開発者インタビュー

AQUA MODELLISTA バージョン

MODELLISTA

「HYBRID Urban Runner」をコンセプトに、ハイブリッドカーのある暮らしをより楽しく

MODELLISTA
開発者
開発者松本 雅治氏の写真
松本 雅治氏
株式会社トヨタモデリスタインターナショナル
商品部 デザイングループ主任
コンパクトカーを中心の乗り継いできたという車歴の中でも、特に最初に購入したスプリンターカリブは雪道も軽快に走行でき、スキーを楽しむために欠かせない存在だったと振り返る。現在はプジョー306を所有している。

トヨタ最小コンパクトハイブリッドとして登場した「AQUA(アクア)」。ハイブリッド車でありながらアクティブなスタイルを持つアクアを、よりスポーティーに、そしてワンランク上の高級感をプラスしたのが「アクアモデリスタバージョン」である。モデリスタではどのようにこのアクアをカスタマイズしたのか、そしてそこには開発者のどんな思いが詰まっているのか。開発の裏側を聞いてみた。

開発者松本 雅治氏のインタビュー写真

──松本さんは今回、アクアのモデリスタバージョンの開発を担当されたわけですが、コンパクトカーが結構お好きと聞きました。コンパクトカーのどんなところに魅力を感じていますか。

松本 雅治氏(以下松本):

どんなジャンルのクルマも好きですが、都内に住んでいることもありクルマの運転であまりストレスを感じたくないので、きびきび走るクルマ、乗っていて気持ちいいクルマ、燃費の良い車ということでコンパクトカーが特に好きですね。今まで所有してきたのもコンパクトなクルマが多く、最初に乗ったクルマはスプリンターカリブでしたし、今所有しているクルマはプジョー306です。
スキーやスノーボードが趣味なので、若い頃はスプリンターカリブで車中泊をして朝から滑る、そんな使い方をしていました。4WDで車重が軽かったため、深い雪の所で他のクルマが走れないような場面でもグイグイ走れましたね。そんな頼れる相棒だったスプリンターカリブは長く愛用した思い出深いクルマです。今はキャンプなども好きなので、プジョーにテントなどの道具を満載していろいろな場所に出かけていますよ。

──そんな松本さんが今回アクアの開発を担当されたわけですが、モデリスタでは発売前の車両の開発も多く手掛けていると思います。そういったクルマの開発で難しい点はどんなところですか。

松本:
どんな車でも市販される前のクルマは、どのようなお客様が乗るのかイメージを膨らませるのが難しいですね。アクアは全く新しいクルマですし、ハイブリッドの小型車とはどういったものかというイメージを掴むのが難しかったです。
例えばカローラのような既存のクルマであれば、それまでのデータを分析することでどんなお客様が乗るか、ターゲットは絞りやすいと思います。ですから、モデルチェンジの場合はイメージを掴みやすいのですが、アクアのようなまったく新しいクルマの場合はどのようなお客様が乗られるのか、どのような楽しみ方をアクアでされるのか、どんなカスタマイズをしたら喜んでいただけるのか、想像を膨らませてデザインに落とし込むのに、非常に苦労しました。
今回のアクアの場合、20代から30代のカップル、もしくは結婚して子供がまだいない夫婦などをターゲットユーザーに設定しています。エコに関心が高い一方で、おしゃれにも敏感で自分らしさも大事にしている世代です。もちろん、アクアは50代や60代の方にも支持されるクルマだと思いますし、そのような方にも気に入ってもらえるようにシンプルで美しいデザインを心掛けました。

──今回のアクア モデリスタバージョンではシンプルで美しいデザインを心掛けたということですが、全体的にメッキパーツを効果的に使用している印象を受けますね。

松本:

モデリスタの手法でエアロパーツの一部にメッキを取り入れるというのは他の車種でも展開していますが、今回はロアグリルにメッキの縁どりを入れることで、フロントフェイスにインパクトを持たせています。ロアグリルを大きく見せてよりスポーティーに見せると同時にメッキを取り入ることで高級感を上げる、それを狙っているのです。
最近の欧州車のトレンドで、ロアグリルを強調するためにメッキを取り入れるケースは多く、トヨタ車でも一部採用されている手法です。しかし、エアロパーツでこのように取り入れるスタイルは新しいと思います。
アクアはベース車自体がシンプルで美しいデザインですので、プラスアルファを求めるお客様のために、モデリスタバージョンでは車体全体にメッキパーツをさりげなく配置して上質感をプラスしています。
ただ、メッキパーツは使いすぎると下品になりますので、どれぐらいのボリュームが良いのか検証はしています。最近の欧州車のトレンドとしてポイント的にきらりとしたパーツを取り入れるのが定番化していますので、欧州車のデザインを横目で見ながらデザインをまとめました。

──最近では、お客様は欧州のコンパクトカーと比較することも少なくないかもしれません。開発を担当する上で、比較対象として海外のコンパクトカーはやはり意識しているのでしょうか。

松本:

意識していない、と言ったら嘘になります。ベース車のアクアは欧州車に対抗できるグッドデザインだと思いますし、なによりハイブリッドというスペシャルなアイコンを持っています。そのため私自身は欧州のコンパクトカーに負けないデザインにしたかったですね。たとえばですが海外のプレミアムコンパクトに乗っているようなクルマにこだわりを持つ人が、このアクア モデリスタバージョンに乗り替えても違和感のない、そして満足してもらえるデザインにしたつもりです。

開発者松本 雅治氏のインタビュー写真

──アクアはプリウス譲りのエアロフォルムが特長的ですが、そういった点はエアロパーツを設計する時に何か留意したことはありますか。

松本:

アクアはハイブリッド車ということで、空力にも大変気を使ったデザインになっています。そういったクルマの特性上、今回は燃費を悪くしないようにデザイン開発を進めました。ただ、他ブランドとの差別化も含めて、「モデリスタのエアロにはある程度のボリューム感を持たせたスタイリングにしよう」という方向性にしたのですが、燃費を犠牲にするようなデザインにはしたくありませんでした。そのためエアロ各部のディティールにも気を遣い、デザインを重視しつつも空力にも注意しながら全体のバランスを取っています。

──インテリアにも工夫が施されていると聞きましたが、具体的にはどのようなものでしょうか。

松本:

アクアのインテリアはポップな印象ですので、それにプラスして上質感も演出しようと木目調のパネルやメッキ処理したシフトベ-スフィニッシャーを設定しています。 またファンクショナルLEDという商品を設定しているのですが、クルマの走行状態をLEDの光で表示する機能を備えています。光の色と柄の流れでハイブリッドの状態を表現しているもので、例えば赤紫に光るとエンジンの回転数が上がっている、水色だとモーター走行という感じで表示できるものです。もちろんメーターを見ればエンジンの状態は把握出来るのですが、直感的にハイブリッドの状態が判りますので、ファッション性と機能性を両立させた商品といえます。

──最後にイベント会場では来場者にこのアクア モデリスタバージョン、どの辺を特に見て欲しいですか。

松本:

アクアはハイブリッド車でありながら走りに関しても欧州のプレミアムコンパクトと呼ばれるジャンルのクルマに負けていないと思います。そしてエクステリアも小型車ながら存在感のあるモダンなデザインですので、それにモデリスタの商品を装着する事でコンパクトカーらしいきびきびとしたスポーティーさや、メッキパーツによるアーバンテイストなど、より存在感のあるスタイルにすることができたと自負しています。ボディとの一体感の高いエアロデザインやパーツの品質感などを是非間近で見て欲しいと思います。

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