2002年10月27日(日)配信

トヨタ王座確定!! 7年目の悲願達成 CARTダブルタイトル完全制覇
雨に祟られたオーストラリアでK.ブラックが4位 大クラッシュの高木虎之介は無事

予選
トヨタチームダブルタイトル獲得へと貢献した4位入賞のK.ブラックとトヨタ・ローラ
トヨタチームダブルタイトル獲得へと貢献した
4位入賞のK.ブラックとトヨタ・ローラ
 CARTシリーズ第17戦は、南半球オーストラリア戦。CART各チームは、米国西海岸から14時間のフライトで初夏の陽光まぶしい遠征戦に臨んだ。公道特設コースが 設定されるのは、オーストラリア東海岸、ブリスベンから約80Km南下した、クイーンズランド州ゴールドコーストのサーファーズ・パラダイス。
 世界有数のリゾートには、白砂のビーチ沿いにメインストリートを閉鎖して1周4.5Kmのコースがレイアウトされている。12のコーナーで構成されるテクニカルコースは、他の公道特設コースより高速だが、幅員は狭く、レース中の追い抜きが困難で予選順位とピット作戦が勝敗の行方を大きく左右する典型的なストリートサーキット。
 トヨタチームは、前戦マイアミでC.ダ・マッタが今季7勝目を上げ、堂々初のドライバーズチャンピオンを確定。このレースでトヨタエンジン搭載車の活躍次第で、マニュファクチャラータイトルも確定する正念場でもある。
 25日(金)の予選第1日目では、B.ジュンケイラがトップタイムでフロントローを確保。26日(土)の予選2日目は、前代未聞、来季を待たずに早々とチャンピオンゼッケン「1」を与えられたC.ダ・マッタがポールポジションをゲットし、2台のトヨタチームがフロントローを独占。トヨタチーム悲願のCARTダブルタイトル完全制覇へと王手をかけた。

決勝
 週末の4日間、サーファーズ・パラダイスのいたるところで昼夜を問わず繰り広げられるサポートイベントで盛り上がり、CARTフィーバーに沸いた30万人を超える大観衆の興奮が頂点に達して27日(日)午後2時に決勝レースがスタート。
 昨日までの快晴が一転、朝から降り出した雨はコースを濡らし、ウェットコンディションのもとで、70周195.65マイル(313Km)のレースに突入した。
 しかし、グリーンフラッグの瞬間、A.フェルナンデス(ホンダ)とJ.バッサー(フォード)の接触に誘発されて後続の5台が次々とクラッシュ。高木虎之介にはM.ドミンゲス(フォード)が激しく追突。高木虎之介のレイナード・トヨタは、跳ね飛ばされてA.フェルナンデスに重なるように背面着地して大破。トヨタチームに緊張が走ったが、不幸中の幸いで高木虎之介は各種診断でも異常は見られず大事には至らなかった。
 この赤旗中断で、午後3時27分に再スタートした50周に短縮されたレースは、高木虎之介とA.フェルナンデスを除く16台が3周のイエローフラッグ走行後に激戦を開始。C.ダ.マッタ、B.ジュンケイラ、K.ブラックのトヨタチームが序盤戦をリードした。
 ところが、9周目に雨が激しくなり、再びイエローコーション。降り続く雨は激しくなるばかりで、このイエローコーションは長引き、解除されることなく40周目でレースはチェッカーフラッグとなってしまった。
 このイエローコーションの間、各チーム思い思いのピット作戦を展開したが、C.ダ・マッタは惜しくも首位を譲ることとなり、さらに、スピンも喫して8位へと大きく後退。しかし、K.ブラックが4位に入賞。トヨタチームは、マニュファクチャラーポイントで、2位のホンダに46点差をつけて悲願のCARTダブルタイトル完全制覇を確定した。

K.ブラック(チップ・ガナッシ・レーシング)のコメント:
歯切れの悪いレースだったが、イエローコーションの間中、チームから無線で「とにかく4位以上に入賞しろ。トヨタチームのダブルタイトル獲得へ、ポジションを守り切れ」との指示が続いた。ものすごい雨で、イエローコーション中とはいえ、すごく滑りやすく、絶対に失敗をしないように、神経を集中してチェッカーフラッグを待った。トヨタチーム念願のダブルタイトルを決める大役を果せてほっとしている。

高木虎之介(ウォーカー・レーシング)のコメント:
後ろから当てられては、防御のしようもなかった。あっという間に跳ね飛ばされて、逆さまにA.フェルナンデスにぶつかり、車に閉じ込められてしまった。セーフティクルーに引き出され、すぐに、メディカルセンターで診断を受けた。この時は臀部が痛かったが、その後、病院でレントゲン検査など精密診断を受け異常の無いことが確認された。本当にほっとしたが、やはり、あの雨の中でのスタートは危険だったと思う。体調の様子は見なくてはならいが、次戦フォンタナは、自信のあるオーバルレースなので、何とか表彰台へとアタックしたい。

TRD-USA社長 J.オーストのコメント:
本当にこの日を待ちに待った7年間だった。TRD-USAのスタッフもトヨタのスタッフも、デンソーを始めとするサプライヤーのスタッフも、良くここまで頑張ってくれた。心から感謝したい。今日のレースは、実質はたった10周にも満たないものだったが、これもレース。トヨタチームは、イエローコーションのレースで総力をあげてチャンピオンポイント獲得を目指した。高木選手が無事だったことは何よりで、次戦フォンタナ、最終戦メキシコと、チャンピオンチームに恥じない成績を残して、来シーズンのIRLシリーズ参戦へとつなげるつもりだ。

TRD-USA 林 博美のコメント:
予選では1-2を獲得し、調子は上々だったので優勝でタイトルを決める自信は十分にあった。雨にたたられてしまったが、どんなかたちでも、とにかく念願のマニュファクチャラーズタイトルを獲得出来てとても嬉しい。高木選手は、スタート直後の混乱に巻き込まれて激しくクラッシュしてしまったが、無事で本当にほっとした。

リザルト

決勝結果
順位No.ドライバーエンジンシャシーチームLapタイム/差ST
155M.ドミンゲスフォードローラヘルデス・コンペティション4002:00:06.52416
232P.カーペンティアフォードレイナードフォーサイス402.17714
326P.トレーシーホンダローラグリーン402.5495
412K.ブラックトヨタローラチップ・ガナッシ402.7474
510T.カナーンホンダローラモーナン404.7943
81C.ダ・マッタトヨタローラニューマン・ハース4012.3381
1111C.フィッティパルディトヨタローラニューマン・ハース4014.79212
144B.ジュンケイラトヨタローラチップ・ガナッシ4018.1062
1544S.ディクソントヨタローラチップ・ガナッシ2416 Laps6
1620O.セルビアトヨタレイナードパトリック1129 Laps9
175高木虎之介トヨタレイナードウォーカー040 Laps18
Race DATA
ポールポジションC.ダ・マッタ (1:30.204)
ファステストラップC.ダ・マッタ (1:56.457)
最多リードラップC.ダ・マッタ(21周)
気温摂氏20度
天候
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1位C.ダ・マッタトヨタ219
2位B.ジュンケイラトヨタ144
3位D.フランキッティホンダ135
5位C.フィッティパルディトヨタ116
10位K.ブラックトヨタ93
12位S.ディクソントヨタ83
15位高木虎之介トヨタ45
19位O.セルビアトヨタ30
マニュファクチャラーズポイント
順位エンジンポイント
1位トヨタ301
2位ホンダ255
3位フォード226