6月16日(日)、2019年FIA世界ラリー選手権(WRC)第8戦ラリー・イタリア サルディニアの最終日デイ4が、サルディニア島西北部のアルゲーロを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのオィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヤリスWRC 8号車)が総合5位でフィニッシュ。ドライバーおよびコ・ドライバー選手権で首位に立ちました。また、クリス・ミーク/セブ・マーシャル組(5号車)は総合8位に入りポイントを獲得。ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(10号車)は、総合19位で完走しました。
- 8号車(オィット・タナック、マルティン・ヤルヴェオヤ)
サルディニアの最終日デイ4は、サービスパークの北側エリアで2本のステージを各2回走行。その合計距離は41.90kmでした。デイ3が終了した時点で総合2位のライバルに25.9秒のリードを築いていたタナックは、確実な運転でオープニングから3本のステージを走破しました。しかし、最終のパワーステージでステアリング系に問題が発生。2分以上の遅れを喫し、総合5位でラリーを終えました。残念ながら優勝は逃しましたが、タナックはドライバー選手権で首位に立ち、8月第1週の第9戦ラリー・フィンランドに、選手権リーダーとして臨みます。
デイ3の最終ステージでタイヤ交換により総合8位に順位を下げたミークは、順位を堅守。総合8位でラリーを終えました。デイ2でデイリタイアとなったラトバラは、デイ3で再出走を果たし、デイ4でも安定した走りで順位を上げ総合19位で完走しました。また、ラトバラはボーナスの選手権ポイントがかかる最終のパワーステージで4番手タイムを記録し、貴重なポイントを獲得しました。なお、トミ・マキネン・レーシングからプライベーターとしてヤリスWRCで出場のユホ・ハンニネン/トミ・トゥオミネン組は、デイ4でもクルマの開発を目的とする走りを続け、3本のステージを走行して有益なデータを収集した後、サービスに戻りラリーを終えました。
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- <<豊田 章男(チーム総代表)>>
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WRC第8戦ラリー・イタリアは最後の最後でとても悔しい結末を迎えてしまいました。
タナック選手、ヤルヴェオヤ選手が私を再び表彰台に連れていってくれようとしていた気持ちを感じていただけに、最後のステージでのスローダウンに私も言葉を失いました。しかし、一番辛い思いをしているのは、ドライバー、コ・ドライバーの本人達だと思います。最後まで走り切らせてあげられなかったこと本当に申し訳なく思います。そして、戦いを見守っていただいたファンの皆さまにも申し訳ない気持ちでいっぱいです。
優勝という結果ではない時にこうしたコメントは今まで出したことがありません。しかし、今回は、伝えたい想いがありコメントを出させていただきます。今回、イタリアの現地に来て、みんなの戦いを見れたことには大きな意味があったと思っています。
貴元はリタイアの後、私に申し訳ないと言ってくれました。決して申し訳ないことはないと思っています。私が見たいのは、貴元がヤリスに乗って表彰台に立つ姿です。その日のために、今日の経験を力に変えてください。
クリスは私にヤリスは乗っていて気持ちのいいクルマだと言ってくれました。嬉しかったです。気持ちよく走りきり、結果に結びつく日が楽しみになりました。
ヤリ-マティは私に今度こそ、良い結果を届けると言ってくれました。ヤリ-マティの苦しんでいる姿も多く見ていただけに、彼にも良い結果がもたらされることを本当に願っています。
そして、オィット…彼がクルマから降りてきた時のやりきれなさそうな表情は忘れられません。しかし、その後、彼は、メカニック1人ひとりと抱き合い、チームのみんなの悔しさと向き合ってくれました。その姿に心を打たれました。なんとしてもオィットを、そして8号車の仲間達をチャンピオンにしてあげたいと心の底から思いました。私に今できることは、ヤリスを”もっと強いクルマ”そして”もっと安心して走らせ続けられるクルマ”にすることです。トミと共に、なんとしてもやり遂げます。
皆さま、これからもTOYOTA GAZOO Racing WRTを応援していただければと思います。よろしくお願いいたします。
追伸
一貴、ゴール後に涙しながらコメントをする君の姿を見ました。チームメイトを想う君の気持ちに感動した。ありがとう。WECのチームは本当に良いチームになってくれたなと思ったよ。可夢偉君には、また悔しい想いをさせてしまった。自分のことのように悔しい…。一貴、可夢偉、2人の気持ちを、しっかりと受け止めて、もっと強いチーム、もっといいクルマを目指すことを誓う。
セブ、フェルナンド、一貴、マイク、ホセ、可夢偉、6人は本当に素晴らしいチームだったと思う。みんな、2年連続のワンツーフィニッシュをありがとう!
- <<トミ・マキネン(チーム代表)>>
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今日はチームにとって、もっとも厳しい1日でした。ラリーウィークを通してクルマにはパフォーマンスと信頼性がありましたが、悲しいことに最後のステージで問題が起きてしまいました。もちろん、何が原因なのか現在調査を進めています。チームにとっては本当に残念な結果ですが、我々以上にオィットとマルティンは大きな失望を味わったはずです。彼らは選手権のトップに立ちはしましたが、本当ならば3連勝でさらに良い夏休みを過ごせたはずです。数日は気持ちが晴れないかもしれませんが、我々は必ず復活してみせます。
- <<オィット・タナック (ヤリスWRC 8号車)>>
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最終ステージをスタートしてすぐ、ステリングに違和感を覚え、動きが硬くなる感じがしました。そして走っている最中に固まり、ステアリング操作が難しくなりました。それでも何とか走り続けたのですが、大きくタイムを失い勝利も逃してしまいました。とてもフラストレーションを感じましたが、悲しい気持ちはチームのメンバーと変わりません。全員がこのイベントのために努力をしていたので、このような結果になってしまったのは本当に残念です。チームは必ず問題を解決してくれると確信していますし、これからも戦い続けます。ここまでタフなシーズンが続いていますが、昨年のこの時期と比べると選手権争いに関してはずっと良いポジションにつけています。この後は少しだけラリーから離れて休みをとり、そしてまた戦いの世界に戻ります。
- <<ヤリ-マティ・ラトバラ (ヤリスWRC 10号車)>>
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今日は、パワーステージでのポイント獲得が目標でした。朝はまず良いリズムを掴み、スピードを上げていきました。そして、3本目のステージでは少しタイヤを温存しました。パワーステージは出走順が早かったため簡単ではなく、轍(わだち)にも少々苦労しました。それでも、まずまずの走りができ、少しポイントを獲得できました。ラリーの序盤はとても良かったのですが、全体的にはかなり厳しい週末となり、望んでいたようなラリーにはなりませんでした。しかし、しっかりと前を見据え、これからも戦い続けます。
- <<クリス・ミーク (ヤリスWRC 5号車)>>
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昨日の午後は走りのリズムが良くなり、スピードも上がり本当に気持ちよく走れました。しかし最終ステージで問題が起きて遅れ、そのため今日は順位を争えるような状況ではなかったので、完走してチームに少しでもポイントをもたらすことに集中しました。今回のサルディニアは自分にとって厳しい1戦になるだろうと予想していましたが、多くのポジティブな発見がありました。今はもう、次のラリー・フィンランド、そして残りのラリーが楽しみで仕方ありません。ここ数戦、チームはとても強かったので、後半戦に関しても全力で戦いに臨むでしょう。
- <<ラリー・イタリア サルディニア デイ4の結果>>
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1 ダニ・ソルド/カルロス・デル・バリオ (ヒュンダイ i20 クーペ WRC) 3h32m27.2s
2 テーム・スニネン/マルコ・サルミネン (フォード フィエスタ WRC) +13.7s
3 アンドレアス・ミケルセン/アンダース・ジーガー (ヒュンダイ i20 クーペ WRC) +32.6s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (フォード フィエスタ WRC) +33.5s
5 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (トヨタ ヤリス WRC) +1m30.1s
6 ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +2m16.7s
7 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (シトロエン C3 WRC) +2m59.6s
8 クリス・ミーク/セブ・マーシャル (トヨタ ヤリス WRC) +4m40.1s
9 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (シュコダ ファビア R5) +8m24.6s
10 ヤン・コペツキ/パヴェル・ドレスラー (シュコダ ファビア R5) +8m49.2s
19 ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ (トヨタ ヤリス WRC) +20m36.0s
(現地時間6月16日17時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
- <<次回のイベント情報>>
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WRC次戦は、約7週間後の8月1日(木)から4日(日)にかけて開催される、第9戦ラリー・フィンランドです。「フィンランド・グランプリ」とも呼ばれるこのイベントは、WRCでもっとも平均速度が高い超高速グラベル(未舗装路)ラリーです。路面は全体的にスムーズで流れるようなコーナーが連続し、多くのビッグジャンプが現れます。ラリーのサービスパークが置かれる、ユバスキュラの近郊に開発拠点を構えるチームにとってはホームイベントであり、2017年にはエサペッカ・ラッピが、2018年にはオィット・タナックが、それぞれヤリスWRCで優勝を飾っています。