第6回 POCARI SWEAT／大塚製薬株式会社
暑熱環境下で戦うドライバーたちに必要な水分を届ける
2022.7.6 公開

SECTION1 トヨタと進めた熱中症の対策プロジェクトが始まり

ラリー期間中、選手やメカニックなどチームのスタッフは、サービスパーク内にあるホスピタリティで体を休め、忙しい仕事のあい間に食事を摂ります。そして、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのホスピタリティでは、イオンサプライドリンク「ポカリスエット（POCARI SWEAT）」が、いつでも飲める状態で用意され、チームのスタッフに大人気です。
そこで、世界を転戦するWRCの現場にポカリスエットが供給されるようになった経緯について、チームのパートナー企業であり、ポカリスエットの製造、販売を行う大塚製薬株式会社のご担当者にお話しを伺いました。

ニュートラシューティカルズ事業部次世代NC事業ソリューション担当執行役員の中林富嗣さんは、パートナーシップが開始した時の状況を次のように説明します。
「我々は、以前から暑熱労働環境下での熱中症による事故を減らそうと取り組んできましたが、特に暑い日が続いた2010年に熱中症をゼロにしようというプロジェクトを、トヨタ自動車様の安全健康推進部と共に立ち上げ、それが色々な製造業さんにも波及し広がっていったという経緯があります。そして、2017年にトヨタ自動車様がWRCに復帰されるとなった時、スタッフの方々の健康をサポートし、チャレンジする人たちの一助になりたいという思いで、パートナーとして一緒に戦うことを決めました」

ニュートラシューティカルズ事業部
次世代 NC 事業ソリューション担当 執行役員 中林富嗣さん

SECTION2 暑熱環境下のドライバーが失う水分を速やかに補完

大塚製薬は、医療関連事業と、そのノウハウを活かしたポカリスエットやカロリーメイトに代表される科学的根拠を持つ飲料や食品を扱うニュートラシューティカルズ関連事業両輪で事業を展開しています。ポカリスエットは医療の現場で患者さんに水や電解質、栄養素を補給するために使われる「輸液」をヒントに開発され、1980年に発売されました。
「世界の人々の健康に役に立つ、革新的な製品を創造することを私たちは企業理念としています。ですので、ただ製品を売るだけではなく、人にとっての水分・電解質補給の重要性を伝える活動も並行して行ってきました。中林が言ったように、ラリーに関わる人たちの健康をサポートしたいという気持ちが出発点としてあります」と、ニュートラシューティカルズ事業部製品部ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャーの原康太郎さんは説明します。

ニュートラシューティカルズ事業部
製品部 ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャー 原 康太郎さん

「ラリーという競技は、エアコンを使うことができない暑熱環境下でクルマを運転し、しかも長時間座ったままの状態が続きます。そのような時に、電解質や糖質が体に吸収されやすいバランスで配合されたポカリスエットを飲んでいただければ、失われた水分を速やかに補完することができます。また、我々は『座りっぱなし症候群』と呼んでいますが、長い時間座った姿勢でじっとしていると、足(太ももなど)の血管が圧迫されて血液の流れが悪くなり、血液の粘度が高くることで小さい血液の固まり(血栓)ができ、肺の血管で詰まる肺塞栓が起こると考えられ、このような場合、水分と同時にナトリウムを補給することが有用です。

「通常の運動に比べると、ラリーやレースのドライビングは、体の一部を非常に酷使する運動だといえます。また、精神的なプレッシャーも非常に大きく、脱水症状により脳に体液や栄養が入ってこないと、判断ミスをしやすくなります」と語るのは、ニュートラシューティカルズ事業部次世代ウェルネス開発部シニアマネージャーの中谷純一さん。TGR TRADEを介して入手したヴィッツのレースカーで休日にサーキット走行を楽しむ、アマチュアドライバーでもあります。
「例えば、エンジンは熱くなりすぎると最高出力を発揮することができなくなりますが、人間の体も同じです。パフォーマンスを最大限出すためには冷却が必要ですし、体液には体の冷却を保つための役割もあります。ラリーは非常にハードな運動だと思いますので、やはり水分補給には気をつけていただきたいですね」

ニュートラシューティカルズ事業部
次世代ウェルネス開発部 シニアマネージャー 中谷純一さん

SECTION3 一般のドライブでもポカリスエットを活用してほしい

中林さんは「通常、体温は皮膚体温を計測しますが、熱中症については体の内部の『深部体温』がとても重要です。深部体温が通常よりも0.5度上がるだけでも、熱中症の危険性が高まりますので」と言います。
大塚製薬は体の深部をダイレクトに冷やすため、2018年に「ポカリスエットアイススラリー」という商品をラインナップに追加しました。何やら氷上ラリーを連想させる涼しげなネーミングですが、これは細かい氷の粒子(アイス)が液体に分散し流動性のあるスラリー状(※)から名付けられた製品です。全日本ラリー選手権やTGRラリーチャレンジに参戦する、チームや選手たちにも夏場には供給されているようです。※おかゆのような、とろっとした状態を指す。

「消防士さんを始め、夏場でも全身着衣で働く方々は体温がなかなか逃げにくく、どうしても熱中症のリスクが高くなります。ラリーでは、選手の方もそうですが、オーバーオールを着て働くメカニックさんたちも体温が上がりやすい職種ですので、弊社の商品を上手く使って効率的に深部体温を下げたり、体液を補完して頂きたいですね。また、競技をなさらない一般のドライバーさんでも、運転中はどんどん脱水していきますので、安全運転のためにもこまめな水分補給が重要です。トイレが心配で水分を控える方がいらっしゃるとも聞きますが、ポカリスエットは水分を素早く吸収するだけでなく、体液として長く留める機能もありますので、上手く活用していただきければと思います」と原さん。運転時の疲労を軽減し、安全運転をするためにも、効率的な水分補給を心がけたいですね。
「大塚製薬はこれからもTOYOTA GAZOO Racingさんをサポートし続けたいと思います」と、中林さん。「我々、大塚製薬にはスタッフ健康をサポートするミッションがありますし、皆様には、これからもWRCに挑むTOYOTA GAZOO Racingさんと共に戦うポカリスエットを応援して頂ければ嬉しいですね」

長年にわたってトヨタ車を乗り継いでこられたというご家族の愛車写真をご紹介してくださった原康太郎さん。
最初がKP61スターレットやヴィッツRSG’sなど、GRヤリスのルーツともいえるクルマも乗り継いでこられたという偶然に驚きを禁じえません。

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