東京オートサロン2010 全体レポート
世界最大級のカスタムカーの祭典!! 幕張メッセがカスタムカーで埋め尽くされた。大勢のコンパニオンが彩を添え、会場内はまさに“お祭”といった状態で盛り上がった。
1月15日から17日までの3日間、千葉県千葉市の幕張メッセで開催されたのが「東京オートサロン 2010 with NAPAC」(主催:東京オートサロン事務局)だ。
ショップが自慢のカスタムカー、チューンドカーを展示、専門学校のユニークな改造車が人を集めていたりする。それらに混じってホンダアクセス、ニスモ、STIといったメーカー系のチューナーもそれぞれの特色を競う。
オートサロンの開幕直後、幕張メッセがいきなりヒートアップしたのはTOYOTA/GAZOO Racingのブースでの記者会見にトヨタ自動車の豊田章男社長が登場した瞬間だ。豊田社長はクルマ好きとして知られ、ニュルブルグリンク24時間耐久レースにも参戦している。
TOYOTA/GAZOO Racingは数多くのカスタマイズカーをブース内に展示した。中でも、豊田章男社長みずから開発の熱き想いを語りつつ発表した、GAZOO Racing tuned by MN(GRMN)のコンセプトカーはクルマの夢と楽しさをカタチにしたモデルとして注目を集めた。『iQ GRMN+Supercharger Concept』、『GRMN FR Hot hatch Concept』、『GRMN SPORTS HYBRID Concept』が展示され、トヨタの“やる気”が見る者にひしひしと伝わってきた。
また、「GRMN」シリーズに加え、これまでGAZOO Racingで培った「走りの味」をより幅広いお客様に提供する、トヨタの新スポーツコンバージョンシリーズ「G -Sports」の発表も行われた。昨秋の東京モーターショーで大人気だった『FT-86コンセプト』が早くもG's仕様となって登場したのには誰もが驚いた。その他にも、G'sシリーズは『マークX』、『プリウス』、『ノア』、『ヴォクシー』も展示され、発売のアナウンスが待ち遠しい。
さらに、最終日にも豊田社長がブースに再登場、来場者と交流した。世界一のメーカーはひょっとしたら世界一のカスタマイザーになるかもしれない。
今回のオートサロン、出品車の流行の中心は、トヨタ『プリウス』やホンダ『インサイト』などのハイブリッドカーだ。エコカー減税や補助金もあり、これらの新車が爆発的に売れている。これまでのオートサロンでハイブリッドカーはほとんど見られなかったが、いまや環境への意識は高まった。
ホンダブースではカスタマイズブランド「モデューロ」による『モデューロ・インサイト』や『ツーリングモデューロ・インサイト』、コンセプトモデル『インサイト・スポーツモデューロ・コンセプト』など仕様の異なる3種の車両が展示された。
ハイブリットカーへの注目が集まるなか、エコでも自分らしい車に乗りたい、エコで速く走りたい!! それは決して不可能ではないと教えてくれた。
もちろん走りの楽しさを追求した車両も会場内にひしめき合う。日産ブースではスポーティな車種が並び、トランスポーターが持ち込まれるなど、さながらピットの雰囲気を醸し出す。NISMOブランドからは「クラブスポーツパッケージ」を装着した『GT-R Club Sports Package』や、オーテックがパーツを製造する『FAIRLADY Z Version NISMO』が展示されるなど、運動性能の高さに更に磨きをかけた車種に人気が集まった。
オートサロンでは展示車両だけでなく各種イベントも注目したい。なかでも屋外スペースで行われていたD1選手権のデモランは、なんと4000人が観戦、すごい人気だ。このD1という競技は、車を滑らせるドリフト挙動の美しさを競うもので、サーキットに大勢の観客を集めるが、もともとストリート発祥のモータースポーツで、オートサロン由来の競技と言っていい。今年は国際選手権として7戦が予定されている。
昨秋の東京モーターショーは不景気の影響で出展者数、来場者数ともに低迷、一時はオートサロンもどうなるかと心配された。ところが、いざふたを開けてみれば出展者数は前年比約20%増となり、展示されたクルマの台数も600台を超えた。なにより会期3日間の来場者数は同3.8%増となる23万7954人、カスタムカーを愛する人々の情熱に景気の影響はないことを証明した。