TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team
で活躍するドライバーたち
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamから2017年シーズンのWRC参戦する3名のフィンランド人ドライバー
彼らはどんな個性を持っているのか、その素顔に迫ります。
Jari-Matti
Latvala ヤリ-マティ・ラトバラ
最年少WRC勝利を果たした天才肌
ヒストリックカーコレクターの横顔も
チームのエースドライバーを務める、フィンランド出身のヤリ-マティ・ラトバラ。そのキャリアを通して、彼は多くの最年少記録を打ち立てている。2002年のラリーGBでは若干17歳(免許取得前)でWRCデビューすると、翌03年にはフォード(Mスポーツ)の若手育成チームに抜擢される。08年スウェーデンでは母国フィンランドの英雄ヘンリ・トイボネンが持っていたWRC史上最年少優勝記録を更新し、WRC初勝利を達成した。
そのドライビングセンスとスピードは誰もが認めるところで、今シーズンはそこに抜群の安定感が加わった。トヨタ・ヤリスWRCでのデビュー戦となったモンテカルロで2位、第2戦スウェーデンでは早くもチームに復帰後初勝利をもたらした。得意とするのは、フィンランドをはじめとする高速グラベル(未舗装路)ラリー。気さくな人柄でファンサービスにも積極的なことから、母国以外の国にもファンクラブがあるほど人気も高い。プライベートではヒストリックラリーカーのコレクターとしても有名で、トヨタ・カローラWRCも所有。自身がレストアしたフォード・エスコートRS1800でヒストリックラリーにも参戦している。「父と一緒に少しずつ古いラリーカーに手を入れているんだ。僕の趣味のひとつだね」と、たびたび故郷に帰っては、クルマいじりに精を出している。
Juho
Hänninen ユホ・ハンニネン
豊富な経験にチームの信頼も厚い
ヤリスWRCのテストを担ったいぶし銀
TOYOTA GAZOO Racingの参戦発表以来、チーム代表のトミ・マキネンとともに、ヤリスWRCのテストを担当してきたのがユホ・ハンニネンだ。これまで様々なラリーカーをドライブした実績を持ち、世界各地のラリー参戦経験も豊富。2010年にインターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ(IRC)、11年にスーパー2000世界ラリー選手権(SWRC)、12年にはヨーロッパラリー選手権(ERC)を制するなど、タイトルも数多く手にしてきた。その経験を買い、チームが開発ドライバーに抜擢。しかし、意外にも彼がワークスドライバーとしてフル参戦を果たすのは、今シーズンが初めて。下部カテゴリーでの実績を十分に持ちながらも、なかなかチャンスに恵まれなかった苦労人でもある。
どんな路面でも速さを見せるユーティリティプレイヤーであり、献身的な性格でセカンドドライバーとしてラトバラとの情報共有も万全。ちなみにフィンランド人ラリードライバーの多くが、ラリーフィンランドの開催地であるユバスキラ周辺出身なのに対し、ハンニネンはロシア国境に近い東フィンランドのプンカハリュ生まれ。「ラリーの中心地から遠く離れていたからか、なかなかフィンランド国内で注目してもらえなかったんだ。見つけてもらうまでには苦労したよ(笑)」と、語っている。
Esapekka
Lappi エサペッカ・ラッピ
異色のサーキットドライバー出身
怖いもの知らずの若き天才
チーム3人目のフィンランド人ドライバー、エサペッカ・ラッピは、先日開催されたWRC第6戦ポルトガルで初めてヤリスWRCをドライブすると、2戦目となった第7戦サルディニアではベストタイムを連発。ボーナスポイントが与えられるパワーステージも制して、表彰台目前の4位入賞を果たしている。
2014年にヨーロッパラリー選手権(ERC)、16年はWRC2でタイトルを獲得したラッピだが、モータースポーツデビューはサーキットというキャリアを持つ。07年にはフィンランド国内でレーシングカートのチャンピオンとなったものの、フォーミュラカーへのステップアップを断念し、ラリーへの転向を決意する。09年に初めてラリーに挑戦すると、4年後の12年には参戦したすべてのラリーを制してフィランド国内チャンピオンにまで登りつめた。WRCデビュー直後から「次世代フライングフィン*」と、周囲からの期待を集めていたラッピだったが、なかなかワークスシートをつかむことができず、ワークスチーム入りしたのは今シーズンが初めて。ふたりの先輩フィンランド人を前にしても、一切臆することのない鼻っ柱の強さが、彼の魅力のひとつだ。本人は「今シーズンは勉強の一年」というが、TOYOTA GAZOO Racingで虎視眈々とチャンスを狙う。
*スポーツ競技で活躍するフィンランド人につけられる愛称。発端は陸上競技選手とされ、その後、特に多くのチャンピオンを獲得しているラリードライバーやF1ドライバーのほか、2輪ライダーに対してもつけられるようになった。チーム代表のトミ・マキネンも、かつてそう呼ばれたドライバーのひとり。