2002年11月17日(日)配信

トヨタチーム完全勝利!!7年間のCART挑戦を有終の美で飾る
K.ブラック、C.ダ・マッタ、B.ジュンケイラが堂々表彰台独占

予選
今季4度目となるトヨタチームによる表彰台独占で最終戦を締めくくったB.ジュンケイラ(左)、K.ブラック(中央)、C.ダ・マッタ(右)の3人
今季4度目となるトヨタチームによる表彰台独で最終戦を締めくくったB.ジュンケイラ(左)、K.ブラック(中央)、C.ダ・マッタ(右)の3人
 今期CARTシリーズ最終戦であり、トヨタチームにとっては、7年間にわたるCART参戦の締めくくりとなる第19戦がメキシコシティで開催された。CART初開催のサーキットは「アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス」。
 1992年までは、F1GPが開催されていた2.786マイル(4.46Km)のサーキットは、メキシコの首都で中南米一の大都市メキシコシティのダウンタウンから北東20マイルに位置する。
 F1開催当時に比べ大幅に改装されたサーキットは、近代的に生まれ変わり、路面も他のCART開催サーキットより良好。しかし、標高2200m、富士山の7合目相当の高地だけに、空気密度も低く、エンジン出力は低下し、冷却性能も下がるなど過去の走行データも無い上に、最後の難関への挑戦となる。
 この難コースで行われた予選は、15日(金)、16日(土)ともにB.ジュンケイラが絶好調でポールポジションを獲得。
 CART最後のレースを戦うチャンピオンのC.ダ・マッタと、高木虎之介は、ともに予選2日目でスピン・コースオフ。赤旗中断のぺナルティで最速タイムを抹消され、高木虎之介は予選11番手、C.ダ・マッタは予選12番手から決勝へ臨むこととなった。

決勝
 11月17日(日)スモッグで名高いメキシコシティには珍しく爽やかな青空のもと、午後3時に73周のレースがスタート。
 しかし、グリーンフラッグが振られた直後の第1ターンでポールポジションのB.ジュンケイラ、J.バッサー(フォード)、P.トレーシー(ホンダ)などが複合接触しコースオフ。この早々のイエローコーションで、B.ジュンケイラは大きく後退。トヨタチームは、2位C.フィッティパルディ、4位K.ブラック、8位高木虎之介、9位B.ジュンケイラ、10位C.ダ・マッタで、序盤戦に突入した。
 その後、15周目に7位だったM.ドミンゲス(フォード)が後退。高木虎之介、B.ジュンケイラ、C.ダ・マッタが各々順位をひとつ上げて、規定ピットイン周回数の20周目に各車一斉に初回のピットイン。注目のピット争いであったが順位に大きな変動は無く、淡々とレースは運び、40周目に2回目の各車ピットイン。
 ここで首位T.カナーン(ホンダ)のピットで火災が発生。ペナルティを受けたT.カナーンが6位へ後退。この中盤戦で、B.ジュンケイラは5位へ、高木虎之介は7位、C.ダ・マッタは8位へと各々躍進。53周目に最後の規定ピットインを迎えた。
 このピットインで2位C.フィッティパルディが9位へ後退、代わって2位にK.ブラック、3位にC.ダ・マッタ、5位にB.ジュンケイラ、7位に高木虎之介がポジションアップ。
 C.フィッティパルディは、健闘むなしく66周目に排気系トラブルで戦列を去ってしまったが、終盤71周目には、それまで、給油タイミングをずらしてリードしていたM.ジョルダイン(フォード)から、K.ブラックが首位を奪取。2位にC.ダ・マッタ、3位にB.ジュンケイラを従えてチェッカーフラッグ。トヨタチームは、完全勝利で7年間にわたるCART挑戦を有終の美で締めくくった。

K.ブラック(チップ・ガナッシ・レーシング)のコメント:
最高に感動した。今シーズンは、勝利なしで終わると思っていたが、素晴らしい結果で終えられ、自分にも、チームにとっても最高のレースとなった。トヨタエンジンの燃費にも助けられ、最後のピットインで給油を少なく出来たことと、チームの戦略の勝利だ。本当にチームスタッフには感謝している。

C.ダ・マッタ(ニューマン・ハース・レーシング)のコメント:
今日ほど真剣にドライビングしなければならないレースは今シーズンには無かった。決して有利なセットアップではなく、すべてテクニックでカバーせねばならなかった。ニューマン・ハース・レーシングには、言い表せないほどの恩があり、CART最後のレースを最高の結果で恩返ししたかった。このレースもチームの素晴らしいピットワークのおかげで、中盤グループからトップグループにポジションアップ出来、ほっとしている。

高木虎之介(ウォーカー・レーシング)のコメント:
何とか6位、7位争いから抜け出し、さらに上位進出へとチャンスを窺ったが最後のイエローコーションのピットインで順位が決まってしまった。セッティングもうまくいき、調子も良かっただけに、予選の結果が悔やまれる。来年はIRLのオーバルだけの戦いなので、最後のロードコースで表彰台をものにしたかった。

TRD-USA社長 J.オーストのコメント:
第1戦メキシコの1位、3位で始まったCART最後のシーズンを表彰台独占で終えることが出来、感無量だ。CARTダブルタイトル獲得の上に、ドライバーズタイトル1-2も手中に収めた素晴らしいシーズンだった。ドライバーズポイント2位を堅守したB.ジュンケイラには、心から祝福と感謝の言葉を捧げたい。

TRD-USA 林 博美のコメント:
7年間のCART参戦最後のレースを1-2-3フィニッシュという最高の結果でしめくくることが出来た。念願のマニュファクチャラーとドライバーのダブルチャンピオンも獲得し、我々のエンジンと技術の優秀さが証明出来たと思う。これまで応援してくれたすべての方々に心から感謝したい。来シーズン、我々は、次の目標である「インディ500」制覇とIRLシリーズへとチャレンジするが、すでに、昨年からプログラムはスタートしており、新たなトヨタチームと共にフルアタックしたい。来年も、より一層のご声援をよろしくお願いいたします。

リザルト

決勝結果
順位No.ドライバーエンジンシャシーチームLapタイム/差ST
112K.ブラックトヨタローラチップ・ガナッシ7301:56:48.4756
21C.ダ・マッタトヨタローラニューマン・ハース733.98712
34B.ジュンケイラトヨタローラチップ・ガナッシ735.0731
432P.カーペンティアフォードレイナードフォーサイス7310.8427
527D.フランキッティホンダローラグリーン7312.5483
65高木虎之介トヨタレイナードウォーカー7316.76211
744S.ディクソントヨタローラチップ・ガナッシ7323.62215
810T.カナーンホンダローラモーナン7325.8464
920O.セルビアトヨタレイナードパトリック7328.03416
1033A.タグリアーニフォードレイナードフォーサイス7329.94914
1511C.フィッティパルディトヨタローラニューマン・ハース676 Laps2
Race DATA
ポールポジションB.ジュンケイラ (1:25.941)
ファステストラップ中野信治 ( 1:27.248)
最多リードラップT.カナーン(40周)
気温摂氏18度
天候快晴
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1位C.ダ・マッタトヨタ237
2位B.ジュンケイラトヨタ164
3位P.カーペンティアフォード157
5位C.フィッティパルディトヨタ122
6位K.ブラックトヨタ114
13位S.ディクソントヨタ97
15位高木虎之介トヨタ53
16位O.セルビアトヨタ44
マニュファクチャラーズポイント
順位エンジンポイント
1位トヨタ333
2位ホンダ282
3位フォード259