WRC

2017シーズン インタビュー Vol.4

Esapekka Lappi

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team
ドライバー エサペッカ・ラッピ

“フィンランドは表彰台くらいは期待していた。まさか勝てるなんて夢にも思っていなかったよ”

WRC2王者の肩書きを引っさげてワークス昇格。第3戦で待望のヤリスWRCを初ドライブすると、初戦から抜群の才能を披露し、ポイントを獲得した。さらに自身も予想外のWRC初勝利を手繰り寄せる。

Rally+
Text/RALLY PLUS

─17年は初めてWRCのワークスチームから参戦になりました。
「ポルトガルからヤリスWRCをドライブしたけど、その段階からスピードを見せられたのは良かったよ。パワーステージで4位に入って、いきなりポイントを獲得できた。その後は浮き沈みもあったけれど、貴重な経験を積むことができた。フィンランドは本当に特別なラリーになったよ。勝てるなんて思ってもいなかったし、忘れられない1戦になった」

─スタート前から自信があったのでしょうか?
「もちろん願っていたけれど、勝てると強く信じていたわけじゃなかった。『うまくいけば表彰台は可能かも』とは思っていたけどね」

─プレッシャーも大きかったでしょうし、大変な3日間でしたか?
「そうでもないかな。ラリーフィンランドは6回も走っているし、僕の得意なイベントだからね。どんなことが起こるのか、どのようなステージが待ち構えているか、すべて分かっていた。だから初参戦イベントのようなストレスがなかったし、フィーリングも良かった。ただ、ホームイベントだから、ファンからの“期待”というプレッシャーはあったかもしれない。でも、僕はプレッシャーを前向きなエネルギーに変えて、楽しむことができるんだ」

─フィンランド優勝後は、なかなかいい結果が残せませんでしたね。
「確かにシーズン後半は、色々と苦しんだ。ドイツではコーナリングスピードが高すぎてウォールにぶつかってしまったし、完全に僕のミスだった。同じことがスペインの最終日にも起こってしまった」

─同じ世代のドライバーの台頭もありましたし、焦りはありませんでしたか?
「今シーズン、僕に与えられた目標は、自分のスピードと限界を知ることだった。だからトラブルで足止めされると、少しイライラしたかもしれない。ラリーである以上、避けてはとおれないことだからね。ラリーGBはフィニッシュできたけれど、スピードがまったくなかった。でも、ヤリスWRCに乗っている全員がサスペンションに苦しめられていたんだ。ヤリ‐マティは、経験でねじ伏せていたけどね。オーストラリアはパワステトラブルに見舞われて、なかなかリズムに乗ることができなかった。悔しかったけれど、土曜日と日曜日に先頭スタートを経験できたのは大きかったよ。これが将来役に立ってくれるといいけど……」

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