TRDラリーチャレンジ Rd4 in 安芸高田レポート

西日本随一の名門グラベルコースに果敢にアタック!

2015.06.22 TRDラリーチャレンジ2015

2015年シリーズ唯一のオールグラベルラウンド、開幕

6月21日、広島県安芸高田市においてTRDラリーチャレンジカップ in 安芸高田が開催された。2015 JMRC中国・四国ラリーシリーズにTRDラリーチャレンジクラスとして併設された本戦は、安芸高田市にあるグラベル(未舗装路)コースの名所「テクニックステージタカタ」をメインステージとし、計5本のSS(タイムアタック区間)で争われた。前日、広島県内は洪水警報が出るほどの大雨に見舞われコースコンディションが心配されたが、一夜明けて天候は快晴。コース状況も徐々に回復した。

  • 前日の大雨で水たまりの残るスタートとなったが、徐々にドライコンディションになっていった。
    前日の大雨で水たまりの残るスタートとなったが、徐々にドライコンディションになっていった。
  • 全日本ラリー選手権を戦うミニが0カーを務め、迫力の走りを披露した。
    全日本ラリー選手権を戦うミニが0カーを務め、迫力の走りを披露した。

全てのテクニックを総動員し、難コースに挑む!

今回ステージとなったテクニックステージタカタは西日本随一のダート(未舗装路)コースとして定評があり、その起伏に富んだコースレイアウトは、攻めこむほどに難しさが増す。
SS1を終えた各車は安芸高田市役所 高宮支所に移動。地元の方々に温かく見送られながらセレモニアルスタートを行い、以降のモチベーションを高めた。
午後のSSは午前のSSと同じコースの逆走となる。ダートトライアル選手権でもめったに使われない逆走となることで、まったく別の顔を見せる難コースに参加者は手を焼くこととなった。

  • 立体交差の下には水溜りが残り、どう処理するかは参加者によって様々だった。
    立体交差の下には水溜りが残り、どう処理するかは参加者によって様々だった。
  • ラリー終了後には希望者への同乗走行が行われ、全日本ラリー選手権を戦うマシンのスピードを体感。
    ラリー終了後には希望者への同乗走行が行われ、全日本ラリー選手権を戦うマシンのスピードを体感。

地元の現役ダートスペシャリストが見せる驚異の走り

86エキスパートクラスのE-2クラスには、今回最多となる5台がエントリー。今回初参加となる矢野淳一郎/山崎貴之組だが、地元広島の矢野選手は全日本ダートトライアルに86で参戦する現役選手。テクニックステージタカタを熟知した彼の走りに注目が集まったが、SS1から異次元のスピードを見せつけ、2位と10秒もの差をつけての総合トップタイムをマークした。続くSSでもその勢いが止まることはなく、毎回ベストタイムを塗り替える驚異的な走りを披露する。最終的には、全SSを終え他車に1分近いタイム差でフィニッシュした矢野/山崎組。ダートスペシャリストの走りを見せつけた。

  • 走り慣れたテクニックステージタカタで圧倒的な走りを見せた矢野選手。その走りは大胆ながら繊細。
    走り慣れたテクニックステージタカタで圧倒的な走りを見せた矢野選手。その走りは大胆ながら繊細。
  • ステップアップサポートプログラムにエントリーしている佐々木選手は見事2位表彰台を獲得し、大幅にポイントを加算した。
    ステップアップサポートプログラムにエントリーしている佐々木選手は見事2位表彰台を獲得し、大幅にポイントを加算した。

コンマ1秒を勝ち取ったのは若手かベテランか

毎回激戦が続くE-3クラス。今回も、クラスランキングトップの加藤英祐/山崎和博組を中心にバトルが展開する。SS1から加藤組に牙を剥いたのはベテランの名倉成幸/名倉洋子組。131(現行型)ヴィッツの走らせ方が分かってきたと話す名倉選手は、5本のSS内、3本のSSで加藤組を上回るタイムを記録した。しかし、SSを重ねるごとに着実にタイムアップする加藤組が0.1秒差で勝利を掴みとった。
86チャレンジクラスのC-3には4台がエントリー。今回ドライバーとコ・ドライバーを入れ替えての参戦となったSANGO Exhaust86の玉置宏行/若松仁組と、NAVUL 86の増元信彦/大矢啓太組による抜きつ抜かれつのバトルとなったが、最終SSで6秒のタイムアップを果たした玉置/若松組が勝利した。

  • 最後まで名倉組と熾烈なバトルを繰り広げた加藤組。コンマ1秒差という大接戦となった。
    最後まで名倉組と熾烈なバトルを繰り広げた加藤組。コンマ1秒差という大接戦となった。
  • 見事初優勝を飾った玉置/若松組。今後、どちらがドライバーを務めるかが注目される。
    見事初優勝を飾った玉置/若松組。今後、どちらがドライバーを務めるかが注目される。

コ・ドライバー経験で培った感性を活かす走り

今回TOYOTA GAZOO Racingからは「TGRアカデミー86」がエントリー。ドライブするのは、今年初のドライバー参戦となる勝又選手。トヨタ評価ドライバーとして幾多のトヨタ車をドライブしてきた勝又選手だが、競技スピードの86で初体験のダートコースを攻めるのは未知の世界。コ・ドライバーを務めた足立さやか選手は「最初は車に慣れるのが大変そうでしたが、すぐに順応していましたね。こちらの指示にもちゃんと応える走りができていましたし、コ・ドライバーとして経験を積んだことも大きいのかもしれません」と振り返った。終わってみれば見事クラス3位を獲得した勝又選手は「初めてのチャレンジが多く、良い経験になりました。ブラインドコーナーが多いので、コ・ドライバーの指示がとても重要だったんですが、足立選手はさすがですね。私が作るよりずっと緻密で細かいペースノートなのに、ドライバーへの指示は明確で分かりやすい。おかげで迷いなく走れました」と笑顔で語った。

  • 久々のドライバー参戦となった勝又選手だったが、足立選手の見事なアシストで安心して全開走行できたと語った。
    久々のドライバー参戦となった勝又選手だったが、足立選手の見事なアシストで安心して全開走行できたと語った。
  • スペシャリストの走りを目の当たりにし、それぞれの参加者が良い刺激を受けているようだった。
    スペシャリストの走りを目の当たりにし、それぞれの参加者が良い刺激を受けているようだった。

クラス別順位結果(上位3クルー)

class - E-2
1位 ドライバー/コ・ドライバー
矢野 淳一郎/山崎 貴之
トヨタ 86
2位 ドライバー/コ・ドライバー
佐々木 康行/櫻井 貴章
トヨタ 86
3位 ドライバー/コ・ドライバー
勝又 義信/足立 さやか
トヨタ 86
class - C-3
1位 ドライバー/コ・ドライバー
玉置 宏行/若松 仁
トヨタ 86
2位 ドライバー/コ・ドライバー
増元 信彦/大矢 啓太
トヨタ 86
3位 ドライバー/コ・ドライバー
田中 実/今村 俊之
トヨタ 86
class - E-3
1位 ドライバー/コ・ドライバー
加藤 英祐/山崎 和博
トヨタ カローラレビン
2位 ドライバー/コ・ドライバー
名倉 成幸/名倉 洋子
トヨタ ヴィッツ
3位 ドライバー/コ・ドライバー
大谷 美紀夫/大田 智喜
トヨタ ヴィッツ

※E-1、C-2、C-1はクラス不成立。TRDラリーチャレンジのクラス区分はこちらを参照ください。