げます。そして31周目、32周目、34周目に前のクルマをオーバーテイクし、クラス2番手まで浮上しました。

 そして42周目にアンダース選手に交代。そこからアンダース選手が2スティント、パターソン選手が2スティントを走行。131周目に再び山下がコースインして、そこからダブルスティントを走りました。クラスリーダーから周回遅れになっていた状況ですが、山下は「タイヤや路面の状況を考えながら、とにかくしっかりと安定して速いペースで走ることを考えていました。後半はオーバーステア方向になってしまい、コントロールが難しくなっていきました」と174周目まで走行。

 そこからアンダース選手が1スティント、さらにパターソン選手が1スティント走り、214周目から山下がこの日最後の搭乗。1スティント半の31周を走って244周目にチェッカーを受けました。結果はLMP2クラス8位、総合11位。

 「今年初めての8時間レースで、そのうちの半分ぐらい乗せてもらって、流石に少し疲れました。序盤は戦略もペースも良かったのでポジションを上げることができました。ただ、その後のペースにはまだ課題があると思います。8位という結果は悔しいですが、次回も頑張ります」

 次戦は2月22〜23日の米国オースティン。

「少し時間がありますが、それまでにしっかりと準備をして頑張ります。応援よろしくお願いいたします」

  • 山下は過去2戦同様にスタートドライバーを担当した

    山下は過去2戦同様にスタートドライバーを担当した

  • スタートシーン

    スタートシーン

  • 34周目にはクラス2番手まで浮上した

    34周目にはクラス2番手まで浮上した

  • 8時間レースの約半分をドライブし、最後はクラス8位でチェッカーを受けた

    8時間レースの約半分をドライブし、最後はクラス8位でチェッカーを受けた