開発者インタビュー

GRMN Vitz Turbo Concept

GRMN

「2Box Pure Sport」サーキットからフォーマルまでこなすオールラウンダー

GRMN
開発者
開発者甲斐 将行氏の写真
甲斐 将行氏
トヨタ自動車株式会社
スポーツ車両統括部 GR開発室 主任
レーシングカートが趣味で、車歴はAE86からスタートしRX-7、そして現在はポルシェ・ボクスターを愛用している甲斐さん。

GRMNのコンセプトカーの1台は、コンパクトな車体にターボを搭載した「Vitz Turbo」。サーキットなど限られたフィールドだけでなく、日常の幅広いシチュエーションにも対応するオールラウンダーを目指し開発を行っている。実用性を兼ね備えたヴィッツターボとは一体どんなクルマで、どのような味つけが施されているのだろうか。

開発者甲斐 将行氏のインタビュー写真

──「GRMN Vitz Turbo」の開発を担当されている甲斐さんですが、まずはその横顔を知りたいと思いますので、どんなクルマに乗ってきたのですか。またどんな楽しみ方をしていますか。

甲斐 将行氏(以下甲斐):

最初のクルマは大学のサークルの先輩から譲り受けた3万円のAE86で、まだハチロクがブームになる前だったので安かったのですが、とにかくクルマが欲しくて手に入れました。本格的にクルマを楽しみ始めたのはこのハチロクからですね。
現在はポルシェ・ボクスターを所有しており、娘とドライブを楽しんでいます。ボクスターはバランスが凄く良くとれているところが好きで、街乗りも良いし、ジムカーナやサーキットもこなせる秀才タイプだと思います。しかも、時速30キロでコーナーを曲がっても気持ち良さを感じます。また高速走行では自分のイメージしたラインをしっかりとトレースでき、クルマにこう動いて欲しいという動きを完璧にこなしてくれます。今のところボクスター以外では味わえない感覚だと思います。

──甲斐さんの横顔が分かってきたところで、本題に入りたいと思いますが、まずは「GRMN Vitz Turbo」の開発コンセプトを教えて下さい。

甲斐:

開発コンセプトは「2BOX Pure Sport」で、サーキットからフォーマルまでこなすオールラウンダーです。サーキット走行にも耐えられる走行性能を有し、なおかつ普段の街乗りでも快適性と実用性を兼ね備えたクルマです。 この開発コンセプトに向け、基本性能である「走る、曲がる、止まる」の徹底的なブラッシュアップし、特にエンジンはターボ装着により出力アップをしていますので、それに合わせたボディーの補強とワイドトレッド化、ハイグリップタイヤ装着によるコーナリング性能のアップを狙っています。そしてフロントには対向4ポットブレーキを採用し、制動力アップとコントロール性の実現を狙っています。

──オールラウンダーとはいえ、ターボを装着しそれなりの足回りにすると、結構レーシーな雰囲気のスタイルになってしまうのでは。

甲斐:

幅広いシチュエーションに合せるためには、できるだけすっきりとしたシルエットにしたい。しかし、ターボを搭載する場合、ボンネットなど一部シルエットを変えないといけないのですが、後付けのようにならず、「これはメーカーで無いとできないぞ」という一体感があるシルエットにしています。それがGRMNの腕の見せどころであり、GRMNだからこそできる特徴の一つです。

──サーキットからフォーマルまでをこなすオールラウンダーを謳っていますが、逆にそういったクルマ作りは難しかったのではないでしょうか。

甲斐:

実はこのコンセプトは先代のVitzから開発をスタートしているんです。Vitz turbo MNとして、さまざまなカスタマイズをトライしてきています。新型Vitzになってからは、2011年の前半に企画をして、後半でデザインが固まってきた状態です。
走りに関してはVitz turbo MNをベースにしながら2012年にテストを重ねる計画です。
私は欲張りなので(笑)、どれか一つに特化したクルマではなくて、幅広いシチュエーションに対応できるクルマにしたいと思っております。普段の街乗りもこなせるし、冠婚葬祭も違和感なく参加でき、峠やサーキットも楽しく走れる。この「GRMN Vitz turbo」のオーナーとなる皆さんが、いろいろな場面で所有していて良かったなと思ってもらえるクルマにしたいですね。

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──まだ開発が始まって間もないクルマですが、そういったコンセプトカーをオートサロンに展示する理由は、やはりお客様の意見を聞きたいからですか。

甲斐:

そうですね。コンセプトカーでも初期の状態ですが、まずはオートサロンでクルマ好きの皆さんと多く接して、どんなクルマを求めているか、このクルマに対してどのような印象を持つのかをお聞きしたいです。そして、クルマ好きの皆さんの意見を吸収して、今後の開発にフィードバックしていきたいという思いです。
以前から、もっとワクワクするクルマをなぜトヨタは出さないのか、と思い続けていました。今回、長い間溜めこんできた思いを形にする機会を与えてもらったことは本当にうれしいですね。社内には私のような思いを持つ人は多いと思います。共感してもらって「俺もやりたい」と思ってもらえれば波及効果があっていいと思います。
「GRMN Vitz Turbo」がお客様に受け入れてもらえるかまだ分かりませんが、自分としてはこだわりを持って作っていますので、クルマ好きの皆さんに共感してもらえるとうれしいですね。
GRMNは普通のクルマ作りではできないことを色々トライし、少しでも多く市販車の開発にフィードバックして市販車のレベルアップに繋げたいと思っています。それが私たちの使命であるとも思っています。私の歳でヴィッツ1台を任されて「好きにやっていいぞ!」と言われるのは本当に珍しいことなのですが、プレッシャーを感じるより、思い切り楽しんでやっています。

──「GRMN Vitz Turbo」は今後、どのような流れで開発が続けられるのでしょか。

甲斐:

まずはコンセプトカーとしてこの「GRMN Vitz Turbo」をオートサロンに出して、クルマ好きの皆さんに直接聞かせていただきます。そして1年掛けて開発を行い、翌年のオートサロンに市販前提としたプロトタイプモデルとして発表できればと思っています。そういった点では2012年のオートサロンでこのクルマを出す意味は非常に大きく、皆さんの反応を色々聞いてみたいですね。「このデザインはダメだ」とか「やっぱり5ドアでないと」というダメ出しでも遠慮なく頂ければと思っています。そして、クルマ好きの皆さんの応援をいただき、このクルマが完成できるよう全力で頑張りたいと思います。

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