総開催レース数300戦への軌跡
「もっと気軽にレースを楽しんでもらおう」という趣旨で2000年に始まったネッツカップヴィッツレース。「レース用の車両は、街乗り用のクルマとは別に用意するもの」という従来の常識を覆し、日本初の「ナンバー付車両によるレース」としてスタートしました。参戦の敷居が低いため、初年度から多くの参加者が集まりました。
初代ヴィッツは手軽で安価な1000ccエンジンを搭載した車両に限定してレースが開催されました。ロールバーや4点式シートベルトなどのレース用部品を装着すればレースに参加することが可能で、これらの部品が予め装着済みの車両“TRD・MSB(モータースポーツ・ベーシック)”も発売されました。些細なミスが明確なタイムロスになるなどドライビングの奥深さもあるとして、経験豊富なドライバーからも愛されました。
初年度のみ全国転戦シリーズとして開催されましたが、2年目からは地方シリーズを全国展開しています。多くのレースでフルグリッド(*1)を超える参加を集め、誰もがレースを味わえるコンソレーションレース(*2)も開催されるなど、日本のレース界における画期的なワンメイクレースシリーズとなりました。
2006年からは「2代目」の1500cc「RS TRD レーシング」をベース車に設定し、あらかじめロールバーや足回りなど指定部品が組みつけられ、エンジンは封印されるなど、イコールコンディション環境がより追求されました。「初代」と比べると排気量も1.5倍となり、その分スピードも向上。求められるドライビングスキルも一段上がったため、レースのレベルは全体的にアップしました。
また、各地方戦の上位ランカーや、タイ王国で開催されている「ヤリスカップ」の上位招待選手が参加する「特別戦(チャンピオン戦)」も行われるようになった他、2007~2008年はF1日本GP(富士)のサポートレースにも組み込まれ、大観衆を前にレースを繰り広げました。
2012年からは現行の「3代目」にフルモデルチェンジしました。最大の特徴は先代からの“イコールコンディション”をさらに徹底し、指定部品の選択幅をより絞り込んでいること。3代目からタイヤはグッドイヤーのワンメイクになり、マフラーはノーマルのみと、自由に交換できるのはブレーキパッドとシートぐらいに限定されました。これにより、速さがドライビングによって左右される傾向はもっと顕著になりました。
シリーズ開始から14年。300戦を重ねる歴史の長さもあり、ビギナーにベテランが技を伝授する光景も多く見られるようになり、入門に最適かつ長く愛されているシリーズとして現在も各地のサーキットで開催されています。
*1 フルグリッド:1回のレースに出場できる上限台数
*2 コンソレーションレース:決勝に残れなかった参加者によるレース
沿革
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- 2000年5月
- 全国転戦シリーズとしてSCP10型(初代)でスタート
日本で初めてのナンバー付ワンメイクレース
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- 2001年
- 東北、関東、関西、西日本の地区に分け4シリーズで開催
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- 2002年
- 北海道地区をくわえ5シリーズで開催
また特別戦(チャンピオン戦)もスタート
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- 2006年
- 車両をNCP91(2代目)に切り替えてスタート
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- 2007年
- F1日本GPのサポートレースをFSWで開催
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- 2008年
- シリーズ通算200戦を達成
前年に引き続きF1日本GPのサポートレースをFSWで開催
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- 2012年
- 車両をNCP131(3代目)に切り替えてスタート
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- 2013年
- シリーズ名を「GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race」へと変更
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- 2014年9月
- シリーズ通算300戦を達成