TOYOTA GAZOO Racing ~ ニュルブルクリンク24時間レースへの挑戦 ~TOYOTA GAZOO Racing ~ ニュルブルクリンク24時間レースへの挑戦 ~

まりは2007年

それは、人材育成のための
挑戦だった

チームはトヨタ社員を中心に構成、レースについては素人同然のチームであった。
いいクルマとはどんなものか、机で議論するのではなく、
皆でレースに出て現場で話そうと考えたのだ。

選んだ舞台は
ドイツ、ニュルブルクリンク

1周約25km、高低差約300m、
バリエーション豊かなコーナーが170以上もあるニュルは、
世界屈指の難コースで“新車開発の聖地”としても知られていた。

「いいクルマとは何だろう」

過酷なレースに挑み、どんなアクシデントが起きるかわからない“生きた道”を走ることで、
“強いクルマ”を作る感覚を磨いた。
よりよいクルマづくりを行うことができる人材を育てる、
それこそがニュル参戦の目的であった。

過酷レースんでたものとは

開発車両をレースを通じて
鍛え上げる

2年目からの活動は「発売前の開発車両LF-Aを耐久レースを通じて鍛え上げる」がテーマとなった。
モリゾウ選手やマスタードライバーの成瀬弘、トヨタの評価ドライバーもドライバーとして参戦。
市販車開発のための数々のデータを残した。

レースは何が起こるかわからない

もちろん予期せぬトラブルも発生する。
ニュルはそう簡単に微笑んではくれない。
レース中に夜を徹してエンジン交換まで行なった年もあった。
通常ならリタイヤを選択するチームも多いのだが、
「何とかマシンをゴールまで送り届けたい」と言うメカニックの想いがそうさせたのである。
その結果、突然のトラブルにも対処できるチカラも生まれた。
「人がクルマを鍛える」のはもちろん、「クルマも人を鍛える」のである。

道が人を鍛え、クルマを鍛える

普段は車両開発を行なうスタッフのため、レースに関しては素人同然である。
参戦当初はルーティーンのピット作業でタイムロスを喫することも多かったが、
レースが進むにつれ、予定の給油作業時間内にタイヤ交換、ブレーキローター、
パッドの交換を悠々と終えられるようになり、大きな成長を感じられた。
トラブルに見舞われても冷静かつ迅速に対処ができるようになった。
その姿に、他のチームのプロのメカニックからも賞賛の拍手が上がったという。
ニュル24時間という極限状態での経験は、
通常業務に戻った時にもしっかりと活かされるに違いない。

ニュル経験
LFAだけでなく86にも

ニュルで鍛えると、
世界の道で通用する

「走りにこだわるクルマはニュルで育てないとダメです。
だから86はLFAの育ちと同じ様にニュルのレースに参戦させました。」
と豊田章男は語る。
ニュルブルクリンクでの86は、ストレートで抜かれても
コーナーが連続するセクションではクラス上のマシンを追いまわすほどの
ポテンシャルを見せつけ、バランスが良く、レース中にも関わらず、
ドライバーが快適で楽に安心して乗れるマシンと成長していった。
それは市販車に求められる性能と全く同じ。
86をニュルで鍛えた理由は…そういうことなのだ。

3クラス制覇

LFA、86に加えて、新たに開発実験車両である
LFA Code Xが加わった2014年。
予選、決勝共にトラブルフリーの展開で、
初めて3クラス制覇を達成した。
数年前の素人集団は、チーム力や技術力もアップし、
多少のトラブルなら通常のピットストップの時間内に
修復可能な俊敏な動きを見せた。
ただ、ここがゴールではなく
“いいクルマづくり”へのスタートなのである。

3台体制えた10年目挑戦

2007年の初挑戦から10年目、
マシンは昨年から挑戦のLEXUS RCに加えて、
未発売車両の開発の一環として参戦したTOYOTA C-HR Racing 、そしてTOM’SとのタッグによるLEXUS RC F の3台体制となった。
TOYOTA C-HR Racing での参戦はトヨタのクルマづくりの構造改革である「TNGA」の熟成、RC Fは車両開発/レースマネージメントをTOM’Sが担当することで、間接的な人材育成の役目も担う。

TOYOTA C-HR Racing は軽い接触とガス欠以外はほぼノントラブルでSP2Tクラス3位を獲得。LEXUS RC F は市販車ベースながらGT3並みの速さを見せ、駆動系に若干不安抱えつつもSP-PROクラス優勝。一方、LEXUS RC は昨年よりもパフォーマンスは上がったが、決勝中にトラブルが発生し緊急ピットイン。
夜を徹してのミッション交換でコースに復帰させたが、ゴールまで残り1時間半で無念のリタイヤ。
3車3様のニュル24時間となったが、今回の経験が「人を育てる」糧となった。

2017年、
マンパワー1台集約
原点回帰。

11年目の挑戦は、もう一度「人づくり」の原点に立ち返り、LEXUS RC1台で参戦する。
マシンは過去2年で培った経験や知見を活かし、パワートレイン、ドライブトレイン、
フットワーク、軽量化、空力など車両全体で大きく手が加えられているのはもちろん、
将来のスポーツカー開発のための技術蓄積を行なうためのアイテムも多数採用し、
昨年よりも進化して3年目の挑戦に挑む。

メカニックは、昨年経験したメンバーが、リタイヤの悔しさをバネに今年も挑戦。
エンジニアとともに、「いいクルマづくり」のために、
日々改善を行い24時間レースのゴールを目指す。

技術を伝承し、人材を育成する場としてのレースは最高の舞台。大事なことは、言葉やデータでクルマづくりを議論するのではなく、実際にモノを置いて、手で触れ、目で議論すること。2008年 成瀬 弘技術を伝承し、人材を育成する場としてのレースは最高の舞台。大事なことは、言葉やデータでクルマづくりを議論するのではなく、実際にモノを置いて、手で触れ、目で議論すること。2008年 成瀬 弘

いいクルマづくりにゴールはないからこそ、TOYOTA GAZOO Racingの活動はこれからも続いていく。

ニュルブルクリンクへの挑戦 -Challenge to Nürburgring 2017-ニュルブルクリンクへの挑戦 -Challenge to Nürburgring 2017-