テクニカルプレビュー - 2009 第12戦 ベルギーGP

ベルギーGPテクニカルプレビュー
パスカル・バセロン Q+A

2009年8月25日(火)

スパのどんな所がそれほど特別なのですか?

「ほとんどのドライバーにとって、スパはおそらく世界で一番のコースだろう。それに続くのは、唯一鈴鹿ぐらいだ。その理由は、スパがF1カレンダーに残された最後の昔ながらの自然なサーキットの一つだからだ。つまり、レイアウトが人工的に作られたものではなく、周辺環境によって決まっているという意味だ。また、スパの周辺には数々の丘や森林など、田舎の風景が広がり、これが素晴らしい雰囲気を生み出している。もう一つの理由は、スパが高速サーキットだという点だ。ドライバーと観客は、速さに魅了されるものだ。例外とも言えるモナコを除くと、低速コースを走るとワクワクする、などというドライバーには、私は一人もお目にかかったことがない。こうした要素が組み合わさった結果として、スパは本当に特別なコースになっている」

過去にはコースレイアウトが変更されたりしましたが、それでもなお、スパは特別な雰囲気のコースなのでしょうか?

「スパのサーキットには長い歴史があり、1970年代の大改修の際に、あそこならではの特性の幾つかの部分を失ったとも言えるだろう。この時は、ニュルブルクリンクの北コースのように非常に長いコースが、現在我々が知るレイアウトに変更された。当初のレイアウトを今見てみると、とにかくとんでもないものにしか見えない。というのも、レースカーが村々の合間を全開で走るようになっていて、安全性も現在我々が慣れ親しんでいる基準からは程遠い状況だったからね。当時はそれゆえに魅惑的なコースではあったものの、コースの改修は必然だった。現代のスパのレイアウトも近年微調整されたが、だからと言って、このサーキットの特徴はほとんど変化していないし、コースの魅力は全く薄まっていない」

オールージュに関しては如何でしょう?

「あらゆる方向に湾曲率が変化する素晴らしいコーナーだ。まず左に、そして右にカーブするが、同時に一旦下ってから、坂を上がることにもなる。この組み合わせがこのコーナーを唯一無二のものにしているわけだが、現在はその魅力が幾分か失われたように思う。今は簡単に全開で行けるからね。今シーズンも、空力面が変わったとは言え、ドライコンディションなら全開で行けるはずだ。その理由の大半は、タイヤがスリックになりグリップが増し、これが失われたダウンフォースを補ってくれるからだ。だが雨になると、オールージュのかつての魅力が甦ることになる。濡れた路面を走るF1カーがあそこを走り抜けていく様子は、とにかく信じられないほどだ。他のカテゴリーのクルマが同じような状況であのコーナーを走る様子を見ている人間なら、尚更、強烈な印象を受けるはずだ。F1カーの方が圧倒的に速いからね」

周回全体に関して、オールージュはどのくらい重要なのでしょう? オールージュは重要な要素なのでしょうか、それとも単なるコーナーの一つに過ぎないのでしょうか?

「今は、あそこを全開では行けなかった時代のように、あのコーナーで1周あたり1秒を稼いだり、失ったりするわけではない。言うまでもなく、オールージュは直線ではないが、全開で行けるということを踏まえるならば、直線とほぼ同じように考えることができる。ただし、それでもなお、セットアップを考える際は、やはりこのコーナーのことを考慮に入れなければならない。なぜなら、ボトミングは避けたいからね。そういった面で、ある程度の影響はある」

オールージュを通過するクルマにはどのような負荷がかかるのでしょう?

「我々は、極限レベルの負荷がかかる状況にも耐えられるようF1カーを設計しており、オールージュはその際に考慮すべき要素の一つだ。あそこでは非常に大きな縦方向の加速が生じ、これに非常に大きな横方向の負荷が加わって、クルマへの圧力が増すからだ。こうした要素に関して、オールージュを上回る負荷を生む場所はシーズン中に他にはない。だから、我々のクルマの、特にサスペンション部分は、オールージュを通過する際に生じる負荷に耐え得るよう設計されている」

スパはエンジンに対してどのくらい厳しいコースなのですか?

「エンジンに関しては、とにかくシーズンの中で最も重要なコースだ。モンツァ以上にね。なぜなら、スパには長いストレートに加え、エンジンを限界まで回す高速コーナーが幾つかあるから。一方でモンツァには長いストレートと低速シケインしかない。だから我々は、このレースに向けて2台とも新品エンジンを使う計画でいる」

クルマのどこかに、スパでも厳しい負荷がかからない部分はありますか?

「ブレーキングの厳しさは平均以下だが、スパで厳しい条件が要求されないシステムとなると、それが唯一だね」

悪天候になる確率についてですが、これはどの位大きな要素になるでしょう?

「スパでは、ウェット用のセットアップを施す状況もあり得る。日曜日に間違いなく雨が降るとされた2005年は、実際にそうした。スパではある程度天候が良好に見える場合であっても、常にあらゆる状況に備えておかなければならない。ただし、スパでは絶対に好天に恵まれない、というわけではない。私はスパの近くに住んでいるが、実際の所、晴天の日数はかなり多いんだ。雨が降るという評判は誇張されたものだよ!」

ベルギーGPに向けて、チームは何かアップデートを用意していますか?

「今シーズンは、スパとモンツァの2つが、低ダウンフォースのパッケージが必要となる場所として突出している。このため、我々はその点を考慮に入れている。その結果として、この2レースには特別パッケージを用意することになっている。つまり、空力的な変更と共に、改良したフロントとリヤウイングを持ち込む、ということだ」

最近は予選時とレースでの速さに差がありますが、これへの対応策として、チームは何をしていますか?

「バレンシアではティモが最速ラップを記録したが、これは決して1回限りの偶発的ものではなかった。全周回の彼のラップタイムを確認してみると、彼がコンスタントに速かったことがわかる。ただし、予選の速さに関して我々が課題を抱えているのは明らかだ。我々はこの状況に満足していないし、1周アタックのためにクルマから更なる速さを引き出すため、タイヤの扱い方、セットアップ、予選に向けた準備のやり方など、あらゆる分野に目を向けている。予選に比べてレースになると相対的に速さが増す理由が説明できるよう、我々はあらゆる要素を精査しており、必要な対応はどんなことでも講じていくつもりだ」

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2009 チャンピオンシップポイント

ヤルノ・トゥルーリ
32.5pt / 8th
ティモ・グロック
24pt / 10th
小林 可夢偉
3pt / 18th
59.5pt / 5th

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