ラリードライバーオーディション
1次選考通過者決定!

2015.10.28 チャレンジプログラム2015

世界で活躍する若手ラリードライバーを育成する「GAZOO Racing チャレンジプログラム」。2月19日から、カテゴリーを問わずJAF公認競技に参戦経験があり、4月1日現在で26歳以下という若手ドライバーを対象に公募を開始し、公募最終日の3月9日までに71名のエントリーを集めた。そのなかから、厳選な書類選考を行い7名のドライバーが一次選考を通過。残念ながら3名の方が辞退されたので、二次選考に進まれる4名のドライバーをご紹介!今後は元WRCチャンピオンのトミ・マキネン氏の協力によりフィンランドで走行実技テストとフィジカル、メンタルテストを行い、最終的には2名程度のドライバーを選出する予定。一次選考を通過したドライバーは、ラリーはもちろん、レース、ダートトライアル、ジムカーナなど各カテゴリーで活躍する若手ドライバーばかり。ここではそれぞれのプロフィールを紹介するとともに、世界で戦うことを目指す若手ドライバーの熱意と意気込みを紹介する。

※五十音順

2013年
19歳の時にラリーデビュー
全日本ラリー選手権オープンクラスに出場
FIAアジア・パシフィックラリー選手権「ラリー北海道」出場
2014年
全日本ラリー選手権JN6クラス(選手権クラス)に出場
オーストリア国内ラリー選手権2戦に出場

昨年は、ラリー歴わずか2年ながらも全日本ラリー選手権でトップドライバーたちと互角の勝負をみせた新井大輝選手。残念ながらマシントラブルなどによりシリーズの最上位は4位という結果しか残せてはいないが、その速さと潜在能力の高さは多くのラリー関係者が認めている。

日本を代表するラリードライバー新井敏弘選手の息子でもある新井選手は、幼い頃からラリードライバーの英才教育を受けてきたのでは!?と思われがちだが、実際には「ラリーカーどころか、車の運転自体も運転免許証を取得してからです。小学生から高校生までずっとサッカーを続けてきて、その頃は自分がラリードライバーになるとはまったく思っていませんでしたし、父からも『ラリードライバーになれ』ということは一度も言われたことがないですね」という。

その新井選手が、ラリーの世界に飛び込んだのは、やはり父の影響が大きかったという。「自分の意志でラリーをやろうと思い始めたのですが、やはり子供の頃からラリーがすぐそばにある環境も大きかったと思います」と新井選手。小学校2年生から3年生にかけては家族でイギリスに移住し、父とともにWRCを転戦したという経歴を持ち、ラリーとはどういうものかというころとは自然に身に付いていたという。ちなみにこの頃に覚えた英語は「たった2年しか住んでいなかったのに、日本に帰国してからも、しばらくは妹と英語でケンカしていました(笑)」というくらい。英語検定準1級、TOEICでは780点を上げるほどの語学力だ。

その新井選手が、「GAZOO Racingチャレンジプログラム」にエントリーし、世界で戦うドライバーを目指す。
「日本の林道もヨーロッパの林道もそれぞれ独特のリズムみたいなものがあって、そのリズムに自分のタイミングを合わせることができた時に、安心してアクセルを踏むことができるんです。そういった状態の時が、一番気持ち良く走れるし、速く走ることができる。フィンランドの道を走る機会はそうないと思うので、どんなリズムなのか今から楽しみです」と、二次選考に向けてもあくまでも自然体で挑む。

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2005年
12歳の時にカートデビュー
2007年
全日本ジュニアカート選手権シリーズ2位
マカオで開催されたYAMAHA CUPで優勝
2008年
全日本カート選手権にトヨタヤマハレーシングチームからデビュー。同時にFTRS(フォーミュラトヨタ・レーシングスクール)を受講して首席で卒業
2010年
17歳の時に限定Aライセンスを取得して4輪(FCJ/フォーミュラチャレンジ・ジャパン)にステップアップ
2011年
FCJチャンピオン獲得
2012年
F3にステップアップすると同時に全日本ラリーにもスポット参戦開始
2013年
F3シリーズ2位
2014年
F3に参戦するとともに、トヨタ86で全日本ラリーに3戦出場し、第8戦でJN5クラス初優勝

「僕の夢は、世界で通用するドライバーになることです」と、その思いを熱く語る勝田貴元選手。祖父、父ともに全日本ラリーチャンピオンというラリー一家に育ったサラブレットは、カート、フォーミュラレースという道を経て、ラリーの世界に飛び込んできた。

「12歳の時、初めてカートに乗った時にモータースポーツの楽しさを知りました。それ以来、レーシングドライバーとしての道を歩んできたのですが、全日本ラリーに出場する機会があり、昨年あたりからレースとは違うラリーの面白さと難しさが見えてきて、この世界で頑張りたいという気持ちが強くなりました。一時はレースとラリーの両方をやりたいとも思いましたが、そんなに甘い世界ではないということはよく知っているので、世界の頂点を目指すためラリーにすべてを賭けてみようと思い、このプログラムに応募しました」と、応募の動機を語る。

レースでは期待の若手ドライバーのひとりとして注目を集め、昨年は全日本ラリー出場4戦目にしてクラス初優勝も奪った。二次選考会に向けては、「いろいろなカテゴリーで活躍した選手が応募してきていると思いますが、僕もレースで培った経験や、自分が最も得意としているブレーキング、高速コーナーなどリスクが高いところでのコーナーへの飛び込みでは、誰にも負けない自信があります。海外ラリーにはそういう道が多いと思うので、僕の持ち味を活かせると思います」と、抱負を語る。

12歳の時に自らの意志でカートの世界に飛び込み、レーシングドライバーの道を歩んだ勝田選手。カート界では決して若くはない年齢でのデビューだが、そこから駆け足で階段を駆け上がり、F3のシートを獲得した。そして22歳になったいま、ラリードライバーへの転向を決断。ラリー界にとっても、世界的に見れば22歳という年齢は決して早いデビューではない。だが、すでに短い期間でそのポテンシャルの高さを存分に発揮している。二次選考では、「世界に通用するドライバーという夢を叶えるために、全力で頑張ります!」と、自身の夢を追いかける。

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1996年
4歳の時に初めてカートに乗る
1998年
6歳の頃からカートレースに出場
2011年
筑波FJ1600レースにデビューし、18歳で初優勝を遂げる。
2012年
スーパーFJにステップアップ
2014年
スーパー耐久レースST3クラスチャンピオン獲得

昨年のスーパー耐久シリーズST3クラスでシリーズチャンピオンを獲得した廣川和希選手。モータースポーツとの出会いは4歳の時、父親の仕事の関係で山梨県に引っ越した時に、たまたま自宅のすぐ近くにレンタルカート場があったことがきっかけだった。「そこに子供でも乗れるカートがあって、最初は家族で楽しんでいたんですけど、6歳の時にどうしても自分のカートが欲しくなって。そこから本格的にモータースポーツを始めることになりました」と廣川選手。

今回、ラリードライバーのオーディションにエントリーしたきっかけは、仕事仲間の影響だという。「今は自動車関係のイベントをお手伝いする仕事をしていますが、そのインストラクターにラリーで活躍してきたドライバーの方が多く、ラリーの楽しさや面白さをいろいろ伺っていたんです。そんな時にこのプログラムの募集があって、もともと自分自身もラリーに興味があったので応募しました」という。

廣川選手は、サーキットの経験は豊富だが、ラリーはまったく経験したことがない。だが、「不安はない」と言い切る。

「特にグラベル(未舗装路)は、一度も全開で走ったことがないんです。でも、不安かどうかと聞かれると、不安1割、楽しみ9割という感じですね。やっぱり、今まで経験したことはないことにチャレンジできるということは、すごく楽しいことだと思います」と、二次選考に向けての抱負を語る。また、「ラリーとレースは畑違いのカテゴリーと思われますが、昨年のスーパー耐久で全国を転戦して、初めて走るサーキットも短時間で攻略する対応力を身につけることができました。そういった部分をラリーでも活かすことができればと思います。フィンランドへトミ・マキネンさんに会いに行くような機会はなかなかないので、今回の選考会でこれまでよりもドライバーとして一段も二段も成長できればと思います。確実に今までなかったものを得られると思うので、そのなかで、対応力が広いという自分の持ち味を少しでも出すことができればいいなと思っています」と、熱い想いを語ってくれた。

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2009年
18歳の時にダートトライアルデビュー
2010年
中部ダートトライアル選手権N1クラスチャンピオン獲得
2012年
中部ダートトライアル選手権N1クラスチャンピオン獲得
2013年
全日本ダートトライアル選手権N1クラスチャンピオン獲得
2014年
全日本ダートトライアル選手権N1クラスチャンピオン獲得

山本悠太選手は、18歳の時に自動車運転免許証を取得後すぐにダートトライアルをはじめ、翌年には中部地区のチャンピオン、全日本にステップアップした2013年にチャンピオンを獲得。昨年も2年連続チャンピオン獲得と、瞬く間に全日本ダートトライアルの頂点に立ったドライバーだ。23歳の時に獲得した全日本の初タイトルは、これまでの最年少チャンピオンの記録を更新している。

「両親がダートトライアルをやっていたこともあって、子供の頃から週末はダートトライアル場で過ごしていました。それこそ僕がオムツを履いていた頃からです(笑)」という山本選手にとって、ダートトライアルのドライバーの道へと進むのは、必然だったのかもしれない。

若くしてダートトライアルでその地位を築き上げた山本選手が、「GAZOO Racing チャレンジプログラム」にエントリーした動機を聞いてみた。

「実はダートトライアルを始めた頃から、ラリーをやりたいと思っていました。でも、資金的にいきなりラリーを始めるのは難しく、出場しやすい環境が整っていたダートトライアルを始めたんです。でも、いつかはラリーに行くことをいつも頭に描いて走っていました。実は、2年連続全日本チャンピオンを獲得して、自分の目標を達成したということもあって、今年は競技車を手放して1年休もうと思っていたんです。そんな時にこのプログラムの募集を知り、なにかの巡り合わせのように感じて、僕にとってはラリーに転向する最初で最後のチャンスかもしれないという思い、応募しました」と、その動機を語る。

二次選考に向けては、「ラリードライバーになりたいという夢があるのはもちろんですが、モータースポーツの世界のなかで僕たちのような世代が活躍して頑張っている姿を見てもらい、まわりのみんなが盛り上がって、『僕も頑張るぞ!』という一緒の気持ちになってもらえたらいいなと思っています。自分自身、普段からそういう気持ちでモータースポーツに取り組んできましたから」と、同世代のドライバーたちにエールを送った。