7月19日(日)、2026年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦ラリー・エストニアの最終日デイ3が、エストニア南部タルトゥのラーディに設けられたサービスパークを起点に行われ、TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(GR YARIS Rally1 5号車)が首位を守り切りWRC初優勝を飾りました。総合2位にはTOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のオリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組(99号車)が入り、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(1号車)は総合5位で、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合6位で、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は総合21位でフィニッシュしました。
ラリー・エストニアの最終日デイ3は、サービスパークの南側エリアで、今大会最長となる24.39kmの「カーリク」のステージを2回走行。SS17の再走となる最終のSS18は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されました。午前11時過ぎにスタートした1本目のSS17は、小雨により路面の一部が湿った状態でスタート。このステージでは、デイ2終了時点で首位パヤリと25秒差につけていた、総合2位のソルベルグがベストタイムを記録。0.4秒差の2番手タイムを刻んだパヤリとの差は24.6秒と、僅かに縮まりました。ソルベルグは最終のパワーステージ、SS18でもベストタイムを記録しましたが、首位パヤリは6番手タイムでパワーステージを走破し、悲願のWRC初優勝を達成しました。また、パヤリは日曜日の合計タイムのみで順位を競う「スーパーサンデー」でも3位に入り、総合優勝による25ポイントにボーナスの3ポイントを加えた28ポイントを獲得。その結果、ドライバー選手権ではオジエを抜き3位に順位を上げました。
2024年にGR Yaris Rally2でWRC2のタイトルを獲得したパヤリは、同年のシーズン後半3戦でGR YARIS Rally1をドライブ。2025年はTGR-WRT2からGR YARIS Rally1でWRC全14戦に出場し、ラリージャパンでは3位に入り初表彰台を獲得しました。そして今シーズンも前年と同様の体制で出場。第8戦までに3位に4回、2位に1回入るなど表彰台を5回獲得してきました。
ラリー・エストニアでは2021年にカッレ・ロバンペラが、2025年にソルベルグが、そして今回パヤリが優勝するなど、TGR-WRTのドライバーが記念すべきWRC初優勝を達成してきました。また、今回パヤリが優勝したことにより、今シーズンはTGR-WRTに属する5人のドライバー全員が勝利を手にしたことになります。
昨年大会の勝者であるソルベルグは19.5秒差で総合2位に入り、最終日の2本のステージを制したことにより、パワーステージ1番手の5ポイントと、スーパーサンデー1位の5ポイントをボーナスとして獲得。ドライバー選手権5位の座を守りました。また、総合5位を守ったオジエはパワーステージ4番手、スーパーサンデー4位で合計4ポイントのボーナスを、総合6位を守ったエバンスはパワーステージ3番手、スーパーサンデー2位で合計7ポイントのボーナスを、それぞれ獲得。オジエはドライバー選手権4位に後退しましたが、エバンスは首位を堅守。今回総合21位でラリーを終えた、ドライバー選手権2位の勝田との差を25ポイントに拡げました。なお、勝田はパワーステージで5番手タイムだったことにより、貴重な1ポイントを手にしました。
今回、優勝のパヤリはTGR-WRT2からのエントリーでしたが、他のドライバーたちが合計44ポイントを獲得したことにより、TGR-WRTはマニュファクチャラー選手権におけるリードを156ポイントに拡げました。
サポート選手権のWRC2では、GR Yaris Rally2を駆るテーム・スニネン(フィンランド)が2位で、ローぺ・コルホネン(フィンランド)が3位でフィニッシュ。また、同じくGR Yaris Rally2で出場した、TGR WRCチャレンジプログラムの松下拓未は10位、後藤正太郎は11位、デイ2でのクラッシュによりデイリタイアとなるもデイ3で再出走した山本雄紀は16位と、それぞれデイ2から順位を上げてラリーを終えました。
<<豊田 章男 (TGR-WRT会長)>>
サミ、初優勝おめでとう!初戦モンテカルロでのリタイアの後「Rally2車両でも良いからもっと練習したい」とチームに申し出たと聞いています。そんな貪欲で前向きな気持ちと行動が、ようやく勝利に結びついて本当によかったです。
同い年のオリバーとのワンツーフィニッシュ表彰台は、今までにはない未来を感じさせてくれる嬉しい景色でもありました。ベテランが勝つ表彰台も嬉しいですが、またいつもとは違うワクワクを感じることができました。
そして今回のサミの優勝で、今シーズンを戦う5人のドライバー全員が勝利することができました。
TOYOTA GAZOO Racing WRTは誰かひとりのドライバーの勝利を目指すクルマづくりをしていません。チームの全ドライバーが同じように勝つチャンスを持てるクルマが基本です。みんなの勝利は、そんな”クルマづくり”と”チームづくり”を証明してくれました。
チームのみんな、これからもそんなもっといいクルマづくりを続けていきましょう!
追伸
みんなのおかげで手術後は順調です。先日、自分の体のテスト走行をさせてもらいました。ちゃんとクルマを走らせることができて安心しました。
でも本当は、もう少し大人しくしてないといけないようです。みんながつくってくれたクルマにまた乗れるよう、もう少しの間は、慎重にメンテナンスを続けていこうと思います。
<<ユハ・カンクネン (チーム代表代行)>>
この結果、そしてサミとマルコの初優勝を大変誇りに思います。金曜日の朝のシェイクダウンが終わった時点で既に、サミはクルマに満足しており、チームが手を加える必要はないと伝えてきました。私たちは常に改善に努め、ドライバーが快適、かつ競争力を持って走れるよう全力を尽くしていますが、今回はクルマに手を加えませんでした。彼はスタートからフィニッシュまで非常に落ち着いていましたし、完璧な走りを見せてくれました。実に印象的でした。今年に入り、我々の全ドライバーが1回か2回ずつラリーで優勝していますが、これは私たちの取り組みが正しい方向に向かっていることを示しています。彼ら全員がチャンピオンシップを戦っており、ラリー・フィンランドでも全員が勝てる力を持っています。
<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)>>
この週末はステージが非常にドライで、クリーニング効果が顕著だったため、厳しいスタートとなりました。最終的には可能な限り順位を挽回できたと思いますが、6位は現実的に見て獲得可能な最高位だったと思います。そして、最終日はまずまずでした。雨が降ったことで多少は状況がイコールになり、両ステージともなかなか良い走りができました。おかげでポイントをそれなりに獲得することができたので、次のラリー・フィンランドが楽しみです。
<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 1号車)>>
今週末、ここエストニアに戻って驚くべき道を走り、素晴らしいイベントに出場できて本当に楽しかったです。間違いなく正しい選択でした。サミとマルコ、初優勝おめでとう! 彼らは今週末、間違いなく最速でした。この勝利を心から楽しんでください! 私自身は、自分で設定した目標からはそれほど離れていませんでした。力をフルに発揮して臨むことが求められるこのコースから5年離れていたので、何かが少し足りていなかったと思いますし、最終日は多分コンマ数秒ほど及びませんでした。それでも、チャンピオンシップのためのポイントはそれなりに獲得できましたし、ラリー・フィンランドにはより高い目標を設定して臨みます。
<<オリバー・ソルベルグ (GR YARIS Rally1 99号車)>>
とても良い週末でした。ミスなくこの週末を走り、良いリズムを見つけ、感覚と自信を取り戻すことが自分にとって非常に重要なことでした。苦しい時期を支えてくれたチームに感謝します。このような素晴らしい結果を残し、表彰台に戻ってくることができて本当に嬉しいです。サミとマルコは驚異的な速さを発揮し、素晴らしい仕事をしました。この結果にふさわしい走りだったと思います。今日はほんの数パーセントだけペースを上げ、日曜日に獲得できる最大のポイントを勝ち取ることができたので、とても満足しています。
<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)>>
今週末は、自分たちが望んでいたような展開にはなりませんでした。出走順の関係で金曜日は厳しい展開になるだろうと予想していたのですが、ペース自体は悪くなかったですし、止まることを余儀なくされるまではかなり順調だったと思います。しかし、出走順が1番手になると、以降は大きな動きを取ることが難しくなるため、ラリーの残りの展開に大きな影響が及んでしまいました。非常に悔しかったですが、まだ終わったわけではないので、前に進み、プッシュし続けます。ラリー・フィンランドに向けてクルマにいくつか変更を加え、テストも行なったので、フィンランドでは良い結果を出せることを願っています。
<<サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)>>
本当に素晴らしい気分です。モリゾウさん、そしてTGR-WRTのみんなのサポートと自分を信じてくれたことに、アリガトウゴザイマスと言いたいです。そして困難な時も支えてくれた家族や友人、応援してくれたすべての人に感謝します。また、諦めずにプッシュし続けた自分自身にも感謝したいです。シーズンの前半は調子が良く、何度も表彰台に立ってきたので、この結果が得られることは間違いないと思っていたのですが、このレベルにおいては決して簡単ではありませんでした。フィンランドと並んでこのラリーはお気に入りの一つなので、ただただ運転を楽しみましたし、すべてが自然に感じられました。ホームイベントであるラリー・フィンランドに向けて、今この瞬間を楽しみましょう!
<<ラリー・エストニアの結果>>
1 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) 2h31m16.5s
2 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR YARIS Rally1) +19.5s
3 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +53.8s
4 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +59.7s
5 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m32.9s
6 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m01.0s
7 マールティンシュ・セスクス/レナールス・フランシス (フォード Puma Rally1) +2m35.3s
8 エサペッカ・ラッピ/エンニ・マルコネン (ヒョンデ i20 N Rally1) +3m02.3s
9 ジョン・アームストロング/シェーン・バーン (フォード Puma Rally1) +3m28.0s
10 ロバート・ヴィルヴェス/ヤッコ・ヴィッロ (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m33.1s
21 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +13m23.6s
(現地時間7月19日15時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
<<第9戦終了時点でのドライバー選手権順位>>
1 エルフィン・エバンス 177ポイント
2 勝田 貴元 152ポイント
3 サミ・パヤリ 144ポイント
4 セバスチャン・オジエ 139ポイント
5 オリバー・ソルベルグ 130ポイント
6 ティエリー・ヌービル 111ポイント
7 アドリアン・フォルモー 111ポイント
8 エサペッカ・ラッピ 25ポイント
9 ヘイデン・パッドン 21ポイント
10 ヨアン・ロッセル 20ポイント
<<第9戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位>>
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 464ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 308ポイント
3 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 157ポイント
4 M-Sport Ford World Rally Team 116ポイント
<<次回のイベント情報>>
WRC次戦は7月30日(木)から8月2日(日)にかけて、フィンランドのユバスキュラを中心に開催される第10戦「ラリー・フィンランド」です。ラリー・フィンランドは、今回のラリー・エストニアと同じくハイスピードなグラベルラリーですが、エストニアよりもジャンプやクレスト(小さな丘越え)が多く、路面もやや硬いことが特徴です。また、ラリーのサービスパークはTGR-WRTのヘッドクォーターのすぐ近くに置かれるため、チームにとってはホームイベントといえるラリーです。
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第9戦 ラリー・エストニア
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