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プレ・シーズン・イベント2006.01.14

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パナソニック・トヨタ・レーシングは1月14日、フランス北部のバランシエンヌにあるトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・フランス(TMMF)で、2006年シーズンを戦う新車“TF106”を報道陣に披露した。チームはすでに昨年11月28日に参戦チーム中で最も早く新型車をシェイクダウンしている。そのため、今回のイベントは新車発表会ではなく、「プレ・シーズン・イベント」と題して行った。

昨年は新車発表を行ったあと、効率よくテストの現場に向かえるという理由でサーキットに近いバルセロナの古い駅舎が会場に選ばれたが、今年はトヨタ・ヤリス(日本名ヴィッツ)を生産する工場が披露の場となった。TMMFは2001年1月に操業を開始し、以来ヤリスの生産を続けている。ちょうど新型の生産に切り替わったばかりで、年間27万台を生産。欧州で販売するトヨタ車のおよそ4分の1程度を占め、約4000人の従業員が働いている。ベルギーとの国境近くに位置するバランシエンヌはパリからクルマで2時間、TMGがあるドイツ・ケルンからはクルマで約3時間の位置にある。

パナソニック・トヨタ・レーシングが新車の発表会場に市販車の生産工場を選んだのは、F1参戦活動も市販車の生産活動も、同じトヨタ・ファミリーの結束のもとに行われていること。また、両者がともにトヨタの企業理念であり哲学でもある、「トヨタ・ウェイ」の基本、「トヨタ生産方式(TPS)」や「カイゼン」を通じて絶え間ない努力を行っていること。こうした密接な関係をアピールする意図があった。

新車を披露するイベントは正午から始まったが、その前に、最新鋭工場の設備を見学するツアーがプログラムに組み込まれていた。ファッショナブルな作業服に身を包んだ約150名の従業員が、世界各国から集まったおよそ250名のジャーナリストを案内。プレス、溶接といった要所では、トヨタ・ウェイがいかに効率向上に影響を与えたかの説明が行われた。

いかにも整然とした工場内を歩きながらトヨタ・ウェイの実際を見学すると、終着点にイベントが行われるステージが現れるという粋な趣向である。赤い布をまとったTF106の背後に、製造ラインを流れるヤリスの姿が見える。TMMF社長の挨拶に引き続いてステージに上がったTMG社長、ジョン・ハウエットは「TPSがもたらす効果を実感できている」と強調。TF106がこれだけ早く完成した陰には、トヨタのDNAであるTPSの役割を無視することはできないと語った。

続いて壇上に上がった冨田務TMG会長兼チーム代表はTMMFのような素晴らしい施設で新車を披露できることに喜びを表しつつ、「2006年の目標は初優勝を遂げること」と明言。TMGの努力だけでなく、日本のトヨタ自動車との協力関係を生かし、シャシーとエンジンをひとつ屋根の下で開発する強みをいかんなく発揮したいとコメントした。

冨田会長兼チーム代表の後を受けてステージに上がったのは、シャシーとエンジンという開発の両輪を指揮するふたりのディレクター、エンジン部門のルカ・マルモリーニとシャシー部門のマイク・ガスコインだった。マルモリーニが今シーズン新たに投入される2.4リッター・V8エンジンが、課題を克服しながら順調に仕上がっていることを報告すると、ガスコインは「カイゼンという絶え間ない開発を続けた成果がTF106に反映されている」と説明。「開幕戦には新しい空力パッケージを持ち込む準備ができているし、モナコGPまでにはさらに開発を進めたTF106Bを投入する予定」のあることを明らかにした。

いよいよドライバーの登場である。ステージにはラルフ・シューマッハー、ヤルノ・トゥルーリのレギュラードライバーに、サードドライバーのリカルド・ゾンタが現れた。アルパインスターズとのパートナーシップ締結にともなって、レーシングスーツを一新。縦方向に伸びる鮮やかな白地が目を引くデザインとなった。

「V10エンジンからV8エンジンへの変更、ブリヂストンタイヤへのスイッチなど、たくさんの変更があったが、印象はとてもいい」とゾンタが口火を切れば、トゥルーリも「ブリヂストンタイヤのハンドリングはとてもいい」と続ける。ラルフは「V8エンジンはある意味ステップバックだが、乗ってみると面白い。僕たちは正しい方向に向かっている」とコメントした。

岡本一雄トヨタ自動車副社長がトヨタの技術の粋を集めた一人乗り電気自動車の「i-Swing」に乗って現れると、レギュラードライバーのふたりはステージ中央に移り、赤い布を引き上げてTF106を集まった報道陣に披露した。注意深く観察すると、この日パートナーシップを更新したばかりのインテルのロゴが新しくなっていることに気づく。新しいレーシングスーツとTF106との取り合わせは初めてだけに、周囲に新鮮な印象を振りまいていた。

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