新居レポート - 2009 第2戦 マレーシアGP

マレーシアGP 新居レポート

2009年4月6日

いつも応援ありがとうございます。開幕戦でペナルティを科せられ12位に降格したヤルノ・トゥルーリですが、マレーシアで再審議された結果このペナルティは撤回され、晴れて3位表彰台が確定しました。開幕戦での表彰台は初でしたので、今シーズンは幸先のいいスタートを切ることができました。それではさっそく、2週間連続での開催となったマレーシアGPの報告をいたしましょう。

違反の指摘を再び繰り返さぬよう気を引き締めて臨む

テストでも試したことがない硬めのタイヤ、そしてオーストラリアGPとは異なるフロントウイングのサーキットとの相性を確認。金曜のフリー走行時点で両要素とも問題なく機能するようクルマを仕上げた。

一度出された決定をどのような理由にせよ、自らの手で覆すということは勇気がいります。最終的に我々の主張が受け入れられ、ヤルノが3位を勝ち取ったことを素直にうれしく思っています。ただ、オーストラリアGPではパフォーマンスに影響しない空力部分でレギュレーション違反を指摘されたため、予選で2台そろってトップ10に入りながら、ピットレーンスタートとなってしまいました。今回はトラブルなく最後まで走りきることはもちろん、トップチームとしてこのような指摘を受けないよう、気を引き締めて臨みました。
ハード面ではオーストラリアGPから連戦のため、大きな変更はありませんでしたが、フロントウイングは異なるスペックも持ち込んでいました。タイヤも2スペックとも異なるソフトとハードでした。特にハードはウインターテストで装着したものとは違うコンパウンドになったと聞いてのマレーシア入りでした。

中団に埋もれたものの、手応えのある金曜日

2度目のピットストップではヤルノとティモで異なるタイヤを選択した。雨脚が強くなるまでやや時間がかかったため、「深溝は2周で劣化し始めた」(ヤルノ談)が、浅溝をはいたティモは大きく順位を上げることに成功した。

今回ブリヂストンが用意したタイヤは、軟らかい側も硬い側もそれぞれ1ランクずつ前戦よりも硬めとなるものでした。メルボルンより暑いセパン・インターナショナル・サーキットで、この2種類がどのようなパフォーマンスを発揮するのか、楽しみでもあり、心配でもありました。低温で性能を発揮するソフトタイヤで高温のセパンを走行して劣化が起こらないのか、また作動温度領域が高めに設定されているハードタイヤの温まりに苦労しないかどうかということを見極める必要がありました。
結果的にはどちらの心配も杞憂に終わり、金曜日のフリー走行は順調にプログラムをこなすことができました。ハードタイヤはセパンの気温が高かったということもあり、常時安定したパフォーマンスを披露してくれましたし、ロングランでもソフトタイヤに著しい性能劣化は見られませんでした。また、セパンに持ち込んだ新しいフロントウイングも効果があったようで、ふたりのドライバーともに好感触を得ていました。タイムと順位は全体の真ん中あたりに埋もれる形となりましたが、2日目以降につなげられる内容でフリー走行を終えました。

僅差でPPを逃すも最善のアタックで予選2-3位を獲得

タイヤ選択が功を奏し、雨が降り始めてから驚異的な追い上げを見せ表彰台を獲得したティモ。レースが最後まで続行されればまだ上を狙えた可能性があっただけに、天候に翻弄されたやや悔しい結果となった。

金曜日に付いた路面のラバーが夜のスコールで洗い流されたため、土曜日のフリー走行ではグリップ不足に悩まされました。ただし、前夜にTMGのファクトリーと情報を交換し、我々のセットアップの方向性に間違いはないと判断していました。
予選はオーストラリアGP同様接戦となり、白熱したタイムアタック合戦となりました。前回は最終ピリオドで満足のいくアタックができず悔しい思いをしましたが、今回は結果だけでなく、アタック自体も納得のいくものでしたが、欲を言えばポールポジションを取りたかったです。PPとの差は100分の9秒でしたので、惜しいことをしました。
一方、ティモ(グロック)は土曜午前中からセットアップに苦しんでいましたが、予選では5位を獲得。予選3位と4位のドライバーがペナルティによってそれぞれ降格したため、ティモのポジションがふたつ上がりました。これで決勝は2番手と3番手という絶好のポジションからスタートできるので、最低でも表彰台には登りたいと思っていましたし、真剣に優勝も狙っていました。ただし気がかりなことは不安定な天候でした。木曜日から土曜日まで3日間連続で夕方、スコールに見舞われ、日曜日の夕方も50%から70%の確率でスコールが訪れると予報されていました。しかし、雨の中でもテストを行ってきましたし、雨でも晴れでもいいレースができると信じて、決勝に臨みました。

戦略が的中、ティモが3位に入り2戦連続の表彰台。優勝も見えた開幕2連戦

予選2位を獲得したヤルノは、スタートでやや出遅れてしまったが、コース上ではベテランならではの粘り強い走りを続けていた。「少しアンラッキーな週末だった」と振り返っていたが、今後に期待がもてる結果を残した。

夕方スタートのレースでしたのでのスコールに見舞われる可能性が高いということは分かっていました。ただ、あまりにも激しい雨となり、赤旗中断。そのままレースが終了するという結末となってしまったことは想定外でした。とはいえ、ティモが3位を獲得し、チームとして2戦連続で表彰台に立つことができたことはシーズンの滑り出しとしては悪い結果ではなかったと思っています。
ティモはスタートで出遅れて8番手まで後退したものの、最初に雨が降ってきた22周目の2回目のピットストップで、ほかの多くのドライバーが装着したウエットタイヤ(深溝)ではなく、インターミディエイトタイヤ(浅溝)を履かせたのが功を奏しました。マレーシアで雨が降るときは、一気に降り出すので通常であればウエットを履くところなので、3番手を走行していたヤルノには定石通りウエットを履かせました。しかし、我々がいるピットレーンではほとんど降っていなかったことと、その時点でティモが12番手までポジションを下げていたことから、異なる作戦をティモに与えたのです。
赤旗が出された時点でティモは2番手でしたが、レギュレーションの規定ではその1周前の順位が適用されるため、ティモの最終的な成績は3位となりました。しかしあの豪雨の中、コース上に踏みとどまり、よくホームストレートまで帰還してくれたと感謝しています。
一方、惜しくも表彰台を逃したヤルノですが、こちらはドライコンディションでトップを狙う走りを披露してくれました。残念ながら今回はポディウムの頂点に立つことはできませんでしたが、トップの座がそれ程遠くはないことを実感しました。
この勢いのまま、次の2週連続開催となる中国GP&バーレーンGPも優勝目指して頑張りますので、ご声援をよろしくお願いします。


セパンサーキットでの新居章年。2戦連続の表彰台で、頂点への確かな手応えを実感した。次戦、中国こそ悲願の初優勝を目指す。

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2009 チャンピオンシップポイント

ヤルノ・トゥルーリ
32.5pt / 8th
ティモ・グロック
24pt / 10th
小林 可夢偉
3pt / 18th
59.5pt / 5th

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